Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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グルーポンの本質
GROUPON.jpg正直言って、僕はグルーポンがなんなのかよく分からなかったし、「単にクーポンがウェブになったことの何がすごいんだろう」ぐらいに思っていた。それは確かに、既存のクーポンビジネスに取って代わるかもしれないし、そこには確かに意味はあるだろう。けれど、そんなに大騒ぎするほどのことなのだろうかと。

昨日グルーポンで働いている方とディスカッションをして、初めてこのビジネスの本質を理解することができたとともに、己の不明を恥じた。これが分かると、なぜグルーポンやポンパレが国内で採算度外視(のように見える)競争をしながらもシェア確保に躍起になっているのかが理解できる気がする。

下記に書く内容は、僕の勝手な理解であって、グルーポンの公式見解ではないことを、(言うまでもないと思うけれど)予め断っておく。


グルーポンの本質は、小売店の価格設定を最適化して利益を最大化するためのチャネルを提供することにある。これを支える技術的背景には、情報処理技術の目覚しい進歩がある。


価格設定の最適化

例えば、経営がしっかりしていないホテルの第一の特徴は、価格設定が硬直的なことにある。言い換えると、こういったホテルは平日も休日も全く同じ価格でオファーをしている。例えば、あるホテルが平日も休日も3万円で部屋を提供しているとしよう。これは、平日に泊まるにしては高すぎて、休日に泊まるにしては安い設定だとすると、このホテルは土日だけ稼働率が100%で、平日は稼働せず、一週間の一部屋あたり売上は週末の2日×3万円=6万円だけになる。

ホテルに投資をした場合に、ホテルのアセットマネージャーが真っ先に手をつけるところはここだ。休日の需給と平日の需給は異なっており、それに併せて価格を最適な水準に設定することができれば、空室率は減り、利益を高めることができる。たとえば、上の例であれば、休日を4万円に設定して、平日を1万円に設定するなど、様々な試行錯誤をして価格を調整することにより一部屋あたりの売上を高めることができる(この計算では単純化のためにコスト部分の計算を無視している)。

大手のホテルのほとんどは、このような最適な価格設計をするシステムを導入している。システムで行うことは、過去のデータを基に計量モデルを使って最適な価格を割り出すということだ。でも、このシステムは結構高くつく。単価が安いビジネス、たとえば単価千円くらいで量をたくさん売るビジネスでは、計算しなければいけないデータが膨大になることもあり、導入することができなかった。



情報処理技術の進歩がもたらした単価設定革命

けれど、ホテルの単価設定のシステムが高価であるのは過去の話で、これは早晩変わっていくだろう。その背景には情報処理技術の進歩がある。

97年のPCに比べて、2010年のPCは175倍の情報処理技術を有している。データの計算を行うシステムにかかる価格はどんどん減っていく。単価が安いビジネスであっても、膨大なデータをノートPC一つで計量処理して最適な単価設定を出来るようになる。

けれど、このような単価設定を行えるようになったとしても、この単価設定をタイムリーに知らせる必要がある。毎日毎日計量データに基づいて適切な価格付けをしたとしても、だれもそのことを知らなかったら効果は限定的になる。また、紙のクーポンであれば、それを刷るだけですでに時間が経ってしまい、適切な価格付けが無駄になる可能性がある。



最適化された単価を知らせるチャネルとしてのグルーポン

そこでグルーポンに代表されるフラッシュマーケティングだ。グルーポンは、小売店が設定した単価をインターネットを通じて即時に潜在的な消費者に知らせることができる。情報技術が発達した時代に小売店が行うことができる価格設定の最適化の最後のピースを、グルーポンが埋めることになる。

このビジネスにおいては、プラットフォームを握れるかどうかで優勝劣敗が確実につくことになる。例えば、一度グルーポンが小売店の大半を獲得することに成功すれば、新しくフラッシュマーケティングを行おうとする小売店は他の会社を選ばず、グルーポンを選ぶだろう。こうして、初期的な優劣が後にとんでもない差につながることになる。

だからこそ、今国内では、リクルートを母体とするポンパレと、グルーポン・ジャパンが熾烈なシェア争いを行っている。



100歩離れてフラッシュマーケティングを見ると

情報技術の進歩は、モノの時間を最適化する。在庫はモノの時間を非効率に使っていることと同義になる。特に、ホテルやゴルフ場などの「稼働率ビジネス」においてはこのことは特に当てはまる。(逆に、サプライチェーンにおける在庫はゼロに近づけばよいという単純な話でもない。今回の震災でいくつかの部品が供給不足に陥って、他の製品の生産がストップしそうになったことからもわかるように。)

モノの時間を最適化するためのレバーは価格だ。その価格設定を、この時代に併せて最適化して売るというという行為を促進する仕組みがフラッシュマーケティングの本質のように、個人的には思われる。


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東電は国有化するべき
僕は東電は国有化するべきだと思いますし、もし東電全体を国有化できないとしても、原子力発電所は国有化するべきなのではないかと思います。

今回の事件の背景には、公的な性格をもつ事業体が、私企業として株式市場に上場しているという矛盾があったのだと思います。

ファイナンス理論では、企業はリスク分散をするべきでなく、リスクをとるべき存在だと考えます。なぜなら、企業がリスク分散を通じてリスクを下げなくても、投資家は自分の投資対象を分散することによりリスク分散を実現することができるためです。企業の事業リスク分散をもたらす事業の多角化は基本的に市場からは評価されず、多角化企業の株価はそうでない企業に比べ低くなります。これをコングロマリット・ディスカウントといいます。(とはいえ、企業の破綻には必要以上のコストが生じるため、一定程度のリスク管理は正当化されると考えられています。)歴史的にも、株式会社は人々が有限責任という仕組みを用いてリスクをとりやすくするために作られたものです。

東京電力は数年前の内部調査で、今後50年以内に今回のような大震災が起こる確率を0.1%と予想していたそうです。その時の損失が10兆円だとしても、0.1%でしか生じないのなら、損失の期待値は100億円にしかなりません。これはしかも、50年間における損失の期待値です。そのような、0.1%の確率でしか生じない災害に対処するために大きなコストをかける必要があるとしたら、私企業はその災害が生じるリスクを受け入れることを選ぶ場合が多いように思われます。

また、株式会社であると、非常事態が生じたときにも利益度外視の緊急対応をしにくくなります。一基数千億円する原子炉に海水を注ぎ全てを再利用不可にするという意思決定は、もし原子力発電所の所有者が国であれば、現在よりも早く行われたのではないかと思います。

こんなことに鑑みると、問題の一つの本質は、東電が公的な性格を有しているにもかかわらず、上場している私企業である点にあると僕は考えます。


もちろん、企業の国有化に問題がないわけではありません。国有化は多くの場合効率性を奪い、その企業の競争力を失わせる可能性があります。

だから、こういうときに考えるべきは、リスクと便益のバランスだと思います。個人的には災害が生じたときの外部への影響を考えると、せめて原発だけでも国有化するべきだったのではないかと感じます。そして、0.1%の確率であっても無視せずに、多少のコストを負担してでも可能なかぎりリスクをゼロにする努力をすれば良かったのではないかと考えます。


問題が過ぎ去ったあとで、ミネルバの梟よろしくこんな話をするのは比較的簡単なわけですが、これを期に、いくつかの公的性格を有する企業の国有化については議論がされてもよいのではないかと思います。性質は違えど、金融システムについても同じような議論ができるのかもしれません。


久々のブログ更新と報告
最近は、英語のブログの方が更新が多くて(とはいえこちらもほんの少しなのですが)、なかなかこちらのブログの更新が出来ずにいてすみません。

Twitterでさらっとつぶやくことはできても、ブログを書くまでにはなかなか至りませんでした。

ブログがなかなか更新できなかったのには、いくつか理由があります。

一つは、この期間に心が落ち着かなかったこと。末の弟が福島で先生をしていたり、親戚が仙台にいたりで、気が気でない日々を送っていました。この期間に様々な分野で考え事を重ねていたのですが、それらの問題意識がなかなか言語化できるまでにいたらずに、ああでもない、こうでもないと考えながら、単なる思いつきで終わらせることができるTwitterの140文字に逃げていたといました。やっぱり、僕にとってこの震災はかなり大きな出来事だったし、これからも影響を与える出来事として、引き続き僕の頭の中のかなりの部分を占めていきそうです。

もう一つの理由は仕事で、こちらもなかなか同時進行でお手玉遊びみたいに仕事をしていて、これにさらにNPOの活動も加わり、日曜朝のEconomistを読む会と洋書を週に2冊読む会も同時進行していて(あと本の原稿も書いていたりで)、ブログを書くということがなかなかできませんでした。それに、このブログはすでに多くの人に見つかっているので、仕事が忙しいときに書くのはなかなか大変なのです。


ただ、もう一つ大きな理由があり、その後処理に追われていたという事情もあります。

ジューンブライドに併せて、6月に結婚式をあげようと思っていたのですが、これがキャンセルになりそうで、東奔西走していたのです。

一生に一度のイベント、記憶に残るものにしようと、東京ディズニーランドでの結婚式を計画していました。ミッキーとミニーら全ディズニーキャラをブライドメイドにして、シンデレラ城で式をあげるという計画でした。嘘だろうと思う人がいるかもしれませんが、実はディズニーランドは4千人の入場者数分の入場料を払うと、貸し切ることができます(昼は確か3万人分だったと思います)。http://www.tokyodisneyresort.co.jp/party/private.html

お金があるとついつい周りのお金が必要な人のために使ってしまったりして、ほとんど宵越しの銭を持たない僕なので(かつ去年は転職した年なのでボーナスはほとんどなし)、この結婚式が決まったときにはほとんど手持ちのお金がありませんでした。なので、この式にはかなり大掛かりなファイナンスがついています。まさか、本業の知識がこんな分野に活きるとは思ってもいませんでした。

この期間、式の最後の準備+銀行回りに追われていたのですが、そこでやってきたのが今回の震災でした。ご存知の通り、東京ディズニーランドは震災で激しいダメージを受け、式の挙行が怪しくなっていました。それをなんとかしようと、オリエンタルランド(東京ディズニーランドの運営会社)とずっと交渉を続けているということもあり、なかなか忙しい日々を送っているのでした。

東京ディズニーランドの代わりに今度中国に建設されるディズニーランドでの式はどうか、とか、東京マラソンのコースをパレードで占拠して移動結婚式をするのはどうか、とか、様々な代替案が示され、それらを押し返し、なんとか期日内に式を挙げられないかと、仕事の傍ら電話でずっと交渉が続きました。同僚の方は、僕が最近よく個室に入って電話で何かを話しているのを見かけていたと思います。


交渉も甲斐もあり、また、さすがオリエンタルランドが夢の国の運営会社であることもあり、交渉はうまくまとまりそうです。まあ、とはいえ、これも毎年恒例のエイプリルフールのネタなのですけれど。
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