Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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非ファイナンシャル・マルティプルはいつまで有効なんだろう?
 最近のネット企業のvaluationが、ページビュー・ベースから、滞留時間ベースに移行しつつある

 らしいですね。 (磯崎哲也さんのisologueより。)トラックバックをして知の共有に貢献できればと思います。
 興味の無い人は、読み飛ばすことをお勧めします。 (細かい説明は、書いていません。)
 
 
 1.バリュエーションの手法の類型・乗数について 
 2.非ファイナンシャル・マルティプルについて
 3.マルティプル活用における留意点
 4.ネット企業に対する、非ファイナンシャル・マルティプルのこれから

 
 といった感じで書いていこうかと思います。


 1.バリュエーションの手法の類型・乗数について
 ざっくりいうと、企業価値評価の手法としては:
 1.DCF系(企業から生じるキャッシュフローを加重平均資本コストで割り引く類のもの全般、APVとかも含む)
 2.ファイナンシャル・マルティプル(multipleは乗数の事)
 3.非ファイナンシャル・マルティプル(ページ・ビューベースはこれに属する)

 があって、上に行くほど、一般的に精度が上がる反面、手順が複雑になる。
 
 で、結構手短に出来るものとして、もしくは、DCFモデルを補完する役割として活用されているのが、2番のファイナンシャル・マルティプル。
 一番ポピュラーなのは、EV/EBITDAや、EV/EBITA。 これらは、レバレッジ(負債と株式の比率)によって影響を受けないから。 これからさらに、数値が、非コア事業の業績に左右されないようにするために、剰余金、リース、ストックオプション、年金会計について調整して使われたりもする。 さらに、僕としては不思議なのだけれど、これら乗数の算定は過去ベースより予想ベースの方が精度が高いとの事。 どっかの論文で読みました。

 こうして算定した乗数を、類似した企業のそれと比較をして、割高だとか割安だとかを判断することになる。


 2.非ファイナンシャル・乗数について
 非ファイナンシャル・マルティプルは、結構限定的な場合に用いられる。 例えば、ファイナンシャル・マルティプルを用いてバリュエーションをしようにも、EBITAなどがとても低かったり(分母がゼロに近づくと乗数が無限に近づいてしまう)マイナスになってしまったりして、うまい具合に乗数をつかって他の企業と比較することが出来ない場合とか。 

 具体的には、初期のキャッシュフローがマイナスになりやすいベンチャー企業らに対して、使われたりしている。 ネット企業だとかが、主な対象。

 実際に、ネット企業に対してこれまでどんな乗数が使われてきたかというと:
 ・ウェブサイトのヒット数
 ・ユニーク・ビジターの数
 ・顧客の数
 ・購読者の数
 
 などなど。

 例えば、取引高/顧客マルティプルについて、2000年にFortuneが発表したところによると:

 Yahoo :顧客一人当たり2,038ドル
 Amazon:顧客一人当たり1,400ドル
 NetZero:顧客一人当たり、1140ドル

 だそうです。
 Fortuneによると、取引高/顧客マルティプルが、株価を判断できるのにベストな方法かもしれないとのこと。(Placing a value on a Website's customers may be the best way to judge an stock)  

 

 3.マルティプルの活用における留意点

 一番重要なのは、

 乗数の分母に用いている数字が、企業の価値を判断するのに有用かどうか?

というところの判断。 調整EV/EBITAとかにかなり信頼が置けるのも、ここらへんの理由による。 

 もし、あなたが、「朝ごはんを食べている従業員の割合」と企業価値に何らかの関連性がある!と根拠を持って確信しているのなら、それを乗数にしたりしても、問題は一切無いわけで。 (朝ごはんを食べていることは財務諸表とかIRには乗らないので、まあ、無理っぽいですね。)
 
 企業の価値評価における説明力を強めない限り、非財務乗数は使うべきではない。 いたずらに、混乱させるだけだから。


 それらを鑑みて、今回、話題となった滞在時間は、どうか。
 個人的な経験からすると、なかなか信頼できる値だと思う。 


 まだ、他にも、色々無いものかなあ。


 うーん、
 1分くらい考えてみたけれど、掲示板の書き込み数とか、ブックマークにしている数とか、ろくなものが思いつかない。。  数値化できるもので、かつ、企業価値と関連を持つもの・・・誰か、思いついたら、教えてください。 

 

 4.ネット企業に対する、非ファイナンシャル・マルティプルのこれから
 業界が成熟するにつれて、非ファイナンシャル・マルティプルの重要性は相対的に下がっていく。 全般的に財務が安定していくから、従来のバリュエーションの手法を用いたほうがいいわけだ。 最近の研究によると、アメリカのネット企業に対しては、R&D費が、非ファイナンシャルデータよりもより信頼できる数値になりつつあるそうで。

 そこらへんの見極めが、なかなか重要なポイントだと思う今日この頃です。
Comment
≪この記事へのコメント≫
非フィナンシャルデータでのvaluationがよく使われる特殊な業界を二つご紹介します。(私が業務上で使用しているものです)

-クレジットカード業界:カード会員数
-ホテル業界:RevPER(Revenue per Availableの略、客室売上を販売可能客室数で割ったもの)

業界によって使われる評価指標は様々ですよね。
他にも、こういった業界と指標があれば、どなたか教えて下さい。
2005/12/02(金) 10:30:28 | URL | MI #-[ 編集]
 MIさん、いつもいつもファイナンス関連のエントリーに貴重なコメントありがとうございます。

 面白いですね! 

 他の方も、よかったら、コメントをよろしくお願いします。。
2005/12/02(金) 22:31:43 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
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