Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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ファイナンス理論からの10のメッセージ9:MM命題
これのシリーズもだいぶサボっていましたね・・・ 完結させちゃいましょう。

メッセージの要旨:誰にも簡単に出来る価値の上げ方なんてない。

多少かっちりしたMM命題の内容はすでに野口先生の授業のまとめ(リンク)で書かれているので、ここではもう少し基本的なところを書いておこうと思います。

1.負債による資本調達と株式による資本調達
2.資本コスト
3.錬金術は存在するか?


1.負債による資本調達と株式による資本調達

ある会社がお金を集めるには、二つの方法があります。

①ひとつは、お金を貸してもらうこと。タイミング毎にしっかりと金利は返さないといけないですし、最後になって返済できない場合、会社の財産はお金を貸した人の管理下に置かれることになります。

このように、お金を借りることによりお金を集めることを、負債による資金調達といいます。


②もう一つのお金の集め方は、会社の一部を買ってもらうこと。お金を出した人は、会社のオーナーとして、会社に利益が出ればそれだけの利益を受けることができますし、会社の業績が芳しくないときにはなにも得られないかもしれません。持ち主として、会社に物申すこともできます。

このような、会社の一部を買ってもらうことによる資金調達を、株式による資金調達といいます。



2.資本コスト

さて、この株式と負債の資金調達を比較したら、どちらに対して、投資家はより高い見返りを要求するでしょうか。

答えは多くの場合、株式です。なぜなら、株式を持つことによるリターンは負債を持つことによるそれよりもリスクが高いからです。(同様に、多くの場合分散不可能リスクも高い) 高(分散不可能)リスク・高リターンの関係から、株式の方が要求されるリターンが高くなるわけです。

負債や株式の投資家が要求するリターンは、会社の経営者からみれば、コストと考えることができるでしょう。そこで、負債や株式を購入する投資家の要求するリターンのことをそれぞれ、負債の資本コスト、株式の資本コスト、と呼ぶわけです。(これは、負債の期待収益率、株式の期待収益率、と値としては同じものです。呼び名の違いは、この値が投資家からの見方に基づいたものなのか、企業からのそれなのかの違いによります)

資本コストが高ければ高いほど、会社の将来収益に対する割引率は高くなり、結果として、会社の事業から得られるキャッシュフローの価値は低くなっていきます。(この点については、第三回を参照)



3.錬金術は存在するか?

となると、ここで不思議な現象に出くわすことになります。

例として、負債のもともとの資本コストを10%、株式の資本コストを20%としましょう。

そして、ある会社が1年後に業務から得られるキャッシュは132億円だとします。

・1年後の132億を資本コスト10%で割り引いた場合
=132/1.1=120億円が、1年後のキャッシュフローの現在価値になります。

・1年後の132億を資本コスト20%で割り引いた場合
=132/1.2=110億円が、1年後のキャッシュフローの現在価値になります。

となると、金利払いについては税金からおちる、というような事情を無視しても、負債だけで資金調達をした方が、会社の価値をあげることになります。資金調達が違うだけで、1年後のキャッシュフローの価値(これを全ての将来について足し合わしていけば、会社の価値になります)は、違うものになってしまうのでしょうか。


そんなうまい話はない、というのがMM命題の主張です。これは、モディリアーニさんとミラーさんが提唱したために、こういう名称がついています。MM第一命題と第二命題を紹介しましょう(実は第三命題もあるのですが、それはちょっと省略):

MM第一命題
①負債で資金調達しても、株式で資金調達しても、企業の価値が変わることはない
②負債で資金調達しても、投資家が企業に平均して要求する収益率について変わるわけもない

MM第二命題
株式収益率=営業リスクを反映した収益率+財務リスクを反映した収益率


(先の例でいうと、負債ほぼ100%の企業のキャッシュフローの価値が変わらないのは、負債の調達比率が高いほど、財務リスク(たとえば債務不履行に陥ってしまうようなリスク)が高まり、負債の資本コストが高まるためです。)


この命題を簡単に言うと、こういうことです。

企業価値を決めるのは、決して財務戦略ではなくて、その企業の本業である。

この背景にあるのは、無裁定の考え方です。誰も他者が労せずに真似できるようなことによって、企業の価値をあげることはできないのです。 これは、個人の問題に置き換えても同じかもしれませんね。 誰でも出来るようなことをしたからといって、その人の価値が上がることはないのです。 (ただし、誰にでも出来ることをコツコツやりつづける、というのは、簡単にできることではないので、ここでいう「誰にでも出来ること」に当てはまらないと僕は考えます)


というわけで、明日はいよいよ最終回。オプション価格理論です。
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≪この記事へのコメント≫
二次試験玉砕後
 こんにちは。久しぶりのコメントになってしまいました(汗)二次試験に向けて勉強したのですが、見事玉砕してきました。

 っと私のことは置いておいて、「ファイナンス理論からの10のメッセージ」はいつも勉強になって好きなカテゴリーです。話言葉で書かれているからですかね?理解しやすいです!

 それと、Taejunさんの声ステキですよ!逆に自慢してもいいくらいかと思いましたよよよ
2009/06/10(水) 17:43:47 | URL | 生ぷー #-[ 編集]
生ぷーさん、
ブログの書評も有難うございました! (たまたま見つけました)

これで無事に完結させました。 最近は、一つ一つペンディングのものをやっつけています。

声は、他人がどう言おうと、やはり自分の声には非常に違和感があります・・・ こちらも有難うございました!

二次試験は残念でしたね。。 何か分からないことがあったらいつでも教えてください。
2009/06/11(木) 01:00:59 | URL | Taejun #-[ 編集]
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