Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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市場の変相。
市場の変相市場の変相
(2009/02/17)
モハメド・エラリアン


時代の試練に耐えられる原理原則を述べているかどうか、というのが、時間がない時に読む本を選ぶ際のポイントだと思っています。もし現象について述べている本(ビジネス書の大半はこれだと思います)を読む場合には、ちょっと質の高い特集記事を読むつもりで、出たらすぐに読むべきだと思います。

だから、僕はほとんどの場合、ビジネス本を読まないですし、さらに本書は訳書であるため、無視できないタイムラグがあります。それでも、各紙で絶賛されている本なので、ちょっと読んでみました。(前置きが長くてすみません。。)



本書で主張されているのは、現在の市場は過去のものとは異なるものになっているという仮説です。今日の市場においては、①国際的な力関係の変化に伴う新興国の経済がもたらす影響の大きさ、②金融資産の膨大な積み上げによる、新興国プレーヤーの参入、③新しい金融商品の開発がもたらした投資家の層と量の拡大による市場の」構造変化、という3点において過去とことなると著者は主張し、本書の多くの部分はその説明に割かれています。複数均衡と行動ファイナンス・経済学のロジックと多くの例証が、その主張をサポートしています。


ただ、個人的には、そういう主張にはあまり興味がなく、この危機を事前にしっかりと察知していた著者のものの見方考え方に興味があるので、それらについて学んだ点を紹介しようと思います。

著者は、優秀なファンドマネージャーの持つべき能力は、①勘、②経済学的思考能力と③金融工学的な能力の三つだと紹介しています。

そして、そのうちで勘に属するノイズ察知能力について、著者は比較的多くの紙面を費やしています。

本書ではケインズの名言が紹介されています。

新しいアイデアを理解するのは難しくない。本当に難しいのは古いアイデアを捨てることだ。われわれと同様の環境で育った世代の場合、ふるいアイデアが頭の隅々にまで組み込まれている。



人間は、経験則から大幅に逸脱した現象を目にすると(アメリカ株式市場の空前の上昇に対する長短金利の逆転、VIX指数の驚くべき低下という異常現象が2007年に生じていた)、それを単なるノイズとして、時間がたてば解消されていく一時的な現象として処理してしまいがちです。そうではなく、ノイズの中にある、本当のシグナルを察知する能力を持つためには、次のステップが重要であると著者は説いています。

・ノイズを過小評価や先入観を排して、ノイズの発信元を見極める
・モデルを通じて、シグナルの内容を吟味し
・自分の意見を持ったうえで、他の専門家の意見を聞く

これは、今だからこそ言うのは簡単ですが、実際に行うのは非常に困難なことだと思います。特に短期的には、みんながアホなら踊らないと損をするような状況も少なからずあり、こういうシグナル察知のための努力を避ける誘因が働きがちです。そこで一歩踏みとどまって考えるのが、人間知性のあるべき姿なのでしょうね。


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