Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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もやもや
まだ心にひっかかっているけれど、気付きを文章にするのはとても重要なことと思うので書いておきたい。

Living in Peaceでは、月に一度、児童養護施設の子どもたちと「キャリアセッション」という名目で色々な活動をしている。一つの目的は、子どもたちの自立の手伝いで、今回は子どもたちと一緒に料理教室をした。(施設退所者に対するアンケート結果によると、児童養護施設で学べなかったけれど学びたかったものには、炊事など生活全般のことが挙げられている。)

個人的には、このセッションを通じて、いつか子どもたちが施設を退所して何か困ったことがあったときに、気軽に相談できる大人が少なくとも1人いる状態ができたらいいと思っている。先にアンケート結果でも、児童養護施設を退所した子どもたちの一番の悩みは孤独感だという。とはいえ、「ちょっとしたときに相談できる大人」になるだけでも結構な時間が必要で、コツコツと地道な活動が重要になる。全く派手でないし、「スケーラブルなんですか?」と言われたら、「一人が本業の傍らで関係を作れる子どもの数は3人くらいだろう」と答えるだろう。それでも、1万人が同じ事をすれば解決する。


少し前に、LIPの児童養護施設の子どもたちとの活動中に取材があった。メディアを通じてものを伝えるためには、写真はとても強力なツールになる。より多くの人に見てもらうためにも、写真を撮ろうということになった。

でも、児童養護施設の子どもたちの写真をメディアに掲載することはできない。微妙な角度の横顔はさておき、正面から一緒に写真を撮ることはできない。だから、撮影時もLIPのメンバーの顔が写り、子どもの顔は横顔だけとなる構図で撮影が進む。

まだ幼い子どもたちは、「なんで僕たちの顔を正面で取れないんだよー」と少し不満気味。
これに対する、高校生の子の一言が肺腑をえぐる。

「だって、私達、施設(にいるんだ)だからさ。」

なんでこうやって事ある毎に自分の境遇を悲しまざるを得ない場面に遭遇しなきゃいけないんだろう。別に取材に限ったことじゃない。子どもたちは普段から「周りの子どもたちと違う」という状況に直面する。たとえば学校でもそうだ。入学式。運動会。授業参観。卒業式。親が来てくれない現実に、自分の置かれた境遇を思わざるをえない。


取材を終えたあとの後味の悪さといったらなかった。ごめんなさいという資格もなく、まだ言葉にはよくできない罪悪感が残る。これを無駄にしないためにも、頑張りたい。

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アイディアの99%
30代も色々な経験をしていって、世界をよりよいものに出来る力を蓄えたいと思っているのだけれど、現時点でまずピンときているのは、デザインやアイディアの技法に関するものだ。もともと詩を書いたり曲を作ったりしていたこともあるし、舞台美術を作ったこともあるのだけれど、最近はこういった頭の使い方をほとんどしていないことに気がついた。

そこで、関連している書籍を読んだり、イベントに参加したりしているのだけれど、最近読んだ本で改めて考えさせられたのは「アイディアの99%」という本。

エジソンの有名な言葉を例に待たずとも、アイディアはそれを出すよりも、それをカタチにするほうがはるかに重要であることには疑いはない。そして、アップルやIDEOなど、皆が尊敬する企業らは、アイディアを明確な形にする方法を組織の中に組み込んでいる。

この本では、アイディアについてやるべきことと後回しにすることを管理し、実現のための仲間を集め、アイディアの実現のためのプロジェクトを統率する方法について書かれている。その内容のほとんどは、「やるべきことをやる」という文化が根付いている会社に勤めている人々にとっては当たり前のことかもしれない。しかし、翻って考えてみると、企業の競争戦略についてはさておき、アイディアの実現のために「やるべきことをやる」という文化が根付いている企業はあまりないように思われる。これから色々なアイディアの技法に関する本を読みあさる前に読んでおくのが良い本。
書くことの苦しみと喜び
本業のドタバタの中、児童養護施設本の原稿をようやく校了した。

前にファイナンス理論の入門書を書いたときは、原稿の下書きは5日で終わり、残り2ヶ月をかけて色々な人にコメントを頂きながら原稿は完成した。他にもファイナンス関連の本のドラフトを書いているのだけれど、このドラフトも書き始めてから3週間くらいで10万字くらいの分量を書くことができた。

でも、この本を書くのは本当に苦しかった。企画された段階からここまで一年半が必要だった。

この期間に、書くことの苦しみと喜びを味わった。

一番悩んだのは、「いつか、僕が関わった児童養護施設の子どもたちが大人になってこの本を読んだ時に、どう感じるだろうか」という点だ。確かに子どもたちが今置かれている状況はすごく大変だし、施設の状況も良くはないから、それを事実として書く必要はあった。けれど、子どもたちには未来があるし希望がある。特に、こういった困難な状況を乗り越えたときの子どもの強さは、他に比べ難い強みにもなる。実際、この期間に出会った子どもたちとのやり取りを通じて、僕は人がどれだけ多くの可能性を持っているのか感じることが本当に多かった。そういった思いをきちんとカタチにすることができるのか、ずっと思い悩みながら書いていた。特に子どもの描写については、何十回と書きなおした。最後の最後まで直し続けた。今もまだ不安でいっぱいなのだけれど、この本についてある施設出身者に話した時に「しんさんの本を応援するよ」と言ってくれたのが、本当にうれしかった。


次に悩んだのは、果たして外部者である僕が正しく児童養護施設の実態を描けているのか、という点。確かに住み込みはしたことがあるし、職員さんともやりとりはするし、客観的なデータはかなり集めた。でも、事実は部品の寄せ集めではない。人間のパーツを作って組み合わせてみても、そこに魂を吹き込まないと動き出さないのと同様に、色々な事実を魂をもって集約するということが必要だった。これも悶々と悩んでいたのだけれど、ある児童養護施設職員出身者に、「施設の様子や子どものセリフ遣いなどに、全く違和感がない」と言われたときは本当にうれしかった。単純に本で描いている風景がリアルで嘘でない、ということがうれしかっただけではなくて、僕自身が児童養護施設を総体として理解できていると感じたことがうれしかった。問題解決は対象に対する深い洞察から生まれるので、自分たちが行なっているプロジェクトの正当性についても確信を深めることができた。


今回僕の受け取る印税は全額寄付するので、これを買ってくれるだけでも、100円強が児童養護施設に寄付されることになる。


この本は、11月3日のLIP教育プロジェクトのフォーラムでの先行発売も予定しているのだが、最後にこのフォーラムの簡単な告知を。

今回の教育フォーラムでは、サブタイトルの「Think and Act Now」の通り、(1)子どもをとりまく状況と、(2)その未来への希望、そして(3)私たちのできることをテーマにお送りする。

(1)については岩波新書「子どもの貧困」の著者である阿部彩先生に子どもをとりまく状況の全体像をご説明頂きつつ、児童養護施設、筑波愛児園の山口公一理事長にお越しいただき、現場のお話も伺うことになる。

(2)については、子どもたちのロールモデルとなりうる素敵な二人、ヒューマン・ライツ・ウオッチの土井香苗さんと、女優のサヘル・ローズさんから、これまでの生い立ちと現在・未来についてお話をして頂く。お二人が現在されている活動も素晴らしいのだけれど、その背景にあるこれまでの物語を聞くとより多くの感動を得られるとともに、子どもの未来についての希望も抱けると思う。

(3)については、全参加者と会場を巻き込んだパネルディスカッションを通じてお話を出来ればと思う。

個人的にも自信をもっておすすめできるフォーラムなので、お時間のある方はぜひお越しください。フォーラム収支の半額は児童養護施設に寄付され、残り半額が今後の活動経費に充てられる。申し込みはこちらから。子連れの方向けのキッズルームもあります。

申し込みはこちらから。
http://ow.ly/70qiN

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