Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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なぜ若者の失業率は高いのか
(謝辞:Twitterに書いた問題意識に対するレスを参考にさせて頂きました。
@fortuneport @shoshoshota @satoshimmyo @3keys_takae @nike1125 @shoko_y @eurodollari @yokanai @niyata2807 @moraimon
に御礼申し上げます。)


日本における15~24歳の失業率が9.9%に達したとして、OECDが去年の秋に日本に対して雇用対策が急務だと警告したそうですが、失業率の高まりと若者の失業率の高さは世界的な現象のようです。今日は、若者の失業率の高さを再確認し、その理由を考えてみようと思います。



1. 世界的に若者の失業率は高い

まず日本の状況から。
図1(出所:総務省統計局)

若者の失業率の高さは歴然としています。他の年齢層に比べ、約2倍の水準で推移しています。個人的に気になるのは、若者の失業率はもともと高かったものの、バブル崩壊以降他の年代と大きく引き離されるようになった、という点です。



世界の時系列データはとれていないのですが、2000年以降においては、若者の失業率の高さは世界的な現象のようです。

OECDのレポート(http://www.oecd.org/dataoecd/0/30/37805131.pdf)は世界的に若者の失業率が高いことを示唆しているように思います。図2もちろん、失業率については各国で算出方法が異なるので、国の間の比較には注意を要しますが、同じ国の異なる年代の比較においてはさほど気にしないでも大丈夫だと思います。



また、非正規雇用にある人の数も、世界的な高まりを見せています。

図3全体平均を見ると確かに非正規雇用従事者の数は上昇しています。これは、非正規雇用の増加の一部は経済のグローバル化によってもたらされているという主張と整合的です。日本、スロバキア、オーストリア、イタリア、オランダ、ポルトガル、ポーランドの非正規雇用はこの95年から2005年までの間に約2倍に増加しています。逆に減少しているのがトルコ、アイスランド、ノルウェイ、デンマーク、フィンランド、スペイン(とはいっても、スペインは現在も非常に高水準ですが)。



2. 若者の失業率が高いのはなぜか

単に若者が搾取されていると断じるのはとても楽なのですが、その理由を明確に出来ないのであれば打開策を提示することは困難です。若者の失業率の高さの理由として考えられるものには3つがあります。


新規採用を通じた人員調整

日本や大陸ヨーロッパの会社では、伝統的に従業員の終身雇用を保証している会社が少なくありません。こういう会社では、企業状況が悪化したときに、従業員をレイオフするのではなく新規採用を減らすことで対応する可能性が高まります。若者は企業状況悪化時の緩衝材として使われているとも云えるのかもしれません。

余談ですが、このように終身雇用を保証する企業が多い国では、転職市場が発達していないために、労働力市場がとても非流動的になります。このような国では、レイオフが大きな社会問題になるため、株主価値最大化に疑問を投げかける、ステークホルダー資本主義が跋扈する可能性が高まります(ステークホルダー資本主義が好ましくないことについては、前回の記事を参照)

この議論の説得力はかなり強いのですが、アメリカなど、企業が比較的よく従業員をレイオフする国の状況を説明することは難しいのかもしれません。



豊かさ故の就労インセンティヴの低下

豊かな国では、親がある程度の資産を持っている場合が多く、子供は最悪の場合でも親の「スネかじり」をして生きていけるのかもしれません。そういう状況にある時には、子供である若者たちは、あまり必死に就職活動を行わないのかもしれません。それが結果的に若者の失業率の高さに結びついている可能性があります。

ただし、この議論が開発途上国にどこまで通用するか、疑問はあります。

図4左の表から分かるように、開発途上国においても若者の失業率は高い水準になっています。

(Source – Hong Kong, Indonesia, PNG, Solomon Islands & Sri Lanka - Country Case studies; Australia & Japan - ADB (2001); Thailand - ILO (2001); Philippines – Digby (2002).)



年齢層における学歴構成の違い

学歴と就職状況には明確な相関があります。例えば日本で24歳以下の人々をとると、中卒・高卒・大卒の人々のうち働く意思を持っている人々が失業者数の母数になります。これに比べ、25歳以上の人々の場合、大学院の卒業生も失業者数の母数になります。すなわち、高い年齢層と24歳以下の層では、労働人口の学歴構成が異なっているのです。

もし大学院卒業生の失業率が他の学歴保有者よりも低いのであれば、25歳以上の人々の失業率は自然に低くなる可能性があります。また、高校中退率(その失業率はとても高い)が増加する場合にも、24歳以下の若者の失業率が高くなります。ちなみに、現在年間での高校中退者数は10万人を超えていると云われています。



3. 考えうる打開策

上の三つの理由に即していえば、やるべきことには3つ考えられます:
・労働市場の流動化をすすめ、企業の雇用慣習の変化を促す
 転職が簡単に行えない社会では、企業はなかなか従業員を解雇しにくくなります。労働市場が流動化すれば、この問題はある程度解消される可能性があります。

・就職へのインセンティヴが強まるための施策をとる
 とは書いたものの、なかなか理由2の対策は思いつきません。 豊かになれば必死さが下がるのは避けようがないのかもしれません。

・高校中退率を下げる
 学校選択制の導入(そうすればミスマッチに基づく中退率は下がる)やミクロレベルでの取り組みを行うことにより、改善する可能性があります。


最後の「高校中退率を下げるためのミクロレベルでの取り組み」は、Living in Peaceがまさに今年から本格的に開始する教育プロジェクトの内容です。学びに意義を見出し、中退率を下げることは、若年層の失業率を下げることにつながると思っています。

国内での教育プロジェクトは現在準備中で、春にはパイロットプログラムが始まります。

(仲間募集中です!興味のある人は、気軽にミーティングにお越しください。taejun.shin@gmail.comにご連絡いただければ幸いです。)



Comment
≪この記事へのコメント≫
「就職へのインセンティヴが強まるための施策をとる」について,我が家の教育方針の為,具体的なソリューションに落とし込めてませんが,「大人って楽しいんだよ」「仕事って楽しいんだよ」と自分自身が楽しんでいる姿を子供に見せるようにしています.

マズローではありませんが,自己実現欲求を刺激する段階に来ているのではないでしょうか.
2010/01/21(木) 12:00:54 | URL | 厨マコト #G1zwnuas[ 編集]
Re: タイトルなし
有難うございます。

> 「就職へのインセンティヴが強まるための施策をとる」について,我が家の教育方針の為,具体的なソリューションに落とし込めてませんが,「大人って楽しいんだよ」「仕事って楽しいんだよ」と自分自身が楽しんでいる姿を子供に見せるようにしています.

それいいですね! そういう夢をもたせられるかが、本当に大切だと思っています。
NPOの活動の参考にしますね。

2010/01/29(金) 01:04:03 | URL | 慎 泰俊 (Taejun Shin) #-[ 編集]
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2050年には40%以上が65歳以上になります。投票権は過半数がリタイアした老人たちが握ることになります。そのような老人達が利己的な政策を選択した場合、国の老化は急速に進み、老衰にむけて一直線に進んでいきます。何故このような状況が引き起こされているのでしょうか。
2010/01/16(土) 20:38:08 | keitaro-news
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