Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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下がり続ける出生率
全世界の出生率はこの30年で4割低下し、今後もその傾向は続きそうです。一番明確なドライバーはこの30年の間にもたらされた経済成長です。地球の資源に限りがある以上、出生率の低下傾向は好ましいことだと個人的には思っています。

1. 下がり続けている出生率
2. 出生率低下の理由
3. 出生率低下による人口縮小は好ましい傾向



1. 下がり続けている出生率
出生率の下落(とそれに伴なう一時的な少子高齢化)は、日本に限った話でなく世界的な潮流です。www.unpopulation.orgには、出生率に関する詳細なデータがあります。
http://www.un.org/esa/population/publications/worldfertility2007/worldfertility2007.htm


1WorldFertilityPatterns.jpgその2008年3月のレポートをまとめたのが左のテーブルです。特殊出生率(Fetility Rate、平均して一人の女性が15歳から49歳までの間に生む子供の数)はこの30年で顕著な低下を見せています。低下が著しいのが、貧しさから抜け出しつつある国であり、地域的にはアジアとラテンアメリカ・カリブ海地域の国々です。







2Fertility1.gif次はEconomistによるグラフですが、人口は増大しているもののその増加率はかなりのスピードで落ち込んでいることがわかります。特殊出生率が2.1になると、人口は安定すると云われています。2010年代の半ばまでには、半分以上の人口を占める国において、Fertilityは2.1以下になることが見込まれています。











2. 出生率低下の理由

出生率が下がる理由にはいくつかが考えられています。そのうち主要なものを紹介します。

1.1. 経済成長によるもの
最もわかりやすく、また実際のデータとの整合性もあるのがこの説明です。
国が経済成長を達成し、一人ひとりの生活水準が向上すると、同時に教育水準も高まるため、子供一人を育てるコストが高くなります。また、医療も発展し、子供の生存確率が高まるため、子孫の存続についてのリスクが低下します。このことは、家庭に出生率を下げるインセンティヴをもたらします。


3Fertility2.gifこの説明はデータとも整合的です。左のグラフは、横軸に一人当たりGDP、縦軸に特殊出生率をとっていますが、その関係は右下がりの線を描いています。すなわち、一人当たりGDPと出生率は反比例していることが示されています。

子供を育てるコストという観点からの説明を用いると、先進国の中でも出生率が異なる理由をある程度説明出来るかもしれません。

先のUNのデータでは、フランスの特殊出生率は1.87です。そのフランスでは、第二子以降には所得制限なしで20歳になる直前まで家族手当が給付される、子どもが3歳になるまでは育児休業が認められるなど、様々な家族手当があるととともに、課税制度においてはN分N乗課税制度(所得が同じなら子どもが増えるほど一人当たり所得が下がり、税率が下がりやすい)を採用しています。ただし、N分N乗税制は、所得が中程度の家庭についてあまり影響がありませんが。

逆に隣のドイツでは、保育サービスが不足していることや、フランスよりも性別による分業意識が強いことなどが理由なのか、特殊出生率は1.35となっています。

ちなみに、教育費の高さが指摘される日本や韓国の特殊出生率はそれぞれ1.27、1.21です。一人っ子政策を採用している中国の特殊出生率は1.38で日本や韓国より高いことには、データを見ていて驚きました。


1.2. 女性の社会進出
経済成長についての議論との分離は容易ではないのですが(とくに開発途上国において)、女性の社会進出が進むと、子供を産み・育てることによって得られなくなる収入(すなわち産児・育児休暇の機会費用)が高まるため、産む子供の数を減らすインセンティヴが高まります。

ジェフリー・サックスの「貧困の終焉」にも顕著な例があります。マイクロファイナンスが浸透しているバングラデシュでの話です。マイクロファイナンス機関からお金を借りビジネスを自ら営んでいる女性たちが、サックス教授の「子供は何人いるか」という質問に対して、とても少ない出産数を告げる場面です。




4biggestchange.jpg
1.3. その他要因
一人っ子政策や、ある地域での紛争や戦争などの特殊な要因によっても、出生率は変化します。
中国の70年から75年の間の特殊出生率は5.75でしたが、一人っ子政策の後にそれは1.38まで低下しています。戦争は経済にも破滅的な影響をもたらすので、内戦と経済停滞が続く開発途上国では、出生率が高止まりしているケースが少なくありません。




3. 出生率低下による人口縮小は好ましい傾向

特殊な要因を排除するのであれば、経済が成長するにつれ(そしてそれは少なくない場合、男女の機会平等と同時進行します)、出生率は低下します。 低下した出生率は、一人当たりの資本を高めるため、生産性を向上させ、さらに一人当たりの所得を増大させる可能性が高まります。 すると、人口縮小のループが作用することになり、一定水準まで出生率は低下していくと思います。

出生率のさらなる低下は、将来かなり高い確率で起こり、好ましいことだと思います。なぜなら、地球の資源には限りがあり、全員が先進国に住む人々と同じ水準の生活をするためには、現在の世界人口は多すぎると思われるからです。悲劇を回避しつつ、皆がよく暮らせる世界を実現するためには、人口の自然減は一番好ましいことだと個人的には思っています。もちろん、国により相対的に人口は過多・過少な場合があるので、この一般論を全ての国に一律適用するつもりはありません。

人口縮小が生じると一定期間において、ある世代の負担が増加する可能性があります。年金の負担がその典型です。でも、人口をこれ以上増やすわけにはいかないという前提を共有出来るのであれば、考えるべきはその世代間負担をリーズナブルにする方法であって、無理に多産を推奨することではないと思っています。
Comment
≪この記事へのコメント≫
Re:下がり続ける出生率
日本の場合ですが、本当に子どもがほしいのに、仕事がない、お金がない、時間がないなどの理由で諦めざるを得ない人がたくさんいます。
その点を見ると、やっぱり不幸だと思います…。

理想の子どもの数を、実際に産めるようにするだけで出生率は少し上がります。そこくらいまではあげる努力をすべきだと思うのですが。

働いている女性は産みたくなくなるのではなく、産めなくなるというのが現状ですから。
2010/02/05(金) 12:43:30 | URL | 永田町ママ #-[ 編集]
最悪の亀レス、申し訳ありません。。最近ブログをまったく開いていませんでした。

仰る通り、産めたくても産めないことは一方で問題だと思っています。(ただし、先進国で出生率を過度に高めることに僕は反対です)

可能性に対して開かれていることは、どの分野においても重要ですよね。 重ね重ね、レス遅れて申し訳ありません。。

2010/02/20(土) 19:07:56 | URL | Taejun #-[ 編集]
問題なのは人口減少や少子化では無く、高齢化だと思います。表裏一体なので分離する事は無理ですけどね。
明治まで4千万人だったので国家やインフラを維持するにはそれくらいの人口規模が適正な気もします。
現状人口に対して仕事もありませんし、科学技術の進化で生産性もあがるでしょうし、中東みたいに子沢山で失業率何十%とかな社会よりは健全な気がします。
私も少子高齢化は健全な過渡期な気がするので生めよ増やせよではなく少子高齢化を受け入れた上での社会作りが大事な気がします。変な文章ですいません。
2010/08/31(火) 03:57:42 | URL | 名無しのお兄ちゃん #-[ 編集]
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