Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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DCFって何でPEで使われないのだろう?
僕がほぼ毎日見ているブログの一つに「ハーバード留学記」がある。 とても触発され、勉強になるブログだ。 ちょうどDCF法と関連して書いたばかりだし、ちょっと思うところがあるので、書き留めておこうかと思う。

 著者のdiwaseさんが、PEではDCFをほとんど使わない理由を書いていた。 
 
 
 ① そもそもオークションになる時点で「買える」価格のレンジが決まっている(EBITDAの●倍)

 ② 買う時点ではどれだけレバレッジをかけて買えるか、キャピタルストラクチャーの方がよっぽどリターンに効いてくる(100で買うか120で買うかも大事だが、それ以上に100をすべてエクイティで買うのと、70借入・30でエクイティで買うのでは、リターンが大きく違ってくる)

③ 買収後のキャッシュフローは自分たちの腕力で、様子を見ながらある程度どうにでもなる(資本構成による金利レベル、人員削減、設備投資抑制)

④ Terminal Valueを理論的に計算するのではなく、エグジット時点で「いくらで買ってもらえるか」を考えるので、これも大抵EBITDAのマルチプルで考えることになる



 なるほど。 僕は、今までPE関係の書籍を読んで(これとか、これ)PEではEBITDAなどのマルティプル(倍率だとか、乗数の意味)を使うのは知っていたが、その理由は本には詳細に書かれていないので、とても勉強になった。


 けれど、DCFは、広く実務でも使われていて、バリュエーションではいまだにポピュラーな手段であることも確かなのである。 更に言えば、実証研究に基づいて「市場はDCFの結果を適切に反映している」という結論を出している人々もいる。(Valuation,Tim Koller他、70~100ページくらいのところを参照)

 さて、両者は矛盾しているのか?

 ちょっと考えてみたが、どうやら、矛盾しなさそうだ。

 なぜなら、DCF法も、PEの人々が使うバリュエーションも、根本部分での考えは一緒だと思われるから;それは、「企業の内在的、根本的な価値を見据える」ということである。

 勉強をしながら感じることは、DCFの趣旨は、「企業価値評価に関しては、企業価値の要因たちを鑑みないといけない。」という、至極当たり前なことだと感じる。その要因として挙げられるものが、先のエントリーで述べた投資資本に対する収益率や成長率、資本コストである。他にも色々あるが、やはり、これが基本。
 実際に、市場価値と、ファンダメンタルな要因とされる企業の収益率(資本コスト加味)・成長率の間の回帰変動率は46%と、非常に高い。 そして、そのファンダメンタルズに関する考察に基づいて、割引率を決定して、バリュエーションをするわけだ。
 
 一方、PE投資の場合は、内在的な価値が市場から適切に評価されていない企業を対象としている。 だから、必然的にDCF法などを使うよりも他の方法を使った方がいいことになる。 以前、PEファンドで働いている人に教えてもらったが、バイアウトから売却までのシュミレーションモデルを作るときも、大体の場合、企業価値が修正された後の状態を想定して(=企業の内在的な価値を適切に評価して)モデルを作ることになるそうだ。


 同じ、内在価値に関して考慮するという方法を採るにしても、対象企業の状態によって方法を変えるのは別に変なことじゃない。 だから、対象企業が異なる、PE,投資会社・証券会社などの間で主な評価方法が違っていても、それも十分に理解できることだな、と感じた。 不動産はどうなのだろう?

 人と接するときも、その人の根本的な人間性とか志向・能力を見る。 その人に対する世間の風評とかは二次的なものであるべき。
 人を見ることも、企業を見ることも、根本的には同じことなのかもしれないな、と考えていたら、思わずくしゃみをしそうになった。
Comment
≪この記事へのコメント≫
24才?とは思えないとてもハイレベルの内容に驚きました。すごいね。今度色々教えてね。
2005/10/17(月) 23:21:18 | URL | アッパ #-[ 編集]
>アッパ さん
 コメントありがとうございます。
 恐縮です。。
 まだ未熟者なので、今度お会いした時、実務の立場から色々と教えてもらえたらと思っています。
 これからもよろしくお願いします。
2005/10/18(火) 00:02:30 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
PEでのvaluationは基本的にLBOモデルと言われる方法でされています。
diwaseさんの言及されている理由も当然ですが、最も現実的な理由として、「Cash」の見込み、つまり「資金繰り」があります。
DCFはある企業(or事業)から生みだされるキャッシュのフローをそれぞれ割り引きます。しかし、PEではキャッシュのフロー状態と同じくストック状態が非常に重視されます。
例えば、ある企業は買収後year3に大きな設備投資があり、year5には大きな借入金返済があるとします。
DCFでは、このようなキャッシュアウトを考慮しても、一般的にNPVがプラスとしてはじき出されます。
さて、これをストックで見るとどうでしょうか?
Year3とYear5には、キャッシュ(期末現金残高)がマイナスになっていた、なんてことがかなりの確立で起こりえます。この状態だと、この会社は資金繰りで行き詰まり、倒産ということになりかねません。DCFではこのような事実は見えにくいですよね。
リファイナンスが起これば、それ以降のキャッシュフロースケジュールも変わり、IRRや買収金額、Exit金額にも影響するわけです。

2005/11/10(木) 19:35:59 | URL | MI #-[ 編集]
 MIさん、貴重なコメントありがとうございます。 ストックに関する視点ですか。 ふむふむ。


 もしよかったら、未熟者の僕の質問に答えていただけますか?

 普通、DCFのキャッシュフロー予測は10~15年単位で行うことになっていますよね? だいたい、2~3段階のキャッシュフローモデルを作っていると記憶しています。 例えば、2段階であれば、最初の7年間は、一つ一つ算出して、その後は定率成長モデルを使うとか。
 教科書でも、入門レベルならまだしも、結構本格的なテキストとなってくるト、過去10年くらいのデータをきっちりと洗い出して、そこから、FCFを予測するようなプロセスを踏んでいると思うのですが・・・ 例えば、DCF法の大御所的な本、Valuationでは、上記のプロセスをしっかりと踏むように口をすっぱくして説いています。

 と、考えると、上記の理由で選ぶのならDCFでもいいんじゃないかな? と思ってしまうのです。 たしかに、EBITDAマルティプルなどを使えばより多角的なものの見方が出来るとは思うのですが。
  
 もし、わざと例を単純化してくださったところに、重箱の隅をつつくような真似をしていたら、本当に申し訳ありません。。 さらに、もし、MIさんのコメントを読み違えていたら、もう、言葉もありません。。
2005/11/10(木) 21:28:55 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
まさにおっしゃる通りです。
当然ながらLBOモデルでも10年程度はプロジェクションを引っ張ります。
ただ勘違いして欲しくない部分は、PEはExitまでの期間が限られている点です。
通常のPEであれば、2-5年でExitします。
つまり、LBOモデルでは2-5年までのキャッシュフローとExit時点における売却価格(IPOなどのけーすもありますが)でIRRが導き出されるわけです。

また、EBITDAマルチプルによるEXIT VALUEの計算かTerminal Cap RateによるTerminal VALUEの計算か、という議論ですが。
どちらでも意味はほとんど変わりません。
対象がEBITDAかFCFかという違いがありますが、例えばマルチプル10倍を掛けるというのと、Terminal Cap Rate10%で割る(1÷0.1=10を掛けると同義)というのは同じことです。

先日の書き込みでいうところのキャッシュ・ストックの話は、プロジェクションの期間とは全く関係なく、PEがバリュエーションする際のポイントとして記載したものです。
話しがごちゃごちゃになり分かりにくくなってしまい申し訳ございません。


2005/11/11(金) 10:27:31 | URL | MI #-[ 編集]
 MIさん、答えてくださってありがとうございます。
 
 >ただ勘違いして欲しくない部分は、PEはExitまでの期間が限られている点です。
通常のPEであれば、2-5年でExitします。
つまり、LBOモデルでは2-5年までのキャッシュフローとExit時点における売却価格(IPOなどのけーすもありますが)でIRRが導き出されるわけです。

 これでだいぶclearになりました。 exitまでの期間の限定と言うPE投資の性格がバリュエーションに反映された結果なんですね。

 これからも、よろしくお願いします。
2005/11/12(土) 07:30:45 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
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