Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:-- | スポンサー広告 | Trackback(-) | Comment(-)
MM第一命題に債務不履行の仮定はいらないです。
(多分リンクがうまくできていなかったか・トラックバックがはじかれたようなので、再チャレンジ)

池田信夫先生のブログに、また不正確な記述があったので、反論の記事を書いておきます。 多少なりとも自分がある程度学んだ分野について、正確な内容が定着するようになっていただきたいので。 (といってもこの問題は、普通に企業のファイナンスに従事している人々にとっては、大きな問題にはならない内容なので、スルーしていただいて結構です。)

どうも「負債と株式は同じ」というMM定理が、普通の人には直感的にわかりにくいようなので補足しておくと、これにはいろんな条件があって、その一つは法人税がないことで、もう一つは債務不履行が起こらないこと。

逆にいうと、倒産が起こる場合には負債と株式は同じではない。負債の場合には、ふだんは資産の残余コントロール権は債務者にあり、いくらもうかっても金利だけ払えばよいが、債務不履行になったときはコントロール権が債権者に移転する。株式の場合は、ふだんは残余コントロール権は株主にある代わり、倒産した場合のコントロール権は債権者に劣後します。

この「定額リターン/債務不履行時のコントロール権」と「変動リターン/通常時のコントロール権」という組み合わせは、自明ではない。理論的には、この2つの条件の別の組み合わせ(たとえばコントロール権のない優先株)も可能だが、現実には負債と株式が圧倒的に多い。このパズルを理論的に説明するのは、ファイナンス理論の最先端の問題で、いろいろな考え方があります。cf. Tirole, "The Theory of Corporate Finance".




別に債務不履行の可能性を捨象していることは重要な仮定ではありません。 MM第一命題が成立するための重要な条件は無裁定にあります。 債務不履行についての仮定は証明を楽にするための技術的なもので別にこの仮定は必須ではありません。 理論的には、債務不履行が存在する状況においてもMM命題は成立し、企業価値は資本構成から独立になります。 (具体的な証明の方法としては、無裁定の仮定をおけば、一意ではないまでも状態価格を求める(⇔リスク中立確率を求める)ことが可能なので、それを用いて負債と株式をプライシングすればわかります。) さらに言うと、法人税そのものも、均衡の概念を導入すると、捨象しなくても大丈夫になります(Miller(1977) "Debt and Taxes", Journal of Finance)。

僕がMMの論文を読んだ限りでは、コントロール権の議論はされていなかったように記憶しているのですが(されていたらごめんなさい)、もしコントロール権が存在しているとしても、MM理論のフレームワークで無裁定と法人税の不在を仮定として置いている限り、企業価値はその資本構成から独立になります。 


また、途中からTiroleの教科書の話になっていますが、この教科書はちょっと読んだら分かるように、契約理論をベースに書かれていて、MMとは別の次元で議論がされています。 読んだ事がない人のために蛇足をすると、この本でのモデルでは、負債と株式という区分けをせず、insiderの持っている資金とoutsiderから調達した資金という区分けをしてモデルを解いています。


Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。