Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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貧困大国アメリカ①:市場原理の過度の適用
Living in Peaceの教育プロジェクトはコツコツと進めています。 マイクロファイナンスの時もそうだったんですが、最初はこじんまりとした感じで進むんですよね。 地道にコツコツ勉強です。 

US.jpg
ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

今回は僕が発表した、貧困大国アメリカの紹介です。 

本書は、
① 自由競争原理を適用すべきでない分野に適用した結果
② その結果貧困層に転がり落ちた人々を待ち受けているもの

ついて、アメリカで実際起こっていることをまとめたものです。自由主義に傾斜する各国に警鐘を鳴らしています。今回は①について紹介します。


1.安全保障分野-人災だったハリケーン・カトリーナ

1.1 FEMAの民営化
 ハリケーン・カトリーナで多大な被害者が出た一因は連邦緊急事態管理庁(FEMA)の対応の遅れ、支援が必要な避難民に対する支援の打ち切りなどでした。人命を救うべきFEMAがこうなった理由は、FEMAが民営化されたことであると、著者は話します。 それをドライブしているとされるのは、「鉄の三角形」と呼ばれたブッシュ大統領の三人の側近FEMA新長官、カール・ローブ大統領上級顧問、カレン・ヒューズ国務次官(すべて当時)だそうです。

 民営化されたFEMAの主要任務は、いかに災害の被害を縮小し多くの人命を救うかということから、以下に災害対策業務をライバル業者よりも安く行うことができるかに変わりました。民間会社の第一の目的は効率よく利益をあげることですが、このロジックで命までも計算に入れられると、助けられるのは金持ちで、助けても何の見返りも期待できない貧困層は見殺しにする誘因が働きます。


1.2 貧富の差と被害
 また、これは多くの人が指摘することですが、貧困にある人ほど、災害に対し脆弱です。貧しい人は車を持っていないため、避難勧告が出ていても逃げられませんでした。また、低所得層が住む地域の税収は低く、それが公共サービスの質の低さにも反映されています。 

 のみならず、災害で廃墟となった低所得者の居住地域の跡地には、高級コンドミニアム、ショッピングセンターなどが建設され、低所得層は行き場を失っているそうです。



2.教育分野
 教育分野においても、民営化により、国からの教育予算は大幅にコスト削減され、教職員の解雇が起こり教育水準は低下しています。 これを抑えるという表向きで制定されたNo Child Left Behind Act(2002)も、表向きには全国一斉学力テストを義務化し、責任は学校のものとするので、教育サービスの質は向上する、というものですが、裏事情があるのかもしれません。 なぜなら、学校は生徒の個人情報を軍のリクルーターに提出することが義務付けられ、拒否されると助成金がカットされるためです。 想像しうるのは、軍が家庭が苦しい高校生を狙い撃ちにして入隊を勧誘する、というものです。


3.医療分野
3.1.世界一高いアメリカの医療費
 あめりかでは、一度の入院で破産しかねないほどに医療費が高いです。本書では、マンハッタンで盲腸で一日入院しただけで130万円かかる事例も紹介されていました(日本では10万円もかからない)。

 出産のために、病院にに泊らなくても40万円以上かかるため、妊婦は日帰り出産するそうです(日本では、入院しても30万円程度)。こういったこともあってか、アメリカにおける乳幼児死亡率は先進国の中ではナンバーワンです。

 「病院は慈善事業ではありません。ですが、かといってビジネス、と割り切ってしまうのは非常に危険です。効率や利益を求める競争原理をいのちの現場に持ち込むやり方は、何かが大きく間違っているのです。」とは、医療関係者の謂い。

 また、病院内で効率化が進むことにより医師、看護師一人当たりの負担が増加し、ミスが増えるという問題も存在しています。 医療費が払えないため、「予防」としてサプリメントの大量摂取が起こり、それが新たに病気を誘発する可能性についても、紹介されていました。


3.2.医療保険
 訴訟リスクの増大に伴う病院の医療保険支出の増加により、廃業を余儀なくされる病院が増加しています。保険料が払えないために、医療保険未加入者の数は増大の一途。2007年時点で4700万人。オバマ政権での医療改革も難航の兆しを見せています。



4.戦争
 戦地における民間事業を請け負う会社が、アメリカには多数存在します。その会社の勤務者は、アメリカ国内を含めた世界中の貧困層が多いです。
 声をかけられた人々は、多額の報酬のために、命の危険にさらされながら、自らの思想信条とは関係なしに勤務しています。

 たとえば、放射能にさらされ白血病になった勤務者の派遣元であるKBR社のウェブサイトを見てみましょう。これは、ブラックジョークでしょうか。。

With more than 50,000 employees around the world, we offer highly sought-after opportunities in engineering, construction, operations and maintenance, logistics, and project management services to individuals seeking a challenging and rewarding opportunity.
(http://www.kbr.com/careers/about_kbr/index.aspx)



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