Taejunomics

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東電は国有化するべき
僕は東電は国有化するべきだと思いますし、もし東電全体を国有化できないとしても、原子力発電所は国有化するべきなのではないかと思います。

今回の事件の背景には、公的な性格をもつ事業体が、私企業として株式市場に上場しているという矛盾があったのだと思います。

ファイナンス理論では、企業はリスク分散をするべきでなく、リスクをとるべき存在だと考えます。なぜなら、企業がリスク分散を通じてリスクを下げなくても、投資家は自分の投資対象を分散することによりリスク分散を実現することができるためです。企業の事業リスク分散をもたらす事業の多角化は基本的に市場からは評価されず、多角化企業の株価はそうでない企業に比べ低くなります。これをコングロマリット・ディスカウントといいます。(とはいえ、企業の破綻には必要以上のコストが生じるため、一定程度のリスク管理は正当化されると考えられています。)歴史的にも、株式会社は人々が有限責任という仕組みを用いてリスクをとりやすくするために作られたものです。

東京電力は数年前の内部調査で、今後50年以内に今回のような大震災が起こる確率を0.1%と予想していたそうです。その時の損失が10兆円だとしても、0.1%でしか生じないのなら、損失の期待値は100億円にしかなりません。これはしかも、50年間における損失の期待値です。そのような、0.1%の確率でしか生じない災害に対処するために大きなコストをかける必要があるとしたら、私企業はその災害が生じるリスクを受け入れることを選ぶ場合が多いように思われます。

また、株式会社であると、非常事態が生じたときにも利益度外視の緊急対応をしにくくなります。一基数千億円する原子炉に海水を注ぎ全てを再利用不可にするという意思決定は、もし原子力発電所の所有者が国であれば、現在よりも早く行われたのではないかと思います。

こんなことに鑑みると、問題の一つの本質は、東電が公的な性格を有しているにもかかわらず、上場している私企業である点にあると僕は考えます。


もちろん、企業の国有化に問題がないわけではありません。国有化は多くの場合効率性を奪い、その企業の競争力を失わせる可能性があります。

だから、こういうときに考えるべきは、リスクと便益のバランスだと思います。個人的には災害が生じたときの外部への影響を考えると、せめて原発だけでも国有化するべきだったのではないかと感じます。そして、0.1%の確率であっても無視せずに、多少のコストを負担してでも可能なかぎりリスクをゼロにする努力をすれば良かったのではないかと考えます。


問題が過ぎ去ったあとで、ミネルバの梟よろしくこんな話をするのは比較的簡単なわけですが、これを期に、いくつかの公的性格を有する企業の国有化については議論がされてもよいのではないかと思います。性質は違えど、金融システムについても同じような議論ができるのかもしれません。


Comment
≪この記事へのコメント≫
国有化に賛成です.電気だけではなく水道・ガス・石油についても,節電・節水・節ガス(?)すればするほどに電気・水道・ガス会社の収益は減り,自動車会社が燃費が改善されたハイブリッドカーを開発・販売すればするほどに石油会社の収益は減り,逆に無駄使いすれば収益は増え……どこかオカシイ気がします.

マーケティングで有名なケースとして「歯ブラシと歯磨き粉の相反」(歯ブラシと歯磨き粉を製造・販売している会社が,ブラシの長さが短い歯ブラシを開発・販売したところ,歯磨き粉の収益が減ってしまったというもの)がありますが,歯磨き粉を資源に置き換えると,このケースが経済の縮図に思えてなりません.
2011/04/13(水) 12:50:33 | URL | 厨マコト #-[ 編集]
Re: タイトルなし
レスがすっかり遅れてしまってすみません!

仰るとおり、エネルギーを含めた人間の活動全体の鎖を見なおしたほうがよい気がします。
2011/05/06(金) 14:08:49 | URL | 慎 泰俊 (Taejun Shin) #-[ 編集]
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