Taejunomics

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アメリカ経済の構造変化
アメリカの経済構造の変化

先週のEconomistのSpecial Reportはアメリカの経済の構造変化のお話。
近年においてアメリカ国民の経済活動を特徴付けるものは高い負債比率と消費性向でした。しかし、最近はこの負債を下げようとする動きがあるとともに、貯蓄が増加しているそうです。

このエントリーでは、まとめも兼ねて、アメリカが負債・消費大国になった背景と現在の揺り戻しの要因、そして、経済回復のための輸出増大の必要について書こうと思います。


1.負債・消費大国は文化だけでつくられたわけではない
1980年代初頭においては、GDPに対して消費が占める割合は67%程でした。その後も順調に増加し、ピークの2005年には75%に達します。1935年から1944年に生まれた人々の45歳時の貯蓄性向が30%だったのに対し、55年から64年に生まれた人々のそれは10%にしか過ぎません。

多くのアメリカ人が多額の借金をし消費活動を旺盛に行うことについて、少なくない人が文化的要因を理由として挙げてきました。しかし、文化的要素だけではこの25年間の推移は十分に説明できないかもしれません。民族性のようなものは、世紀単位で少しずつ変わるもので、四半世紀で変わるものとは考えにくいからです。

Economistが指摘する消費と負債増大の要因は三つです。一つは、80年代以降続いてきた好景気(多少の変動はあったものの、今回の金融危機ほどのものはなかった)が人々の貯蓄マインドを下げたこと。次に、規制緩和に伴う種々の金融商品の開発(例えばサブプライムローン)が、個人を過大な借入へと駆り立てたこと。最後に、当時のアメリカではすでにある程度富の蓄積がされているため、追加的に貯蓄をする動機が日本などに国に比べて高くなかったこと。

ある状態が生じている理由を文化や嗜好に求めるのは最後の手段であるべきで、可能な限り客観的な状況に要因を見出そうとする姿勢は非常に重要だと思います。



2.揺り戻しがはじまる
Economistは最近のいくつかの事例とともにこれら動きを紹介していますが、このSpecial
Reportには構造変化についてのデータのバックアップが掲載されていないようです。この構造変化がつい最近の出来事であるため、まだ統計には出てきていないのかもしれまえん。

これまでのアメリカ国民の高い消費性向がこれ以上高まることは現実的でなく、危機の経験後に一定水準まで下がるのはある程度当然の気がします。また、負債の多くが不動産のバブルを背景としていたことを考えると、これが縮小するのも間違いないと思われます。(ちなみに、不動産バブルとその崩壊に伴い、州の間で人々の移動が起こっているそうです)



3.成長のための輸出増強
国内の消費の回復が緩やかなものになると予想される現状において、アメリカが経済成長を達成するためには、輸出を拡大するのが一番現実的な策だと思います。

日本とアメリカのGDPにおける輸出の割合は10%強に過ぎず、これはドイツ40%、イギリス28%に対し、非常に低い数字です(ただし、ドイツとイギリスがEUの経済圏であることは多少考慮する必要がありそうです)。やりようによっては、輸出主導による経済成長は達成しそうに思えます。

さらに、資源価格の低下と国内のガス資源の開発は、エネルギー資源の輸入(これが貿易赤字の6割を占める)を下げる要因として働く可能性があります。さらに、技術進歩がもたらす効率化は、さらに資源への需要を下げるかもしれません。一番身近な例はプリウスですが、他にも超電導での送電など、様々なものが考えられます。

アメリカのエマージングマーケットへの輸出は、2009年に先進国に対するそれを上回りました。金融危機で先進国が受けた打撃を考えると、今後もエマージングマーケット向けの輸出を拡大する必要がありそうでう。先進国がエマージングマーケットに対して輸出できるものは、高い教育を背景にした知識集約的な商品が主なものになります。IT関連事業やサービスなどがそれにあたるでしょう。

アメリカの経済を牽引する事業をさらに育成するために今後推進するべきことをEconomistは指摘します。

一つ目は、新規技術への投資資金の拡大。イノベーションを育てるためには、人材と同じくらいに資金が必要です。2009年のベンチャーキャピタルのファンドレイズ金額は150億ドルで、ここ数年を大きく下回っています(それでも大きいですが)。

つぎに、政府が特定の事業に対して税制優遇や補助金等、成長促進のための政策をとること。今までは特定の産業に特化するタイプの助成が多かったと思いますが、今後必要なものはポートフォリオ的なアプローチで、いくつかの望ましそうな事業に分散して助成するのが好ましいとEconomistは説きます。

三つ目は、自由貿易のルールを守ること。以前行ったような、中国産タイヤへの関税は避けないといけません。

最後は、貨幣の安定。ドルは未だに基軸通貨であるがゆえに、実体経済の動き以外の要因によってもレートが変動してしまう問題があります。それを安定させることは輸出を後押しする要因になります。中国元の引き上げに対する圧力も必要かもしれません。


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