Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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遅ればせながら、阪神電鉄の件。
 埃をかぶったファイルを見ていると、2週間ほど前にプリントアウトしていた鉄道会社の中間報告書が。。 
 賞味期限を越えつつありますが、せっかくEDINETで30分くらいかけて集めた書類なので、僕自身の勉強にもなるだろうし、公益にも資するはずなので書くことにします。
 

 村上ファンド(正式には、M&Aコンサルティング)の関係者は、阪神電鉄を見れば見るほどいい投資対象だといっているが、正直疑問である。

 0.データ
 1.一般的な考察
 2.阪神電鉄固有の事情を鑑みての考察

 で、進める。


 まずは、参考データ。 読み飛ばしても、一向に構いません。(EDINETに掲載されている、鉄道会社6社の中間報告書より、Taejunがエクセルにて作成) 雑ですがご容赦を。 EDINETのサイトはこちら:http://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm
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単位:百万円 

20051011223359.jpg



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 鉄道会社というものは、安定・低成長、固定資産比率も似たようなものであろうということを仮定して、これから書くことにする。 あと、この期間に、西武鉄道とJR西日本には騒動があったが、それは、まだ反映されていない。


1.一般的な考察

 今までの村上ファンドの行動を考えると、意図としてぱっと考えられることは:
 ・グリーンメール
 ・利益の吐き出し
 ・企業再編成による企業価値の向上
 
 の三つか。


 ・グリーンメーリング 買収を嫌う相手の足元を見て、取得した額を通常はるかに上回る額で相手側に株式を売りつけること。 
 これをやると、基本的に嫌われる。 そりゃそうだ。 ちなみに、グリーン・メールというのは、「恐喝状」を意味するブラックメールもじった造語。

 ・利益の吐き出し
 利益留保(利益を上げた額のうち、再投資にも使わず、株主の配当へも使っていない金)を、配当という形で出すようにさせる。
 僕が見る限り、株式取得後の村上ファンドがやることで、一番多い内容はこれ。 かなり前の日経ビジネスの村上ファンド特集にて、この利益の吐き出しをさせられた企業の社長さんのコメントをご参照。 確か、5月ごろの日経ビジネス。


 ・企業再編成による企業価値の向上
 被買収企業の営業の質の向上、不必要な分野からの撤退、人件費の削除、従業員の解雇、などを通して、経営の効率性を上げ、企業価値を向上させ、株式の価値を向上させることにより、利益を得ようというもの。
 これもかなりどぎついやり方をしているようで、経営者の中には、村上ファンドを文字通り蛇蝎視する人が少なくないという。 ご参照:http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/f8b26c68e9cea5ae9d357092e4b9d144


 まあ、グリーンメールは、買収対象がキャッシュを保有していれば狙える方法だとして、留保利益の吐き出し、企業の再編等で考えた場合、この時期の財務諸表からは、別に必要を感じられない。
 例えば、資本合計額に占める利益剰余金の割合を見ても、阪神電鉄のそれは40.5%にすぎず(6社中4位)、その他に京浜急行やJR西日本・東日本の方が高い比率をもっている。 ただし、JR系は資産額がかなり大きいので、「もの言う株主」になるためにはなかなか大変そうだが。
 企業の安全性を示す指標であり、情報としての硬度が高い(会計政策により左右されにくい)、税・利息引き前後の営業キャッシュフロー(CFと略しているもの)の資本合計額に対する比率を見ても、阪神電鉄のパフォーマンスはそう高いものでない。 
 
 ここまで見た上では、「もっといい買収対象があるのでは?」と、思わざるを得ない。 例えば、西武鉄道とか。 まあ、僕は、ちょっと前に世間を騒がせた西武グループの事情がどうなっているのかデューディリジェンスしているわけではないので、詳しいことは分からないが。 
 
 更に言うのなら、村上ファンドの大量保有報告書を見ても、大量保有取得資金総額は936億。 一株当たり平均で580円~600円弱で購入しているようだ。 だが、阪神電鉄の株価は過去5年間、300円程度で安定しているわけで、株価だけで言うのなら、2倍にならない限り、割に合わないことになる。 こちらをご参照:http://www.ny47th.com/fallin_attorney/archives/2005/10/post_74.html#more
 

 いよいよもって、意図が掴みにくいわけだ。


 そこで、阪神電鉄固有の事情についてちょっと考えてみた。

 
2.阪神電鉄固有の事情を鑑みての考察 いつもながらの駅からの自転車での帰り道で、考えたことは二つある:
 ・福知山線脱線事故のインパクト
 ・タイガース上場に伴う、IPOパズルによるキャピタルゲイン&その他もろもろの利益



 ・福知山線脱線事故のインパクト
 これはもう、言わずもがなであるのだが、この事故がJR西日本の信用を落としたことに疑問は無い。 そして、JR西日本は、これまで、阪神電鉄の顧客を得るために、様々な無理をしてきたことも明らかになった。 阪神電鉄と重複する区間のみにおける切符価格の引き下げなどが最もポピュラーなところだったと記憶している。 事故以来、JR西日本がどのような営業を行っているのか、僕は東京の住人なのでよく分からないが、これら、事故により、多くのJR西日本の顧客が阪神電鉄へと移ったことが予想される。 もし、そうであれば、財務報告書はまだ提出されていないので分からないが、この期間に阪神電鉄の利益が急上昇している可能性がありうる。
 村上ファンドは、阪神電鉄の株式を大量保有したのは、2ヶ月前。 福知山線脱線事故は4月25日。 うーん。


 ・タイガース上場に伴う、IPOパズルによるキャピタルゲイン&その他もろもろの利益

 これは、また、別途書きます。
 球団のバリュエーション(企業(?)価値評価)って、どうすればいいのだろう? バリュエーションに必要な各数値をどうやってもってくるか、僕の好奇心をかなりくすぐっている。 見ている人に阪神ファンは少なくないはずなので、その人たちのためにも僕なりに一生懸命かいてみます。 
Comment
≪この記事へのコメント≫
TBありがとうございます。
まだお若いのに、相当勉強されているようですね。
実務家の感覚からいうと、BSの数字をベースにした対総資産、対資本比率とか会計利益というのは評価があてにならないので、評価の問題が生じにくい流動資産、有利子負債、キャッシュフローに着目した比較の方が有効という印象もあります。余り巷の投資評価法とかを勉強したわけではなく、私なりに実務の中でやってきた方法なんですが、そっちから見てみると、また違う姿が見えてきたりするかも知れませんね・・・(といって、分析を期待してみたりして)
2005/10/12(水) 01:11:38 | URL | 47th #cyygG8p6[ 編集]
こんにちは。
村上ファンドの意図は正直図りかねますが、バランスシートの数字自体どの程度信用できるのかなと思います。
村上氏も資産を適正評価せよと主張していた筈ですし。
2005/10/12(水) 14:04:46 | URL | ノーリーズン #mQop/nM.[ 編集]
TBありがとうございました。

経営者の視点と株主の視点では異なるとは思いますが、内部留保を手厚く確保しなければいけない事情というものが阪神電鉄にはあると考えています。村上さんが本気で経営を考えているなら、耐震構造架線問題、安全対策費用、そして私鉄総連との関係など、まっさきに検討しなければ、内部留保の大小は語れないはずだと思うのですが。
またよろしかったら、お越しください。
2005/10/12(水) 17:36:13 | URL | toshi #-[ 編集]
疑問点が。

小田急及び京浜急行を比較対象にするのは地域格差を無視しすぎなのでは?比較するなら阪急・京阪・近鉄を対象に選ぶべきではないのか。




2005/10/12(水) 23:14:56 | URL | F.Nakajima #-[ 編集]
後、確か村上ファンドは西武鉄道の株も20%近く保有している上に現西武経営陣が画策している第三者割当増資計画に対して反対し、代わりに自分がその分を出資すると主張しているはずだが。
2005/10/12(水) 23:19:34 | URL | F.Nakajima #-[ 編集]
 おお、たくさんのコメントありがとうございます。 ヒヨッコなので勉強になります。

 >47thさん
 貴重なコメントとキラーパス(?)ありがとうございます^^; 時間見て早速やってみます。 ちゃんとゴール決められるかなあ。
 
 あ、あと、ブログの影響を受けて、Modern elementary statistics購入しました^^

 >ノーリーズンさん
 今日知ったのですが、阪神電鉄は、時価が簿価を上回っている資産を多く持っているみたいです。 甲子園球場は、簿価800万円、時価推定150億円。 阪神百貨店は、簿価900万円、時価推定300億円・・・ 
 なんか、推定額が合っていたら、この差額だけで元を取れそうですね。。

 >toshiさん
 コメントありがとうございます。 実は、貴ブログ、時々拝見させていただいています^^;

 >耐震構造架線問題、安全対策費用、そして私鉄総連との関係など、まっさきに検討しなければ、内部留保の大小は語れないはずだと思うのですが。
 
 なるほど。 企業ごとに異なっている事情に直面しているのなら、そこまで加味しないと適正な評価とは言えなさそうですね。 お恥ずかしい話ですが、toshiさんの指摘された点などは、どうやったら一番効率よく関連情報を集められるのでしょうか^^;?

 また、ご教示ください。


>F. Nakajimaさん
 僕は勉強不足なので教えていただきたいのですが:
 ・やっぱり、地域格差って、企業の価値評価にかなり影響を及ぼすのですか? 
 ・及ぼすのだとしたら、どういう形で及ぶのですか? 

 資本市場がそこそこ発達している日本において、ある程度まで裁定行為が存在すると前提したら、そんなに意識しないでも大丈夫かな?、と思ってました。。 
 けれど、確かに、その三社のうちの一つも選んでいないのはおかしいですね。 新たにF.Nakajimaさんのおしゃった3社を考察対象に追加します。 これに関する報告も、すぐやってみます。
 
 
 >村上ファンドは西武鉄道の株も20%近く保有している上に現西武経営陣が画策している第三者割当増資計画に対して反対し、代わりに自分がその分を出資すると主張している

 貴重な情報ありがとうございます。 今、知りました。。
 できれば、大量保有報告書が提出された時期を教えていただきますか? EDINETで探す際にかかる時間を軽減したいので^^;





 貴重な情報とコメント、本当にありがとうございました。 これからも機会があったら、よろしくお願いします。
2005/10/13(木) 00:35:00 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
>やっぱり、地域格差って、企業の価値評価にかなり影響を及ぼすのですか?

うーん。今日の帰り道にJR福知山線に乗車しながら回答を考えていましたw。

鉄道事業において地域格差によってどのくらい企業価値に影響を及ぼすのかについては大体の数字さえ出すのは困難だと思います。
もしかしたらとんでもない値かもしれませんし、ほとんど影響がないかもしれません。
だったらそのノイズになるかもしれない数字が一定になるように近隣地域の鉄道会社を比較対象にすべきではないかと思ったのです。

>西武鉄道
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1426154/detail?rd
持ち株数については私の記憶違いでした。
2005/10/13(木) 19:54:51 | URL | F.Nakajima #-[ 編集]
>F. Nakajimaさん
 コメントありがとうございました。

 比較可能性の条件として: 
 ①同一産業
 ②同一規模
 ③同一の会計方法
 ④同一の地域
 というのが、そういえばありました。 ③は、チェックしてません… ④について、「同一地域=同一の会計基準、同一の生産要因、同一の季節要因」、などのようです。 アメリカとかでしたら、州ごとにかなりの違いが出てきそうですね。 日本だったら、それでも、ノイズになりそうな数字が入る余地はあると感じました。 

 あと、西武のソースの件も、ありがとうございました。 お礼申し上げます。
 これからも、よろしくお願いします。
 

2005/10/13(木) 23:47:12 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
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