Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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世界一分かりやすいバリュエーションその2。
 シリーズものを書くと、次の日に特定のアクセスが激減するので、ちょっとびびりながら更新しています。 
 このシリーズは、小細工とかをしながら作ってかなり時間がかかるので、3~4日に一度は更新していくといった感じになります。


 2.企業の価値が向上する時の主な要素は何だろう?
 結論:コア事業からの利益のみならず、成長率、投下資産に対するリターン、資本コストが企業価値を上げもするし下げもする。
 ゴールデン街から帰ってきたテジュンさん、身近な企業のコア事業からの利益を見ることに決めました。 

 
 ※ちなみにこのコア事業からの利益から税金を差し引いたものをNOPLAT(Net Operating Profit Less Adjusted Tax、翻訳すると、「純営業利益から調整された税金を引いたもの」)と呼びます。 まあ、ここでは、あまり気にしないでも大丈夫です。

 なぜか近所のおかし屋さんと酒屋さんが上場していました。 名前は、とらやと三河屋。
 しめしめと、テジュンさんはその企業の有価証券報告書を読みとらやと三河屋が一年に本来の事業から得た利益を計算することが出来ました(具体的な方法はまた別のエントリーで)。
 結果は以下の通りでした。
 ・とらやさん:1億円
 ・三河屋さん:2000万円

 調子に乗ったテジュンさん、ドンキホーテに行って衣装を買い込み、三河屋さんに乗り込んでこんな事を言ってしまいます。
 「平成の三河屋フゥー!!!(翻訳:あんたのところ、とらやさんに比べたらまだまだだね。)」  ※参考資料http://the-trickster.com/hokan05/movie/0410hard.wmv 時間のない人は一分目くらいをご覧ください。


 三河屋のお兄さんが出てきました。
 切れ気味、というより、あきれ気味。

 「おいおいテジュン、君はまだまだ分かってないなあ。 
 ところで、とらやさんとうちが: 
1)この一年間にどれくらいのお金をつぎ込んでその利益を得たのか、
2)そのつぎ込んだお金をどうやって集めたか、わかってる? 」

「わからな フォー!!!」


 完全になめてます。 そんなテジュンさんにも、三河屋さんは丁寧に教えてくれました。

 「いい? うち(三河屋)は、宅配専門だから、いつも商売するのに必要なものと言ったら、主にはバイクと僕と店長とお酒、あと倉庫くらい。 うちの場合、人件費、バイク代、ガソリン代、倉庫の管理費などなどで、だいたい、費用は一年間で1億円くらいかな。

 とら屋さんを見てごらんよ。
 あそこで何人働いてる? まあ寅さんはまともに働いていないけどさ。 それに、あんなに立派なお店を設けている。 大体、一年間で5億円くらい費用を使っているんだよ。」
 
 これを考えると、
・ 三河屋:2000万円の利益/1億円の投下資産(さっき言った費用のことね)=20%
・ とらや:1億円の利益/5億円の投下資産=20%


 となるわけだ。」


 テジュンさん、こう質問します。 いつの間にか衣装は脱ぎ捨てて着替えていました。 ひげはマジックで書いていたので消せていませんが。
 「けれど、それでも、1億円をとらやさんが毎年利益としてあげてるのなら、2000万円の三河屋よりとらやさんのほうが企業としては価値が高いと思うのですが。」


 「そこで、さっき言った、第二点だ。 
 うちは、年間に1億円、とらやさんは年間に5億円、つぎ込んでいる。
 そのお金をどこからひねり出してきたのかを、考えてみないといけない。

 うち(三河屋)は、8割を銀行からの借入でまかなってて、利息は年間で10%支払わないといけないんだ。 残りは株式を売って、それでまかなっている。 その株式を持っている株主に対しては、25%くらいを配当その他で支払わないといけない。
 何で株主は25%も要求するのかって? それはね、うちが倒産したときに:
 ・最初にお金を返してもらえるのはお金を貸している人で、
 ・株主はその後に返してもらえるから、
 ・株主は、倒産したときには多くの場合、全額は返ってこない
 からなんだ。 特に、借入金を返せなかったら倒産になるんだから、うちみたいに、8割を借入でまかなっているところは、よそより倒産の可能性が高い。 そのリスクが高い分、要求する金額も高いんだよね。 他にも色々なリスクがある分、株主は普通の借入よりももっと多い支払いを要求するんだ。

 さて、話を戻すと、うちは、
 8割×10%=8%
 2割×25%=7.5%
 合計:15.5%
 を、まかなっている金から返さないといけない。 うちの場合は一億円だから、返さないといけない金額は1550万円。 利益は2000万円だったから、手元に残るのは、450万円。
 
 けれど、とらやさんは、8割を株式の発行でまかなってる。 とらやさんの株主は、22.5%の支払いを要求している。 とら屋さんは、借入のお金自体は少ないからその意味でのリスク(財務リスクって言うんだけれどね)は低いんだけれど、なんてったって寅さんがふらふらしてるからねえ。 そして、2割は借入で、その利息は10%。
 とすると、とらやさんは、
 8割×22.5%=18%
 2割×10%=2%
 合計:20% 
 てことは、5億円をそうやってまかなっているから、5億×20%=1億円を返さないといけない。
 とら屋さんの年間の利益は1億円だったから、それを返すと、手元にお金が残らない。


 さて、これでも、三河屋のほうがとらやより価値が低いと言えるかな?」

 
 テジュンさん、なるほど、とうなずきます。 でも、マジックでかいたヒゲがそのままなので、やっぱりなめきっているとしか思えません。

 「なるほど、企業のコアの事業から得られる利益だけじゃなくて、
・ つぎこんだお金に対し、どれくらい利益があるか(これを投下資産に対する利益と呼びます)
・ まかなったお金に対し、どれくらいを支払わなければいけないか(これを資本コストと呼びます)

 も知る必要があるんですね。

 でも、それだけだと、今年の数字しか分からないので、その企業がこの先どれくらいのスピードで成長していくのかも、知る必要がありそうですね。」


「うん、そうだね。
 うちが、そのまま5%の割合で利益を伸ばしているのに対して、とらやさんが毎年10%の割合で利益を伸ばしていたら、立場は逆転するからね。 寅さんも、そろそろ真面目に仕事にとりかかるみたいだし。」

 「なるほど、成長率ってやつですね。」

 結論:コア事業からの利益のみならず、成長率、投下資産に対するリターン、資本コストが企業価値を上げもするし下げもする。


※ちなみに、業界によって、また企業によってばらつきはあるのですが、アメリカの過去40年間において、
 投下資産に対する利益は、平均で9%ほど、
 成長率は、平均で実質6%ほど
 と言われています。


 次回からは、実際に、どうやって上で述べた
 ・コア事業からの利益
 ・資本コスト
 ・成長率
 を計算するのかについて、見ていこうと思います。
 


 次回あたりからは、経験が少ないのでちょっと自信がありません。。。 
Comment
≪この記事へのコメント≫
このプログはとても真面目で面白いです。

ドキュメント化されると信憑性が増すもんで
どーしようもないHPやBLOGが溢れる中
自分のBLOGを含め(笑)

このBLOGはBLOGの目的も明確だし閲
覧していて知的好奇心をそそられます。

ちなみに私もビル・エヴァンス大好きです。
2005/12/30(金) 23:56:58 | URL | かずきん #-[ 編集]
かずきんさん、
 そう言っていただけると光栄です。
 確かに、ドキュメントにすると、なぜか信憑性が増しますね。 物心崇拝?笑

 これからも頑張ります。

 エヴァンスいいですよね!! 今度オススメのCDが会ったら教えてください。 
2005/12/31(土) 08:57:20 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
おい、ちょっと待て。

>ちなみに、業界によって、また企業によってばらつきはあるのですが、 投下資産に対する利益は、平均で9%ほど、成長率は、平均で実質6%ほど と言われています。

「バブル」と「失われた10年」を足して年平均で割りゃ確かにその数字になるかもしれんが、等分に企業業績ってのは伸びているわけじゃない。単純に「過去10年間の増益率は6%、ゆえに今後5年間のキャッシュフローの伸びも同じくらいが見込める。。。わけじゃない!
特に成長株投資でそれをやった場合、予想より利益率の伸びが低くなりました→暴落ってのがいくらでもあるから増益率の計算は相当保守的にやらないとえらい目に合う。
2006/01/03(火) 23:30:09 | URL | F.Nakajima #-[ 編集]
 >F.Nakajimaさん、

 仰るとおりですね。
 そして、とても重要なことを書き忘れていたのに気づきました。
 
 これ、アメリカの過去40年間の数字です。。 
 

 仰るとおり、日本のここ20年の経済成長その他の数字は、大雑把に平均すると大変なことになるといわれているみたいですね。 浅学菲才、ご容赦ください。

 
 これからもよろしくお願いします。
2006/01/04(水) 00:05:12 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
 と言うことで、エントリーを訂正しました。 
 ありがとうございます。
2006/01/04(水) 00:06:22 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
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