Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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資本主義は嫌いですか。
ウォールストリート日記の最近の記事に対するコメントにはかなり感情的なものが多く見受けられます。僕も金融機関にいる人間なので、このあたりの認識のずれにはかなり驚かされます。

ただし、多くの人が指摘するように、現在の報酬システムは(金融機関のそれにかぎらず)問題をはらんでいるというのが僕の意見です。


資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす
(2008/09)
竹森 俊平

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多くの経済ブログで紹介されている本書が主張することは、この期間に金融セクターが稼ぎ出した莫大な利益は、単に見えないところでリスク(ナイトの言うところの「不確実性」であり、多くのアセットプライシングの議論で言うと、分散不可能リスクの一部にあたるもの)を大量にとっていたことに対するプレミアムに他ならなかったというものです。

筆者は、このようなリスクへの踏み込みをドライブしたのは、絶えず利益をあげることを要求される資本主義の仕組みにあると指摘しています。


20090408015519c98.jpg
のみならず、報酬のシステムの果たしている役割も見逃すことはできません。
丁度今週号のThe Economistにおいても本書と同様に指摘されていましたが、現状の報酬体系の非対称性は、企業経営者にリスクを過度にとらせる誘因となっていることは否定できません。

多くの報酬は、会社が大きな利益を手にすれば経営者やトップの従業員はその分け前を給与として受け取り、逆に会社が落ち込んだ時であっても最悪でも給与がゼロ以下になることはないように設定されています。(持ち株で給与が払われている場合は別ですが)

最悪で損失はゼロ、最高のときの利益の天井がかなり高いとなると、経済的な便益を重視する人間には、企業の将来の収益の揺れ幅を大きくしようとするインセンティヴが働きます。もう少し専門用語を使って言うと:現状の報酬体系のペイオフは、コールオプションのそれであり、コールオプションの価値がボラティリティの増加により増大する以上、プリンシパル(経営者)にはリスク(将来収益分布の裾のひろさ)を取ろうとするインセンティヴが働くのは否みがたい事実です。


この議論は、別に真新しいものではなく、プリンシパル・エージェント問題としてかなり長い間議論されてきた問題です。理論的に現在の報酬体系が好ましくないということは、今に始まった議論ではないわけです。

むしろ個人的に気になるのは、このような理論から乖離した慣行がどうして続いてきてしまったのか、という点にあります。この点を明らかにすることが、今後においても発生し続けるであろうバブルのダメ―ジを軽減するために重要であると考えています。

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