Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:-- | スポンサー広告 | Trackback(-) | Comment(-)
喜ぶのはまだ早い(かもしれない)
ヘッジファンドリサーチの調査によると、5月のヘッジファンドの平均リターンは5.2%で、2000年以降では最高の数字を叩き出したそうです。これにはいくつか理由があると考えられます:

・相場全体の大幅な上向きに乗じたもの:2009年6月のS&P 500の数値は、2008年10月の水準まで回復

・生き残りバイアスによるもの:2008年には1500のファンドが清算され、現在の全資産運用残高はピーク時の約4分の3である1.3兆ドル

・市場に引き続き残る混乱に乗じた超過リターンによるもの:LTCM危機後の一時期は、ヘッジファンドにとっても最もパフォーマンスが良かった時期の一つでした


ファンドへの銀行からの資金供給姿勢も若干和らぎを見せているようです。

しかし、これらヘッジファンドの好調や株価の回復を理由に経済は今後上向いていくと考えるのは、少し早計なのかもしれません。というのも、株価は短期的には経済の期待によって突発的に動くことがあり、短期的には景気のトレンドと一致しない場合があるからです。

株価は、理論的には企業活動から将来にわたって得られるキャッシュフローを、何らかの形で割引くことにより得られます。 たとえば、簡単なモデルの一つであるゴードンモデルにおいては、

株価=(企業の利益×配当性向)÷(要求されるリターン―配当の成長率)

として株価は求められます。
この分母は、経済全体のリスク回避度や期待感などに大きく左右されます。これが株価のダイナミズムの多くを作り出しているといえます。

しかし、経済が本当に上向くためには、このモデルにおける分子、すなわち企業活動からのキャッシュフローが改善されることが必要で、この点について、見通しは決して明るいとは思えません。

生産は引き続き落ち込んでいます。アメリカの鉄鋼生産は前年度比の47%減であり、スタンダード&プアーズによると、アメリカの2009年における倒産数はすでに2008年のそれを上回る7.29%に達し、2010年には14.3%になるという予想がされています。2008年のような派手さはないまでも、2009年において、企業へ不況によるのダメージはじわじわとボディーブローのように効いてくるのかもしれません。

また、今回の一連の状況の引き金になったアメリカの住宅ローンの債務不履行率は引き続き上昇していますし、欧州中央銀行によると、欧州の銀行は今後さらに2830億ドル分の評価損を計上する必要があるかもしれないそうです。


短期的なぬかよろこびは精神衛生的にもあまり良いとは思えません。世に出回る論調に乗らずに、冷静に足もとの数字から事実を見つめることは非常に重要だと思います。


(事実関係のネタ元は
http://www.economist.com/research/articlesBySubject/PrinterFriendly.cfm?story_id=13832269
http://www.economist.com/businessfinance/PrinterFriendly.cfm?story_id=13871130)





Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。