Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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先物価格によって現物価格が動くことはありえない?
池田信夫氏のブログで、北畑事務次官の発言が取り扱われたいたのですが、すこし不正確な記述があったので、訂正してみようと思います。

つまり先物相場は投機筋によるギャンブルであり、それによって現物のガソリン価格が上がることはありえない。



と書かれているのですが、これは不正確です。 
少なくとも理論的には先物価格が上昇すれば、基本的に現物価格も上昇します。 
ただし、現物にフェア・バリューというのがあるとすれば、それは先物価格の上昇によっても上がらないかもしれません。


野口先生のファイナンスの基礎の受講生の皆さんには分かるとおり、先物と現物の関係を記述した基本的な式は以下の通りです:

先物価格=現物価格×(1+利子率)

この式が意味することは非常に単純です:
今商品を買って一年後まで持っていることと、貯金しておいて1年後にその商品を買う約束を今することは同じだ、ということです。

この関係が崩れるときは、裁定行為によってタダで無リスクで儲けられる機会がなくなるまで、価格は収斂して行きます。



原油などの商品の先物価格を考える場合は、これに加え、二つのコンセプトを追加します:
・保管コスト~倉庫代など
・コンビニエンス・イールド~たとえばいきなりの値上がりに対応することができることによる利益

ここで、石油1円当たりの保管コスト(円)をsとしましょう。 また、石油1円当たりのコンビニエンス・イールドをcとしましょう。 ならば、

先物価格=現物価格×(1+利子率+s-c)

となります。

この式のうち、保管コストについての予測は人々において共通なので比較的安定しているのですが、コンビニエンス・イールドについては人々の間で認識が異なることがありえます。 なぜなら、人々の需給関係に対する予測が、コンビニエンス・イールドには盛り込まれるからです。

ここまでで分かるように、現物価格が上がるということは、先物価格が上がる事と同値です。 保管コストとコンビニエンス・イールドについての認識によほど大きなずれがない限り、先物価格の上昇は現物価格の上昇をもたらし、現物価格の上昇も先物価格の上昇をもたらします。

ものすごく簡単な例をあげましょう。
利子率が5%、保管コスト(%)が1%、コンビニエンスイールドが2%、としましょう。

ならば、

先物価格=現物価格×(1+5%+1%-2%)

なので、もし、先物価格が150円になれば、

150=現物価格×(1+5%+1%-2%)

という式を満足させるために

現物価格は、144円になります。 

もし、コンビニエンス・イールドと保管コストが一定ならば、この価格が崩れると、ただで無リスクで儲けることができます。 実際には、これら二つについては人々の予測に差異があるので、144円ぴったりに収まることはないかもしれませんが、それでも、この周辺に価格が張り付きます。 そして、実際に市場の動きを見てみても、先物価格と現物価格は、ほぼ同じように動いています。


非常にシンプルな話なのですが、このあたりの誤解をしている人は少なくないようです・・・
ニュースの解説者も、たまにわけのわからない事を話していますし。


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