Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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ムハンマドユヌス自伝。
ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家
(1998/10)
ムハマド ユヌスアラン ジョリ

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内容の概要

グラミン銀行の総裁である、ムハンマド・ユヌス氏の自伝。アメリカから独立後のバングラディッシュに戻り、経済学の教授として働くときに地元チッタゴンで直面した現実を打開するために始めたローンが、グラミン銀行にいたるまでの過程を描いている。

・クレジットのアイディアは、彼の人間観に由来している。人間にとって最も大切なのは精神的な自立であり、施し・援助は、それを妨げるものである。人間が、自尊心を取り戻すためには、自分が自立していけるという体験を持つことが必要であり、ローンを借り、それを返していく、ということは、人間が自らの尊厳を取り戻すために必要なのだ。女性への貸付が多い理由の一つは、女性が多くの社会で貶められている現実とも関連している。

・グループレンディングは、グループの力学に対する理解に基づきなされている。融資を受ける過程で、個人はグループから支援と圧力をうけることになり、かつ一人一人が融資に対して道徳的責任を感じるようになることが、重要である。

・彼は、システムの大切さを強調している。貧困が構造的な問題である限り、その解決は、スポットの善意で達成されるものではなく、システムを構築することにより達成されると説く。ユヌス氏は、貧困の構造は全世界において類似していると説く。だから、グラミンの経験は世界中の多くの場所に適用可能なものである。事実、世界中で、グラミンのモデルは成功を収めている。

・ユヌス氏は、現場を知ることの重要性をつねに説いている。グラミンの信用供与のシステムは、彼の長い間の現場経験にもとづいて、テーラーメイドされて作られたものであり、グラミンに就職した人間は、まず現場にいき、そこで学ぶことを求められている。グラミンの返済方式が少額ずつになっているのも、借り手の心理的負担を考慮した結果。



感想

・LIPがマイクロファイナンスにひかれるに至った背景にあるアイディアと、ユヌス氏の考えが同じことが嬉しかった。僕たちも、人が困難から抜け出すために一番大切なのは本人たちの自立の意志であり、生産活動を通じた尊厳の回復(自分が社会から必要とされている実感)にあるということを信じている。人は、他人から厄介者と考えられていると思っていると、生きていくことが困難だ。

・サックス教授や多くの人が話しているように、MFは常に万能薬でないという点は常に理解しておくべきだ。貧困の罠に陥っている人には、純粋な援助が必要なことがある。



質問・コメント

・あまりにもこの本はバラ色で描かれてはいないだろうか。97年という出版時期によるものなのか、もしくは彼がそのようなポジションを張っていることによるものなのか分からないが、現在指摘されている問題点(たとえば本当に貧しく仲間を作れない人は融資を受けられない)についても取り上げ、それに対する筆者の意見を聞きたかった。(一応、P208でマイクロクレジットが万能薬でない点については書いているが)

・返済を免除するということが、完全に相手の自立心を否定する(P209)、という議論は言いすぎなのかもしれない。

・専門外の分野に対して述べるのはよいが、やはり議論が少し微妙な感じがある。ジェフリー・サックスのすごいところは、きっちりと相当の知識を積んでから他分野の議論に参加しているところなのかもしれない。


引用したい箇所
P53:どんな場合でも、施しは金を受け取る者の尊厳を奪い、収入を得ようとする意欲をも奪い去ってしまうのだ。 

P209:借り手には必ずローンを返済してもらうというのが私たちの哲学である。・・・そうする目的は、借り手の自立心を高め、自分の可能性に対して誇りと自信を持ってもらうことである。 

P241:資本さえあれば付加価値を生み出すことが出来るのだ。

P110:開発援助を行ううえで、本当に貧しい人々と少しましな状況の人々を一緒に対象にしてしまうと、少しましな状況の人たちが本当に貧しい人々を駆逐してしまうのだ。

P145:貧困というのは慢性病だ。その場しのぎの処置では到底治すことなどできない。


Comment
≪この記事へのコメント≫
なるほど…

災害時などを除いて、無償援助だ無償ODAだというものは全廃した方がよいのかもしれませんね。
2009/02/13(金) 15:29:51 | URL | 三浦介 #-[ 編集]
ある程度の経済段階にある人々にとっては貸し付けが重要というのが、ユヌスさんのメッセージだと思います。 

実際に、グラミンでは、極度の貧困にある人達には貸し付けでなく援助をしています。




2009/02/14(土) 16:31:10 | URL | Taejun #-[ 編集]
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2009/02/15(日) 15:36:38 | LIVING IN PEACE - マイクロファイナンスの新地平
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