Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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「けれども!」と叫ぶ、生きる力。
 友達が、文学の世界最高傑作として紹介してくれた本、それが、カラマーゾフの兄弟。 ロシアの文豪、ドストエフスキーが逝去する80日前に完成させた長編小説である。
 
 かなり長い本である。 字がかなりびっしりと詰まっていて、合計約1500ページ。 改行も少なく、ドストエフスキー特有の、肺腑を抉る表現で埋め尽くされている。 本をあまり読まない人には決して読みやすい本ではない。
 
 しかし。
 
 この本は、読むのが絶対によいと断言できる。 特に、人間とは何か、と言う問いを発したことがある人々は。

 それが、読後の正直な感想。
 好きな古典文学では、今までは、ゲーテのファウストがダントツの一位であったのだが、今は、ファウストとカラマーゾフの兄弟はともに一位となった。

 大まかな内容。  
 物欲の権化であるフョードル・カラマーゾフの三兄弟、ドミートリイ、イワン、アリョーシャと、その周囲の人々との間の泥沼の愛憎劇。 これだけで、かなり複雑な話ではあるのだが、その上さらに、神の問題が絡んでいる。 そのため、この本を要約しなさいと言われたら、答えに窮してしまう。

 カラマーゾフの兄弟たちは、作者のロシアに対する考えの人格だと思われる。
 粗暴、誠実、残忍、率直など、ロシアの風土が培ってきた感情が同居する激情家のドミートリイは、これまでのロシア。
 知性、冷徹、無神思想、皮肉等の感情を持ち合わせるイワンは、西ヨーロッパからの思想が輸入されてきた、当時のロシア。
 修道院に暮らし、慈愛に満ち溢れているアリョーシャは、当時の無神論的な社会主義運動を非難していたドストエフスキーが思い描いた、未来のロシア。

 こんなことを分析したところで、詮無い。
  
 自分が感じたこの作品の最大の魅力について、話さねば。
 
 自分が感じた、最大の魅力は、人間に対し著者が注ぐ慈愛のまなざし、その現れである叙述全般にあると思う。 人間の強さと弱さ、苦悩、信仰、醜悪さと美しさを全て人の性質として認めた上での、慈愛のまなざしである。 
 そのような、苦悩しつつも前へと力強く進んでいく人間たちに対する著者の慈愛のまなざしの一つの頂点として、この作品の山場の一つである「大審問官」の節があると感じる。 愛に溢れている。
 目を背けたくなるような厳しい現実に直面しつつも、それでも生きていかねばならぬ人間。  否定することの出来ない、そこにある日々の現実の中で喜怒哀楽し、愛憎し、刻苦する人々に、生きる力を与えてくれる本であると、感じた。 生きる力というよりも、残酷な運命に直面しつつも、最後まで「けれども!」を叫べる力と言うのが、より表現としては的確かもしれない。
 

 読むのに、かなりの時間を要するが、是非一読を。
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