Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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郵政民営化についてやっと書いてみる。
 ついに明日は9月11日。 衆議院選挙日。
 長いこと書こう書こうと思いながら、ついずるずると先延ばしになってしまった、郵政民営化に関するエントリーを書くことにする。 
 三谷幸喜並に脚本の仕上げが遅い脚本家のおかげで、演劇の本舞台の1週間前にしてやっと脚本が完成。 練習も佳境なので、ちょっと詳細は書けないが、賞味期限を過ぎてしまうのはあまりにももったいないので、メインアイディアだけでも書いておこうと思う。 学ぶ身なので、批判は大歓迎です。

 まず、経済における政府の役割と、国営化について。
 経済における政府の役割の要点は、平たく言えば、
 ・効率性
 ・社会正義(社会正義の定義は勘弁してください)
  の2つ実現にあるといえると思う。 
 
 具体的な政策として:
 ・企業が効率的に機能するための制度的枠組みをつくる事。 立法がその主な手段。
 ・経済全体が安定成長をするための政策を実行すること。 不況の未然阻止、不況からの回復のための金融政策など。
 ・適正な競争を促進するために、一定の規制をかけること。 独占禁止法がその典型。

 これが、政府の役割だと思う。 特定の企業を国営化することも、上で述べた趣旨にそっていなければならない。 
 市場経済の論理に従うのならば、企業は基本的に民営化であるべきで、国営化するのは「民営ではやっていけない」場合のみに限定すべきであると思う。 
 国営化された企業内に多少の非効率が生じるとしても、それは、国営化により生じる社会正義・経済全般の効率性と比較して、どちらを選択すべきかを考えるべき。 
 
 以上を踏まえて、郵政民営化について、考えてみる。 

 大学の頃の憲法ゼミの先生で、学生期間を通じて自分が一番尊敬する学者であった星野教授は「人は分けることによって分かるんです。」と常日頃話していたが、今回の考察にも、分けて考える事がとても役に立ちそうである。
 重要なことは、事業のうち、どこまでは国家の関与が必要であるかの、線を引くことにあると思う。

 郵政の三事業、郵便、簡易生命保険、郵便貯金をまとめてではなく、郵便事業と金融事業(簡易生命保険、郵便貯金)に分けて、そのメリットデメリットを比較してみる。 

 1.郵便事業
 引き続き、公社として事業活動を行うのがいいと思う。
 一応、自民党のマニフェストを見ていても、民営化はするが、郵便局・郵便事業は特殊法人とし、郵便局のネットワークは法規制により維持されると話している。 しかし、その担保が小泉首相の発言「郵便局ネットワークは国民の資産」であり、「このネットワークを守って、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」という言葉をはじめとした、「配慮」というのは、心許無い。 
 過疎地方においては非効率があり、それは、Eメールの増加による郵便サービス利用の低下などを理由に更に増すことが考えられるも、「みんなの住むところに郵便局を!」というようなスローガンで表現されそうな社会正義の実現を考えると、郵便事業は引き続き公社として行いながら、内部で効率化を図るのがいいと思われる。 人員が過剰であるのなら、多少のリストラクチャリングはするべき。 民営企業がこの10年間その痛みを味わい矛盾を解消していき、現在があるのに、公社の職員のみリストラしないというのは、どうかと思う。 もちろん、解雇の対象となった人々の生活を保障する受け皿はしっかりと用意しないといけない。 景気が上向きになってきた現在ならば、これはここ10年のうちで一番採りやすい政策だと思うのだが。



 2.金融事業
 さて、真打。 民営化するべきでしょう。

 ユニバーサルサービス(全ての人がどこでも同じく受けられるサービス)は、社会正義の観点から、多少の非効率性があっても維持すべき。 また、ユニバーサルサービスの維持自体は、民営化をしても可能。 まあ、郵便事業の部分で述べたのと同じ不安はあるが。
 しかし、それら不安部分以上に、現在金融事業が国営化されていることによる経済全体の非効率が大きすぎると思う。

 1)フェアな競争の抑制
 郵貯の総資産は350兆円ともいわれているが、全国の銀行全ての総資産は800兆円。郵貯・簡保は日本の金融資産の4分の1を占めているのである。
 なぜ、このようになっているのか。 それは、郵政公社が国家の庇護の下(法人税、固定資産税、事業税免除、預金は国によって完全保証)に有利に競争をしてこれたからに他ならない。 そのつけは、当然他の民間銀行にまわっている。 国の銀行の業務損益はここ10年間毎年3兆円以上のマイナスを記録している。 もちろん、その理由はバブルの崩壊や銀行の放漫経営にもあるのだが、郵政公社の存在はその一つの理由となっていると思われる。 上で述べた、フェアな競争の促進のためにも、金融事業は民営化するべきだと思う。

 2)350兆円の資産の運用法の非効率
 現在、郵政公社の資産の運用先は限られていて、きわめてリスクの小さい資産にしか投資がされていないし、多くの金が特殊法人等につぎ込まれている。
 ポートフォリオ(投資対象である安全資産とリスク資産の組み合わせ)をうまく組めば、より効率的な資産運用が出来ることは間違いないし、それは、経済全体の発展に資することである。
 さらに怖いことは、国営化されていることにより、この公表されている資産が本当に350兆円であるのか精査することが難しいことである。 ちょっと以前のカネボウの件のように、透明性の高い民間企業でも会計の粉飾が後を絶たないのに、と考えると、より透明性が低い郵政資産が本当に350兆円あるのか、空恐ろしい思いである。 「あのう、預かってたお金、半分くらい使い込んじゃってました、てへ。」なんて、しゃれにもならない。
 民営化したら国債が暴落するというのも、荒唐無稽。 一流のファンドマネージャーなら、暴落しないようにうまく売り抜けるもの。 ある程度は下がるかもしれないが、それが国債の適正な価格であるのだから、短期的に問題が生じるとしても、それは、そのうち負わなければいけない類のものであるのでしょうがない。 
 外資の食い物にされる。 論外。 現在でも日本の多くの企業や金融機関の大株主に外国人投資家はいるし、銀行業の本場ロンドンでも純イギリスの金融機関はほとんど存在していない。 外国人が郵政会社の大株主になるというような事があっても、それを「食い物に」とするのは、もう、開いた口がふさがらない。


 3)利権
 これは、実証はできないが、郵政に関してもその利権を握っている人々はいるわけで、これが経済全体に一つの負担となっているのは確かなこと。 国営化されている事業で、利権が関係しないものは無いと思われる。 建設業界ならば、自分の経験上、明らかにそれは存在しているし、最近それは明らかになっている。
 これは、民営化されないとなくならない。


  
 と、ここまで考えて、郵政民営化に関する各政党のマニフェストを読んでいると、その内容や具体的実現性などを踏まえて、自民党以上のものは感じられなかった。 
 とにかく、野党は、反論のみならず、もっと具体的な代替案としての政策提示をするべきだと思う。 それが出来ていないから、読んでいてとても貧弱に感じる。 

 

 最後に。

 自民党が議席の過半数をとれず、小泉首相が辞任したとしても、郵政の民営化はなだらかながらに進むと思っている。 実質的な民営化を進めるのにあたって一番の障害となっているのは、郵政利権をもつ政治家たちなのだが、今回の一連の出来事を通じて、彼・彼女らの影響力はかなり弱まったし、選挙を通じて弱まると感じられるからである。 改革に対する障壁が高くないのならば、民主党政権でも実質的な民営化への着手は可能であろう(民主党の幹部たちが新たな「郵政族」にならなければの話だが)。
 小泉氏としてはこれで本望なのではないか、と思う。

 なんにせよ、選挙結果が(個人的には投票率も)どうなることか、注目である。
Comment
≪この記事へのコメント≫
どうも、謎の通りすがりの通行人も「高嶋」です。
郵政民営化は以前からの、関心事でしたそのこと自体よりも国の債務との関係により注目しています。
上記内容から郵貯+銀高の金融資産合計は1000兆円を肥えるわけですが、現時点での日本の債務が表では700兆以上、裏ではすでに1000兆を肥えていると言われているようです。
この額をみるとかねてよりうわさされていた国家破産がいよいよ現実のものになって現れる悪夢からもはや目をそむけることができません。
やはり、最悪な場合は国は国民の財産を債務にぶつけて経済を立て直す方針なのでしょうか?
それと今回の郵政民営化(金融事業民営化)は大いに関係があるのでは!?
2005/09/10(土) 10:41:58 | URL | 高嶋 #-[ 編集]
 おお,コメントありがとうございます.

 えーっと,国家破産はよほどの事がない限りあり得ないと思います. ゴシップ誌以外でそのような論考をみる事もあまりないし.. それが世界の経済に及ぼす影響などを考えれば,歯止めがかかる訳で,まずあり得ない事だと思います.

 「国民の財産を債務にぶつける」ってのは,具体的にどんな事なんでしょう? その債務を国民に肩代わりさせるっていう意味なのでしょうか? レスをお待ちします.

 最後に,民営化されるのですから,それが国家の債務の返済に関して何らかのたすけになるとはあまり思えません. 民営郵便局の利益は自身に帰属するのですから. まあ,資産の運営をうまくした事による所得税が,国庫に入っていくぐらいでしょうか(税対策は当然ながら取られると思うので,この効果もあまり期待できないかも).
2005/09/11(日) 02:13:54 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
早速当ブログへお越し頂き、ありがとうございました。

本記事を拝見して、今回の郵政民営化の議論が分かりやすく整理されており、非常に参考になりました。

郵政民営化の議論そのものについては、今後の公共サービスのあり方を考える上でも有意義なものだと思います。

「民営化」に関しては、4月JRの事故などを見るにつけ、「官」と「民」の間には感覚のズレがあり、JRがその歪みを未だに引きずっていたために発生した事故ではないかと考えています。従って看板だけのすげ替えではなく、民からの各層の人事交流を行い、実のある政策としてもらいたいと考えています。

今後ともよろしくお願い致します。
2005/09/11(日) 11:45:50 | URL | o_sole_mio #-[ 編集]
 o_sole_mioさん、コメントありがとうございました。
 確かにそうですね。 郵政の民営化の過程は特に、かなり長期的なものになるとおもわれますが、実のある政策となることをねがってやみません。
 
 こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
2005/09/12(月) 01:13:56 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
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 「小泉首相の言う民営化では350兆円の資金が丸ごと、融資業務の経験のない民間会社に委ねられることになり、融資に詳しい人を大量に採用しない限りとてもまともな民間向けの融資業務は無理。」 これは、民主党・菅直人元代表のHPから引用しました。 共産党・赤旗に
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