Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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資本主義と自由。
資本主義と自由 (NIKKEI BP CLASSICS)資本主義と自由 (NIKKEI BP CLASSICS)
(2008/04/10)
ミルトン・フリードマン

マンキュー先生お勧めの本を読んでみました。



ミルトン・フリードマンは、本物の天才だと思いました。この本を50年前に書くなんて、想像もつきません。本当の天才は、時代を先取りしすぎるので、時代があとから追いつくものですが、この本についても、それが出版された当時は全く取り扱われなかったそうです。その後、フリードマンの言う事が実証されていくにつれて、本書の評価も上昇していきました。


本書の主張の多くは、市場に対する信頼に依拠しています。市場が機能するロジックのざっくりした流れは、以下のようになります:

A.特別な障害がない限り、双方が十分な情報を得た上で自発的に行う取引は、双方の利益が成り立つように成立する。

B.市場システムは、何よりも公平に、各人の要求を調和させる。

C.市場システムは、多くの場合、不特定多数の人々全体にとって好ましい結果をもたらす。

市場システムに対する信頼は、僕も持っています。ちゃんと整備された市場システムに対する信頼は、大衆の叡智に対する信頼に他ならないと僕は思います。


そして、フリードマンは、以下の事をそれぞれ主張します:
・市場システムが機能した上での経済的自由がない限り、政治的自由は成り立たない(ただし、経済的自由は政治的自由の十分条件ではなく、必要条件)

・政府の役割の基本は、この市場システムが機能するように働きかけることであり、市場をゆがめるような規制は、結果的に皆にとって望ましくない結果をもたらす。政府の貿易への介入も望ましくない

・完全たりえない中央銀行が行うべきことは、裁量的な措置ではなく、ルール化された機械的な措置であり、それは通貨供給量の成長率の安定である

・政府の経済予測能力に限界があり、かつ、財政政策の効果にタイムラグがあるためその政策がピンポイントで不況に効くことが望めない以上、政府は景気を考慮せず画一的に予算を立てるべきである

・外部性を持つ教育に対しては政府が援助する必要がある。ただし、教育の水準を向上させ、教育における平等を達成させるためには、市場の原理を導入するのが望ましい。そのためには、教育費にのみ使う事が出来る金券を配るのが最も望ましい。一方で、大人になってからの職業訓練は、個人の人的資本への投資なのだから、それは投資としてのリスクとリターンが伴うものであるべきである

・差別とは、受け入れがたい他人の『好み』に他ならない。成熟した市場においては、差別をする人間はそれに見合った損失を被るようになるから、差別は市場システムが未熟であるほど助長される傾向にある

・独占は市場メカニズムをゆがませる点において問題となる。反トラスト法や法人税の廃止(所得税+法人税という税の二重取りは資源の配分をゆがませる)が、独占をなくすために有効となる。

・免許制度は需給関係を歪ませるため望ましくない。免許制度は、品質保持のために必要という意見は説得的でない、なぜなら市場は、質を見分ける機能を持っているのだから

・不平等を無くすために大切なことは、独占や、関税や、特定集団への利益の供与を無くすことである

・社会保障システムの国営化は、多くの場合巨大な官僚機構を生み出し、社会に大きなコストをもたらす

・貧困をなくすためとはいえ、市場メカニズムをゆがませることは許容されない。また、権利・機会の平等をもたらすべきで、物質的・結果の平等はもたらすべきではない。貧困をなくすためには、負の所得税(すなわち、裁定所得水準に至らない人々にはお金を与える制度)が最も望ましい。この方法のメリットは、①貧困の救済のみを目的にしている点、②誰にも最も使い勝手の良い現金支給である点、③汎用的である点、④社会が負担するコストが明確である、⑤市場の外で機能するので、市場をゆがませない、⑥自助努力するインセンティヴを殺ぎにくい、という点にある


これら主張を、フリードマンそのものも絶対の真理とは考えていないようです(こういう学者の良心が僕は大好きです)。たとえば、通貨供給について自身が考えるルールについて、彼は、次のように述べています。

「なお、私がいま述べたルールが通貨管理の究極の原則であって未来永劫来れを守るべきなどと言うつもりは毛頭ない。この点は強調しておきたい。私に言えるのは、現時点で持ち合わせている知識に照らせば、通貨の安定をかなりの程度実現する上で一番有望なルールだと思われる、ということだけである。」


ただ、政府が介入する必要がある分野はもう少しあるのかもしれません。たとえば、差別というのは、一つのナッシュ均衡になってしまう事があると思いますので、これは市場メカニズムによっては崩されない場合がありえます。しかし彼の主張には概ね同意しますし、その価値は失われる事がないと思います。

Comment
≪この記事へのコメント≫
ミルトン・フリードマン。覚えておきます。

ですが、法人税をなくせば独占がなくなり、関税をなくせば不平等がなくなるというあたりがわかりません。

いわゆる「新自由主義」的な主張なのでありましょうか?素人質問でゴメンナサイ…
2008/09/15(月) 02:36:26 | URL | 三浦介 #-[ 編集]
三浦介さん

お返事が遅れて申し訳ありません。
結局は、市場をゆがめるという事なのですが、要点だけ言うと、以下のようになります。

・法人税は、すでに大きくなった企業において有利です。なぜなら、若い企業が大企業に成長するためには、利益をどんどん蓄積しないといけないのですが、その過程には多大な法人税を払わないといけません。
 大企業自らの資産には税金がかからないので、その点で大企業はゆうりになりえます。


・関税があると、特定の産業が保護されてしまう事になります。これは市場のゆがみのみならず、その産業に従事していない人々を不当に差別する事にもつながるわけです。





2008/09/17(水) 01:16:31 | URL | Taejun #-[ 編集]
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資本主義と自由 (日経BPクラシックス)作者: ミルトン・フリードマン出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2008/04/10メディア: 単行本(ソフトカバー) サブプライムローン問題に端を発した金融危機のさなかにあって、「新自由主義は間違えていた」「市場に全てを任すこと
2009/02/08(日) 16:28:22 | 本読みの記録
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