Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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金融機関保護と市場原理のトレードオフ。
自分の身に降りかかってくると、さすがに公平な判断をすることは難しいのですが、こういう時だからこそ、ロジカルに考えることが非常に大切だと思います。

金融機関の株が相当に落ち込んでいる理由には、疑心暗鬼と市場の取引システムが挙げられます。
それらに対する政府のアクションと、トレードオフについてまとめておきます。

理由1
金融機関が不動産担保証券、およびそれらに付随した様々な証券を保有していて、それらをどのように評価しているのか、について、いろいろな憶測が飛び交っています。状況が状況だけに、人々の心理は疑心暗鬼に傾き安くなります。情報の非対称性のコストが、平常時に比べて異常に高くなってしまっているのです。


アクション
これに対しては、政府がRTCを設立して不良債権を買い取る事を検討し始めたことにより、情報の非対称性のコストは下がるので、事態は沈静するかもしれません。(金曜日は事実そうなりました)

トレードオフ
■政府の損失は当然ながら納税者が負担するものです。これは公平の観点から問題があります。また、個別の企業を救済するのは、市場参加者のインセンティヴに悪影響を及ぼすことになります。

■ただし、こういう損失を政府が負わないで金融システムが完全に壊れてしまうと、その損害は、より大きなものになりえます。



理由2
多くの株式市場では空売りを許容しています。そして、価格が急激に下がる背景には、ヘッジファンドをはじめとする多くの投資家たちによる空売りがあります。 実際の持ち株以上にドーンと売ることができるので、極論するとどういうことができるかというと、(非常に単純化してしまっているのですが)

 1)1万円の株を10万株空売りする=20億が手に入る。
 2)引き続き売りまくる→破綻に追い込む→株価はゼロになる。
 3)ゼロになった株を買い戻し、株を返す

なんてことになります。今も破たんしたリーマンの株式は市場で活発に取引されているのですが、これは、空売りしていた投資家たちが買い戻しを行っている事が大きな理由と考えられます。

(それにしても、この空売りラッシュから棒倒しを思い出すのは僕だけでしょうか・・・)


アクション
そして、今ニューヨークで起こっていることは、①空売り禁止規制と、②空売りに関して違法行為を行っている会社の摘発で、これは取引所と検察によってドライブされています(そして、その背景には、金融機関のロビー活動があるとForbesは報道しています)。これと上述のRTCのおかげもあってか、金曜日のニューヨーク市場では、金融株は軒並み大幅な上昇を見せています。


トレードオフ
■このような規制は市場に歪みを生み、適切なプライシングを妨げるという弊害があります。空売りが規制されてしまうと、市場に裁定機会が存在し続けることになるので、適切な株価がつかなくなり、それは結果として、富の配分をゆがませることになります。

(また空売りを非難する金融機関の中にも空売りを行っていたところが少なくないのは事実ですし、空売りをする側にも、「クレジットクランチを織り込んだ当然の結果だ」という言い訳ができるのかもしれません(この言い分も上の記事より)。)


■しかし、①必要以上に不安をあおりたて、つぶれる必要のない金融機関までも潰してしまうのは、今後の資本市場の発展を考えると、非常に困る結果をもたらすかもしれません。空売りがどこまでも許容されると、こういう困った事態がもたらされる可能性は高くなります。

また、②一連の売り浴びせは、資本市場の規模を下げ、経済を更なる停滞へと追い込むこともあり得ます。上場というのは、資金調達のチャネルを増やすことの引き換えに、市場による規律づけを受け入れることと言えますが、現在、少なくない人々の目には、この市場による規律づけがあまりにも行き過ぎていると映るかもしれません。
猛烈な売り浴びせによって会社が潰されていくのを見る人々は、市場へと上場することを思いとどまるようになっていく可能性があります。そうすると、企業が持つ資金調達のチャネルは限られることになり、これは結果として経済全体の発展にマイナスの影響を及ぼすことになりえます。


このトレードオフの中で、正しい政策を打つのは本当に大変なことだと思います。The Economistは、「ポールソンがまだ禿げていなかったら、きっと今禿げていることだろう」、と揶揄していましたが、ポールソンとバーナンキは、本当に難しい状況に立たされているのだと思います。

自分だったらどうするだろうと考えこんでしまいます。そういう視点も持ってこの状況を見守って、いろいろな事を学んでいきたいと思います。

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