Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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日本では本当に機会の平等が担保されているか
堀さんのブログのご意見の一部に意見があるので記事にしました。

堀さんはこう説かれています。

”機会の平等は、僕は、基本的には、日本においてはかなり担保されている、と思っている。義務教育が行われており、奨学金が支給されているので、随分と平準化されていると思うからだ。
(中略)
努力をしていない弱者に、手を差し伸べる必要は無いと思う。また、努力をしない人々を優遇するような施策は、貧欲と怠け癖を引き起こし、日本を滅ぼす結果となろう。”




形式的な意味での機会の平等については、仰る通りだと思います。アルバイトと奨学金で高校、大学と卒業した友人は、僕の周りにも沢山います。そして、ある程度の大学を出れば、貧困家庭に生まれてもそれを脱することができるというのは事実です。僕自身、家は貧しかったけれど、学問のおかげで今の職業に就いている。

ただし、実質的な意味での機会の平等は、担保されていないと感じます。ここで「実質的」というのは、こどもの自立心や克己心など内面の問題を念頭においています。

自立心や困難に打ち克つ力は、自己肯定感に依存すると云われています。その自己肯定感は、決して自分自身で得られるものではなく、親や周囲の大人から認められることを通じて得ていく場合がほとんどです。特に都市部のようにコミュニティがほとんど機能していない状況で、かつ、親がろくでもないと、こどもは自分がなぜ世の中にいるのか、確認できる機会をほとんど持つことができません。

その最たる例が、児童養護施設にいる3万人の子どもたち。子どもたちが施設に入るまでの物語ひとつひとつを聞くと、身の毛のよだつ思いがします。親から大切にされることなく、コミュニティのたすけもなく育つ子どもたちは、自分の存在意義を見いだせない場合がほとんど。同じような問題は、日本のいわゆる底辺校でも起こっています。「ドキュメント高校中退」という本は、この恐ろしい実態を描いています。

この子どもたちが、他の普通の家庭に育った子どもたちと同じスタートラインに立たされ、同じレースをさせられるとしても、日本では機会の平等がある程度担保されているといえるのでしょうか。生まれた境遇ゆえに人生に意義を見出せず中退していく高校生に、「努力をしていない弱者に、手をさしのべる必要はないと思う」というのは、妥当なことなのでしょうか。僕は否と思います。


貧しさから抜け出すために必要なのはインセンティヴだということは正しい。インセンティヴを無視した援助は失敗するというのは、国際社会がこの半世紀で学んだ最大の教訓の一つだと思います。堀さんの挙げた生活保護の例は、インセンティヴの構造を考えずに行う政策がいかに多くの失敗を産むかを示す好例だと思います。


機会の平等を考える際にも、同じように自立心の観点から考える必要があると僕は考えます。日本における形式的な機会の平等は素晴らしいことだと思います。僕は、それに加え、こどもたちが等しく自分の存在意義や夢を与えてくれる大人に出会う場をつくることや、虐待を受けた子どもたちの心をケアするための制度(例えば、ヨーロッパでは里親のシステムがかなりよく出来ている)設計などが、実質的な意味での機会の平等の達成には必要だと思います。

「こどもたちが等しく自分の存在意義や夢を与えてくれる大人に出会う場」なんていうと大げさですが、これは、昔はコミュニティがその役割を果たしていたと思います。親が良くなくても、近所のおじさんおばさんや、面倒を見てくれる友達の親がいた(ちなみに僕は保育園の頃に誘拐されそうになったことがあったのですが、近所のおばちゃんのお蔭で助かりました)。人間がそもそも社会的な存在である以上、コミュニティを再生させるというのは多くの側面から非常に重要だと改めて思います。

自分自身、翻って考えてみるとここまでこれたのは、親、母方のおばさん(彼女のおかげで僕は緑星囲碁学園に9年間通えた)、学校で出会った恩師たちのお蔭でした。こういう出会いが、偶然に左右されず、誰にも等しく与えられるようになることを切に祈っています。

僕が理事長をしているNPO、Living in Peaceの教育プロジェクトの合言葉は「すべてのこどもに、夢をくれる大人との出会いを」です。出会いと成功体験をキーワードにした、こどもの自己肯定感を高めるためのプログラムを目下準備中です。一緒に平日の夜中と週末を使って活動してくれる仲間はいつでも大歓迎です。見学もOKなので、気軽にご連絡ください。


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