Taejunomics

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生命とは何か。

ネタがないときのために年末年始に本を読みまくったので、当分はネタ切れの心配がありません。(笑)

この期間に色々と本を読みましたが、感じたのは、古典であるほど有用な情報の量が多いということです。大学生の頃に岩波文庫を読みまくっていたのは、決して無駄ではなかったと思う今日この頃です。

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)
(2008/05/16)
シュレーディンガー

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生命とは何か
"Erwin Schrodinger
(岡小天・鎮目恭夫)" "1944
(1951)"



内容の要約
面白いと思った箇所、感想
著者に質問・意見したい点
何か引用したい点


内容の要約

量子力学を創造し、原子物理学の基礎をつくった著者による生命論。
生命を特徴づけるものとして、非周期性(内的な規則性と自立的な変異)をあげている。論証の過程は大きくは以下の通り:
 1)生物のサイズが原子に対して非常に大きいのは、原子というのはサイズが小さい(=原子の数が少ない)と、非常に無秩序な活動をしてしまうから。(√Nの法則というのがある。これは、あるもののプラスマイナス誤差は、その数の2乗根であるというもの)

 2)しかし、遺伝子は、非常に小さいサイズであることが分かっている。このサイズで安定性が保たれる理由は、遺伝子が分子であることにある、と著者は推論する(当時はそうはいかなかった)
 →「一つの遺伝子は一個の非周期性個体であると考えられる(P122)」

 3)分子が配列を変える(変異する)ためには、かなり大きなエネルギーの影響を受ける必要がある(よって分子の安定は温度にも依存する)。なので、自然環境の下で、環境の影響により個体が突然変異を遂げるとは考えられるず(だから放射線を照射すれば変異は格段に生じやすくなる)、突然変異は自発的なものであると考えられる。

 4)熱力学の第二法則(エントロピーの原理)―エントロピーは(外部から妨げられない限り)増大する(目に見える現象は何一つ起こらない或る永久に続く状態のことを、熱力学的平衡状態あるいは「エントロピー最大」の状態と呼ぶ)―、から、生命について、新たな知見を得ることができる。
 生命体が内的な秩序を維持しているのは、「生命は負のエントロピーを食べて生きている」ということができる。生命体のエントロピーは放っておけば増大し続ける(すなわち死ぬ)。それを防いでいるすべての作用、たとえば代謝、は物理学の観点から一般論化すると、負のエントロピーを取り入れること、といえる。
 
著者が個人的に感嘆している点は、人間という生き物は、自分自身の物理法則を理解できる能力を持っている、ということ。

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エントロピーの定義を。

エントロピー=k log D
ここで、k=ボルツマン定数(=3.2983×10のマイナス24乗)
D=物質の無秩序さを表す数字。これは、熱運動の無秩序さと、分子のでたらめな混ざり合いによって生じる無秩序さ(ブラウン運動などのこと?)からなる。

エントロピーは実際の値として計算される物理的な量である。単位はcal/℃。

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面白いと思った箇所、感想

ある自分の学問分野にたいする正確な理解に基づいた他分野への探求の面白さを強く感じた。 自分も一つの専攻をきわめて、そうなるようにしたい。

著者の「われわれの中の誰かが、諸々の事実や理論を総合する仕事に思いきって手を着けるより他には道がないと思います。たとえその事実や理論の若干については、又聞きで不完全にしか知らなくとも、また物笑いの種になる危険を冒しても、そうするより他には道がないと思うのです。」には強く共感する。






著者に質問・意見したい点


原子のサイズ、生命のサイズと遺伝子の小ささ、無秩序の間の関係をもう少しすっきりと示してくれたら分かりやすかったと思う。 (生命体はもちろんそのサイズ故に統計的に安定しているし、遺伝子はそれが分子である故に、比較的小さなサイズにかかわらず安定している、という意味だと僕は理解している)

講演を本にしたものだからだと思うが、より道が少し長い。



何か引用したい点

P6:「われわれの中の誰かが、諸々の事実や理論を総合する仕事に思いきって手を着けるより他には道がないと思います。たとえその事実や理論の若干については、又聞きで不完全にしか知らなくとも、また物笑いの種になる危険を冒しても、そうするより他には道がないと思うのです。」

P141:「ひっくるめていえば自然界で進行しているありとあらゆることは、世界の中のそれが進行している部分のエントロピーが増大していることを意味しています。したがって生きている生物体は絶えずそのエントロピーを増大しています。―あるいは正の量のエントロピーを作り出しているともいえます―そしてそのようにして、死の状態を意味するエントロピー最大という危険な状態に近づいてゆく傾向があります。生物がそのような状態にならないようにする、すなわち生きているための唯一の方法は、周囲の環境から負エントロピーを絶えず取り入れることです。」

P141:「物質代謝の本質は、生物体が生きているときにはどうしてもつくり出さざるをえないようなエントロピーを全部うまい具合に外へ棄てるということにあります。」
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