Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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野口悠紀雄「ファイナンスの基礎」-第9回。
では、野口悠紀雄のファイナンスの基礎、第9回です。


1.DCF法
2.リスク分散と最小分散ポートフォリオ、最小分散フロンティア
3.CAPM

2と3の順番は授業のハンドアウトと逆なのですが、論理展開的にはこうあるべきだと思うので、このように並べる事にします。

二項分布からリスク中立確率の分布とSDFを求める計算シートを作りました。 使ってみてください。
https://www.webfile.jp/dl.php?i=362006&s=994aa428bfda051370be

最小分散ポートフォリオを作る組み合わせを計算するファイルはこれです。
https://www.webfile.jp/dl.php?i=362048&s=6316d397f881e039ef50


1.DCF法

ファイナンス理論の基本は、プライシング(価格付け)です。 ファイナンス理論では、

「ある資産の価格とは、その資産が将来にわたって生み出すキャッシュフローの割引現在価値である」

と考えます。

なんで割り引くか、という点については、
http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-668.html
ここを参考にしてください。 このエントリーで書いてあるように、将来のキャッシュフローから現在の価値を計算する方法には、大まかに三種類があります。


1)現実の確率で将来のキャッシュフローを求め、それをリスクの対価としての割引率によって割り引き、現在価値を求める方法 

これが、私たちのよく知っているDCF法ですね。 実務で言うと、フリーキャッシュフローをWACCで割り引く方法、エクイティーキャッシュフローを株式の資本コストで割り引く方法、または、資産に帰属するキャッシュフローを少し異なった(しかし理論的にはより正確な)WACCで割り引く方法や、タックス・シールド分を分離して別個に割り引くAPV法など、色々な方法があります。 
 

2)将来の期待キャッシュフローから、リスクと安全利子率の対価となる金額を差し引くことにより現在価値を求める方法

あまりなじみがないのかもしれませんが、例えば、価格ベースのCAPMと呼ばれるモデルなどはこれにあたります。



3)将来の期待キャッシュフローを何らかの形で無リスク資産のもたらすキャッシュフローと等しくなるように変換して、安全利子率で割り引く方法

これには、二つの方法があります。
一つは、将来の期待キャッシュフローから、リスクの対価を差し引き、その後安全利子率で割り引く方法です。 すなわち、(期待キャッシュフロー - リスクの対価)/(1+安全利子率)がその方法になります。

もう一つは、リスク中立確率(前回やりましたね)を用いて、期待キャッシュフローを計算して(すると、期待キャッシュフローは、安全資産のキャッシュフローと等しくなります)、これを安全利子率で割り引く方法です。 すなわち、
 
リスク中立確率で求めた期待キャッシュフロー/(1+安全利子率)

という方法によって、求めることになります。

授業では、二項モデルというものを用いて、リスク中立確率を求めていましたね。すなわち、資産の価格が上昇する場合と、下落する場合の2つの場合だけがありうると考え、リスク中立確率を求めるわけです。 二項モデルにおいては、ありえる場合の数はアップ・ダウンの二つしかないので、資産が二つあれば、必ずリスク中立確率を求めることが可能になります。

こんな事を書いていると、「なんだ、二項モデルも所詮はおとぎ話のようなものじゃないか」と思われるかもしれませんが、ところがどっこい、二項モデルといっても、その単位時間をより細かく区切る事によって、かなり現実的な値をとりうることになります。

さっきも紹介した、
https://www.webfile.jp/dl.php?i=362006&s=994aa428bfda051370be
これを使うと、意外と二項分布によるプライシングも馬鹿に出来るものではないという事を理解していただけると思います。


授業中に先生もおっしゃっていましたが、二項分布からブラック・ショールズ・マートンの式を求めることは可能です。 離散型のブラック・ショールズ・マートン式を示したのは、Cox, Ross and Rubinstein (1979)の、”Option Pricing: A Simplified Approach”です。
http://www.isb.uzh.ch/studium/courses06-07/pdf/crrarticle.pdf
今は難しいかもしれませんが、読む価値のある論文です。 

ちなみに、池田先生の「金融経済学の基礎」だと、P140から、この論文の要約を紹介しています。 (何回も池田先生の教科書を紹介していますが、本当に、この本には、20世紀の現代金融経済学の主要な結論がほとんど記載されています。 )



2.リスク分散と最小分散ポートフォリオ、最小分散フロンティア
3.CAPM


これは、以前、僕が書いたこのエントリーの、以下を参考にしていただければと思います。 この記事では、MVFをどうやって作るかだけ、書いておきます。

ファイナンス理論からの10のメッセージ4:共分散。
http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-685.html

ファイナンス理論からの10のメッセージ5:二基金分離定理
http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-714.html

ファイナンス理論からの10のメッセージ6:CAPM
http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-748.html 
ちなみに、CAPMとSDFには密接な関係があります。 CAPMとは、SDFと市場ポートフォリオのリターンが完全な負の相関を持ち、かつ、資産の収益率と市場ポートフォリオのリターンについて一次的な関係が成り立っている事を前提としている理論なのです。



歴史がもし繰り返すのなら(将来が過去と同じように動くなら)、あるリターンにおいて最小のリスクを実現するポートフォリオを組むための資産の組み合わせを計算することができます。これは、日本の蠟山昌一先生の業績らしいのですが、世間一般的には、Merton(1973)の業績と言われています。 蠟山昌一先生が、日本語だけで書いてしまったのが災いしたそうです。。

あるリターンの水準において、最も低い分散をもたらすポートフォリオを、最小分散ポートフォリオ(Mean Variance Portfolio, MVF)と呼びます。 このポートフォリオを作るための資産の組み合わせは、ロジックとしては、

制約条件を置いて、ポートフォリオのリスクを各投資対象のウェイトで微分すれば求まる

わけですね。 これだけなら簡単そうですが、行列計算をしなければならないので、比較的ややこしいです。

興味のある人は、池田先生の「金融経済学の基礎」のP44からのパートを見てみてください。


(再掲)最小分散ポートフォリオを作る組み合わせを計算するファイル
https://www.webfile.jp/dl.php?i=362048&s=6316d397f881e039ef50




Comment
≪この記事へのコメント≫
 先輩。
 ちょっとわがままな提案ですが、「サブプライムローンと日本版バブルの相違点」をブログで書いてくれませんか?(時間があれば。もしくはネタがなければ…)
 中公新書の『サブプライム問題の正しい考え方』を読んだのですが、サブプライム問題は、日本版バブルと同じような事をしている感じがして、「なぜ同じことを繰り返すのか」という疑問を感じるようになりました。
 コメントへの返信程度でもいいので、よろしくお願いしますm(__)m
2008/06/25(水) 18:06:42 | URL | ちゅん #-[ 編集]
書いたよー。 よろしくね。
2008/06/27(金) 02:51:00 | URL | Taejun #-[ 編集]
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