Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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波乱の時代
波乱の時代(上)
波乱の時代

約20年にわたる長いFRB議長任期を中心とした著者アラン・グリーンスパンの自叙伝と、経済についての見解が合わさった格好となっている。

フクロウ(ミネルヴァの)が、知恵の化身とされるのにはわけがある。それは、事象が明らかになってから、初めて見えてくることがあるからだ。この本は、出版当初はあまり読む気がしなかったのだけれど、最近になって、読む気になってきた。金融危機のはじまりからある程度時間の経った現在において、僕たちは著者の考えの正誤を判断する材料をより多く有しているからだ。

ある程度その人物の毀誉褒貶が落ち着いてから自伝を読んだ方が、多くの学びが得られるような気がする。



興味深かった内容を4つのポイントに絞ってまとめておく。

・グリーンスパンのStreet Smart
 以下の点は、かなり普遍性のある指摘なのではないだろうか。

 -経済活動の基本的な主体は人間であり、人間行動に対する理解が大切である。そして、世界中の人々は多くの共通点を有している。人はみな、他者から認められることによって自尊心を満足させたいという欲求をもっていると著者は喝破する。
 -もっとも発展した国においては、GDP成長率の限界は3%。これは、イノベーションのみによってもたらされる成長率の限界ともいえる。(途上国は、先進国の技術を使えることにより、高い成長率を得ることができるが)
 -モデルの構造を高度にするよりは、直近の詳細な四半期のデータの方が、予想の精度を上げるうえで重要である
 -政策を立案するときに、それが間違っていた場合の悪影響が大きいのであれば、正しい確率が50%以上でもその政策はとらない→重大な仕事をするすべての人に対する貴重なアドバイス
 -ポピュリズムは所得格差が極端に大きい国で蔓延しやすい
 -情報技術の発展は、人々のリスクテイクへの意欲を高めた
 -経済の発展は、多くの賃金を稼げる労働者に要求する教育水準を高めていった


・様々なエピソード
 -バンド時代、JPモルガンに関する本を読んで金融にひかれるようになった。
 -話の曖昧模糊さ。妻のアンドレアは、3回目にしてはじめてプロポーズに気付いたが、アランによると、そのプロポーズは5回目だった(!)。
 -歴代大統領とその他主要閣僚の人間描写。
 -話の曖昧模糊さ。プロポーズも5回したのに気付かれなかったほど(!)。


・世界経済についての著者の認識(のうち僕が興味を持ったもの)
 -英国:サッチャーの自由化による経済の促進
 -日本:体面を重視
 -フランス:伝統的に労働者の権利に対する保護の意識が強い。その背景には、文明と歴史観を意識的に経済の指針としていることがあげられる
 -ドイツ:素早い経済復興
 -ロシア:不完全な法の支配に支えられた市場経済。これまでのブームは原料価格上昇に負うところが大きい。官僚による原料産業の事実上の接収等にあらわれている。
 -中国:市場経済とりこみの成功、広がる格差、未発達の民主的プロセス
 -インド:どこよりも国民精神が社会主義に近い国。大きなアキレス腱となっているインフラの未整備もこれによるもの。マンモハン・シンの経済改革は、同国に市場資本主義を導入することによって経済発展が達成されるということについての証左となった。
 -南米:ポピュリズムの蔓延による景気停滞


・経済成長のためのカギ
 -法の支配:財産権の保護、言葉が信じられること
 -経済の柔軟性
 -経済の自由度:157カ国の経済自由度と一人当たりの所得の対数値との相関係数は0.65(計算根拠が未確認なので何ともいえない側面もあるけれど)
 -物価の安定


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