Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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日本会社という名の要塞。
川本先生の勧めで10年間は読むことにしたThe Economistですが、本当に学びが多いです。
この雑誌は、世界中で起こっている主要な(と、Economist編集部が考えている)出来事をかなり詳細に事実ベースで取り上げています。 ずっと読み続ければ力がつくこと間違いなし。 (ただし、僕はこの雑誌のユーモアは習いつつもシニカルさは習うまいと思っています)


D2208LD1.jpgそんなEconomistで、日本のガバナンスが取り上げられていました。 スティールの提案によりアデランスの取締役の再任が否決されたり、また、日本の機関投資家が一定の収益率(ROEで8%)などを取締役再任基準とするなど、一定の進歩がみられるものの、TCIのJパワーの株買い付けの一件に見られるように、日本の株式会社という要塞はいまだに健在だと考えられています。
http://www.economist.com/opinion/displaystory.cfm?story_id=11455075&fsrc=RSS

外部からのガバナンスが効きにい大きな理由として、Economistは、日本の企業のインセンティヴシステムを取り上げています。 それは、従業員が終身雇用制のもとで若い時期には比較的安い賃金で、働き中年の時期にそれを取り返すような報酬制度に裏付けられています。 少なくないサラリーマン経営陣は、自らが若いころに安月給で働いた対価として得ている今の地位から得られる権益を失いたくないと思っているのかもしれません。
 
これを打開する一つの方法は、賃金の決定が、上のようないびつなものでなく市場メカニズムに従う事にあります。若くてもなんでも、よい仕事をすればそれ相応の賃金を与えられるのなら、上で述べたようなマネジメントのインセンティヴも多少は改善されるのかもしれません。 賃金が市場メカニズムに従うための重要なインフラの一つは雇用市場の流動化で、人材が適切な賃金を求めて会社を自由に移るようになれば、賃金はその人々の労働生産性に合わせて向上することとなるでしょう。


ただし、ここまでの議論の重要な前提条件は、アクティヴィスムにより企業のガバナンスが向上し、それがひいては経済の発展につながるということだという事を、注意する必要があると思います。 

確かに、アクティヴィストの活動が大幅に制限されるような閉鎖的な市場に対しては、資本の流入は減少し、それは経済発展の阻害へとつながると考えられます。 

しかし他方で、アクティヴィストの活動が、企業のパフォーマンスを低下させ、ひいては経済の発展を阻害する可能性もあり得ます。 たとえば、企業がいきなり敵対的買収をされ、今まで会社が従業員に対してしていた約束が効率性の名の下に反故にされると、それは従業員のやる気を下げ、企業の業績を悪化させるかもしれません。 このような事を、Andrei Shleiferらは信頼の破壊(breach of trust)という概念によって説明しています。

ちなみに、英米では、アクティヴィストの活動が比較的盛んであり、これらによるガバナンスが有効だと考えられていますが、ヨーロッパでは非公開企業が多くの比率を占めている国が少なくなく、アクティヴィストの活動に否定的な場合もあるようです。

なので、コーポレートガバナンスの一意な解がまだ見つかったわけではなく、市場型の規律づけの仕組みが常に正しいという事は、まだ明白なわけではないと思います。 (Economistは、全体の論調として、常に市場メカニズムがすべてにおいて最善であるという視点に立っているようです。 僕もこの考えに基本的には同意しています。)


ただし、一方で資本の流入を盛んにしロンドンのシティを日本に築こうとしながら、他方でアクティヴィストを排除するような不一致は問題だと思われます。 どっちを取るかは価値判断だと思うのでその判断を尊重しますが、その価値判断が政策の実行において不一致をきたすようなことは、あってはいけないのでしょうね。


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