Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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必要なお金が、必要としている人の手元にある世界
SFR.jpgソーシャルファイナンス革命
-世界を変えるお金の集め方-



すっかりブログでのお知らせが遅れてしまったのだけど、三冊目の本「ソーシャルファイナンス革命」が出版された。編集の安藤さん、ゲラにコメントくださった皆さん、帯を書いてくれた岩瀬さん、しつこいリクエストに応えてカバーデザインを書いてくださった佐藤さんに心から感謝したい。

詳しくは「はじめに」を読んで欲しいのだけれど、このブログでは、この本が書かれることになった遠因の一つについて、書いておこうと思う。


今から7年前、僕と母は途方に暮れていた。アメリカの大学院留学を諦め、2年間のニート生活を終わらせるべく国内の大学院を受けて無事に合格したのだけど、大学院に入るためのお金がなかったからだ。

入学金と授業料で、必要なお金は120万円だった。うちは裕福ではなかったし、僕には全く蓄えがなかった。この現状を周囲に伝えても、ほとんどの人は残念そうな顔をするだけ。

残り時間はあと1週間くらいで、入学金が準備できなかったら、ニート生活3年目が始まろうとしていた。僕は最後には吹っ切れていて、「しょうがない、1年間バイトするか」と考えていたくらいだった。

そんなときに、母は父に相談した。どこかでお金を工面できないかと。

僕の父は、自分や自分の身内のために他人にお願いごとをしない。西郷隆盛が言っていた「児孫に美田を買わず」を地で行っていた。お金にも全く興味を示さない。狭い家に、妻と平均体重80キロの息子たちと6人で住んでいても、まったく平然としている。

彼の思想の全てを理解できているわけではないけれど、彼は僕が出会ってきた人物のなかで一番立派な人間であることに間違いはない。40年間朝鮮学校の教師をし続けてきた父を慕う人は多い。母は、よくこう言っていた。「あなたのアボジ(お父さん)が頭を下げたら、何億円でも一瞬で集まるのよ。でもあの人は絶対にそれをしないの。」

入金締め切りの3日前のある日の夜、父は家に帰ってきて、分厚い封筒をポケットから出した。中には100万円が入っていた。そのお金を持って、僕は入学金を振込にいった。あの時のお金の重さは忘れられない。

こうして僕は大学院に入ることができた。で、大学院に行きながらのバイト先として選んだモルガン・スタンレーに半年後に就職して、途中からNPOも始めて、それらを両立させつつ働いて、昇進したのを期に退職、今の会社に転職した。ずっと昔からやりたいと言い続けてきた、バイアウトの仕事。日本で一番いい(と思う)バイアウトファンドの一つに入ることができた。

今も時々考える。あの時に父が持ってきた100万円が無かったら、僕は今頃どうしていたのだろうかと。

裕福な人はさておき、そうでない大多数の人にとっては、決定的な瞬間に手元にお金があるかないかは、人の運命に決定的な影響を与える。お金は機会と密接につながっていて、その機会さえあれば、それを活かして自分の人生を形作っていける人はたくさんいる。

とても残念なことだけど、少なくない人は、お金がないという理由だけで、色々な機会から閉ざされてしまう。それも人生と考える人もいるかもしれないが、ぼくはこんな機会の不平等の存在は絶対に間違っていると思うし、そんなものが存在する世の中は変えたいと思う。だから、僕たちのNPO Living in Peaceは、日本で初めてのマイクロファイナンス機関に投資できるファンドを作り、児童養護施設の子どもたちのための資金調達をしている。それ以外にも、個人的にできることはしている。

でも、そういった活動を通じて出来ることには限りがあるから、仕組みを作る必要がある。どうやったら、より多くのお金が、本当に必要とされているところに届くようになるのだろう。それを考えるためのフレームワークと事例をまとめたのがこの本だ。


これは、人間のつながりが金融に与える影響について取り上げた本だ。この本の主張を一言でいうと、それは次のようになる。

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お金を集めようとするときに支払わなければいけない対価(利子や配当など)は、待つことの対価、リスクの対価、情報取得の対価から成っている。

人と人とのつながりはこのコストを下げて、資金調達を効率化する。途上国で拡がるマイクロファイナンスは深くて狭い人間関係を用いて、先進国で浸透しつつあるP2Pファイナンスやクラウドファンディングは浅くて広い人間関係を用いて資本コストを下げ、より多くの人々に資金調達の機会をもたらした。

技術進歩とともに僕たちの社会関係のあり方は変わり続け、将来にはその変化に合わせてさらに新しい金融の仕組みが生まれてくるだろう。そして、お金はこれまで以上に必要とされている人々のところに届くようになる。

投資家の顔ぶれも変わる。今まで、投資はある程度のお金を持っている限られた人だけのものだった。それが変わる。誰もが好きなアーティストのパトロンや、応援したい会社の株主になれる日が近づいている。これはある意味において革命的な変化で、長期的には世の中全体の風景を変えていくだろう
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ファンドの投資プロフェッショナルとして、マイクロファイナンス機関への投資のための現地調査・契約交渉をしているNPOの代表として、また、自分の人生のテーマとして書いた本。至らないところもあると思うけど、読んでみて欲しい。


この本と関連して、いろいろなセッションが7月と8月に予定されているのだけれど、第一弾は7月8日の15時から。スピーカーはCAMPFIRE創業者の家入一真さん、トーキョーよるヒルズの高木新平さん、糀屋箱機構の糀屋総一朗さん。

詳細はこちら。空席が少し残っているので、興味のある方はぜひに。
http://ow.ly/c3fMd

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2012/09/08(土) 00:20:06 | | #[ 編集]
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2013/02/28(木) 11:33:32 | | #[ 編集]
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