Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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師想曲 in 朝鮮学校 1。
 成長した自分を見つめながら、人生を振り返ったときに、目の前に浮かぶ人々がいる。
 その人々は、自分にとって大切な人なのだと思う。
 そして、彼・彼女らを思い浮かべながら、不意に微笑を浮かべる人は、幸せな人なのだと思う。


 回想とともに、朝鮮学校における思い出を書いていこうと思う。
 あらかじめ断っておくけれど、僕が朝鮮学校を代弁できるわけがない。 そんな思い上がった人にはなれない。 これは、僕の個別の経験に過ぎないのであって、「これが朝鮮学校だ」と一般論化することは出来ない。しようとも思わない。 僕はここで、あったことを記憶の許す限り事実として述べる。
 
 現在、2ちゃんねるなどを見れば分かるように、朝鮮学校に対する議論にはすさまじいものがある。 最も困ったことの一つは、等身大の朝鮮学校があまり知られないまま、議論が議論を生み拡大し続ける状況が作られてしまっていることだ。 サルトルの著書、「ユダヤ人」(岩波新書 緑)を思わずにはいられないような状況になっている。 
 さらに、インターネットの掲示板の性質上、お互いを批判しあうようなネガティヴな議論においては、論者が多い方が主流の地位を占めてしまうことも、困った問題の一つだ。 論理などはお構いなしに、少数派の議論はかき消されてしまう。 日本の人口1億3000万人に対して、朝鮮学校に関係がある人の数は10万人ほどしかいない。 ポストコロニアリズム風にいうと、「翻訳」されつつある状況だ。 
 だから、批判はあるだろうけれど、それでも、語らないといけないと思い、このエントリーを書こうと決めた。


 人生を振り返ったら目の前に浮かぶ師の一人に、中学2,3年の頃の歴史の先生がいる。
 30代半ばで、正義感の強い人だった。 サッカーも上手で、人格的な成熟は申し分なし。 自分の薄い頭を笑いの材料として授業中に頻繁に引き合いに出したり、生徒の間に割り入って自分の学生時代の下ネタを連発したりと、とても気さくな人でもあった。 反抗的な生徒に「殴るのなら私を殴りなさい」といって頬を差し向け、殴らせたりもする、そんな先生の人望はとても厚くて、多くの学生達が彼に進路の相談を持ちかけていた。
 
 一番素晴らしかったのが、その授業。 科目は、朝鮮史、日本史、世界史。
 45分という時間の間にスライドはもちろんの事、ビデオデッキやその他にも授業ごとに様々な小道具を持ってきて、毎回がテレビ番組もしくはそれ以上の授業だった。 僕はその一つ一つの授業を今でも鮮明に覚えている。
 そんな授業をしながらも、「君達が寝てしまうのは、私が授業に対する準備をしっかりやっていないからだ。 だから、寝るなら寝なさい。」と常に話す、謙虚な先生だった。
 授業のコマを4つくらい使って、「戦争で人を殺していいのか悪いのか」を題材にディベートをしたこともあった。 
 世界史の最後に時間には、「現代文化史」と銘打って、ビートルズの授業をしてくれた。 授業中に流れた「Let it be」から僕はビートルズを知り、興味を持ち、歌を聴き、それまで大嫌いだった英語に手をつけることになった。 そのおかげで、中学三年生の時には、高松宮杯という英語の弁論大会で全国大会にも出ることになった。

 彼は、朝鮮民族の歴史について、こんな風に語っていた。


「 私達の民族は、今も昔も、外国に攻め込んだことがない。 これは、素晴らしいことだ。 それを誇って、私達は自らを、穢れの無い白い服を好んで着る、白衣民族と呼んでいる。 
 だが、私達の民族は、同族間の闘いが常に耐えなかった。 「朝鮮人は3人集まると派閥をつくる」と、言うことわざまであるほどだ。 これを派閥争いという。  そして、大きな国、当時では中国に幻想を抱いていた。 逆に小国や進んでいない国を見下していた。 これを事大主義という。
 この派閥争いと事大主義が、私達の国を疲弊させた。 今まで、私達の国が他国に侵略されたとき、常に、国内ではこの派閥争いと事大主義があった。 私達は、日韓併合がされたその日を、「国恥日」と呼んでいる。 その意味をよく考えてみないといけない。
 仲間内で徒党を組んだり、他のものに過度に幻想を抱いたり、他人を見下したりすること、それらは、君達の身にも覚えがあるだろう。 私達は、歴史から学ばないといけない。 君達は、過ちを繰り返してはいけない。

 もちろん、侵略する側が一番悪い。 考えてみるといい。 世の中が大混乱に陥って、家々で強盗が行われているからといって、そして、やらなければやられるからといって、強盗をして良いものだろうか。 良いわけが無い。 相手の家がとても貧しくてみすぼらしいからといって、もしくは、その家の中でみっともない家族喧嘩をしているからといって、そこに無理に押し入って、家を建て直したり喧嘩を止めたりするのが正しいことなのだろうか。 私は正しくないと思う。 私がその家に住んでいたら、いきなりずかずか入ってきた人たちを何とか追い払おうとするだろう。 人には自主性というものがある。 どんなときにでも、問題は、最終的には当人達が解決すべきなのだ。 他人に出来ることは助けることであって、直接その問題を解決してしまうことではないと、私は思う。 
 
 人間にとって、自主性というものは、何よりも大切なものの一つだ。 ルソーという人の本に書いている言葉に、「私は奴隷の平和よりも、自由な死を選ぶ」という一節がある。 これは過激すぎるかもしれないが、それくらい、人にとって、「自分のことは自分で決める」という権利は重要なものなのだ。 この権利を自主権と言う。 
 前に政府は暴力装置だと言った人のことを話したね。 覚えているかな? どんな国にでも、良いところもあるし、悪いところもある。 どんな国にでも善人・悪人がいる。 朝鮮民主主義人民共和国の全てが正しいわけではないかもしれない。 私達はあの国に住んでいないのだから、分からない事も多いだろう。 だが、客観的に国として見たとき、どんな国の圧力にも屈せず、自主を守り続けているあの姿勢は、本当に素晴らしいものだと私は思う。 もちろん、自主を守るためとはいえ、それによって国内の人々に苦痛を強いることが正しいのかどうかは、難しいところだ。 国民が望んでいるにせよ、いないにせよ。 さっきのルソーと言う人の話を思い出してくれるといい。 評価は、歴史が下すだろう。 君達がおじさんとおばさんになったときには、結論が出ているはずだ。
 国を愛すると言うのは、どういうことなのだろう。 愛する人のことを考えてみると良い。 君達は、愛する人に何らかの問題があるときに、それをどう思うだろうか。 自分のことのように痛み、それを何とか変えようと努めるだろう。 本当に愛しているのならば、その欠点を憎みはせず、変えようと考えるものだ。 「同情は愛に近し」という(最近になって、僕はこのpity is akin to loveがキリストの教えであることを知った)。 君達の、同胞社会や国に対する気持ちは、このようなものであるべきだと、私は思っている。」



 「いつか、私の言っている事が分かる日が来ると思う」が、いつもの口癖だった。
 彼の語った内容は、僕の血肉になっている。 人を愛すること、自分の力で考えること、おかしいことにはおかしいと思うことなど、学んだことは数知れない。
 それが、僕の高校時代そして、今へとつながっていると思う。
Comment
≪この記事へのコメント≫
トラックバック有難うございます
トラックバック有難うございます。
さて、民族学校の問題は、アクまで私塾としての教科内容であると思います。
どうしても、日本国の指導を受けたくなければ私塾として運営することに反対する人は居ないでしょう。
しかし、実際には、土地は寄付しろ。支援はしろ。補助金はよこせ。大学入学資格をよこせなどの言動が日本人の反発を招いていると思います。
そして、あくまでここは日本という外国であるという自覚を持たない限り、在日諸氏の立場は悪くなる一方ではないのでしょうか。
結構、私も交友関係には在日の人も多く居ますが、気化しない限り好き勝手なことはいえないという意見がほとんどですね。


2006/01/09(月) 14:31:04 | URL | hide #mQop/nM.[ 編集]
 hideさん、
 コメントありがとうございます。
 日本政府の指導を受けずに、自己の教育内容を貫き通すのであれば、援助等も求めるな、
 という事で、主張を理解してよろしいでしょうか?

 その点についても、かなり議論のある問題だと思うので、また追ってエントリーを書こうと思っています。 よろしくお願いします。
2006/01/09(月) 21:57:12 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
すばらしい先生ですね。歴史を縦横でみている気がします。目指したいスタイルです。社会科の授業は生徒の人生観や世界観に直接影響を及ぼす大切な科目だと、つくづく思います。
2006/01/09(月) 23:22:43 | URL | 李白 #-[ 編集]
読ませていただきました
 有難う御座います。
一個人が 組織 について語る事には
非常に 無理が あります。それを承知で
無茶な事を言ってしまった自分 しかし、
そんな私に 誠意を持って 返してくれた
手順氏 に 感謝 します。

 面白い人間に出会えたのですね。
大変羨ましい事です。よき大人の出会いとその影響は
計り知れないものがありますから。教員としても 
組織の人間としても 一人の人間としても 
出来る限りの事を して下さっていたのだろうと
想います。

「奴隷の平和よりも、自由な死を選ぶ」
これはルソー の言葉だったのですね。言葉自体は
知っていましたが、出典は知りませんでした。
私達日本人の 武士道 に通ずるものがあります。
まぁ、日本人は もはや 武士道を 捨てた者が
殆どですが・・・
きっと賢人達に共通する真実の一つなんでしょう。
現在 私達日本民族は 奴隷の平和に 甘んじて
おり、主権が侵害されようとも 金と土下座でなんとか
してきた戦後の醜い醜態があり 私達の世代の足を
引っ張っており、世界に恥をさらし 日本を とことん
落としめております。
私は その打破 の為に できる事を 考えている
ところです。次の話 また 感想を書きたいと想います
2006/01/09(月) 23:59:45 | URL | I-RIAS #-[ 編集]
李白、
 そういう人になっておくれ。
 いい先生の言葉は、学生に一生残るものだよ。
 大学の頃の僕のプレゼンテーションは、その先生にかなり影響されている。 

 I-RIASさん、
 コメントありがとうございます。
 大学の頃に本を読んだのですが、確か、「社会契約論」で、ルソーが誰かの謂いを引用している箇所でした。
 文化として「道」と呼ぶものが多くあることは、素晴らしいことだと思います。 これからもそれら文化が守られていけばいいですね。

 これからもよろしくお願いします。
2006/01/10(火) 00:25:59 | URL | Taejunomics管理人 #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
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2006/01/11(水) 17:49:29 | | #[ 編集]
大阪、東京共にラグビー全国選抜大会出場を果たしました。後輩たちが頑張って民族教育の素晴らしさを見せてくれていますね。
2006/03/25(土) 11:28:50 | URL | 権兵衛 #-[ 編集]
民族教育には・・・・
北朝鮮の軍事独裁政治を正当化する歴史観も含まれるのでしょうか?朝鮮民族にふさわしい教養には「革命史観」は含まれないのではないかな?と思います。

ちなみに、1990年代を見る限り、国家経済の半分以上をソビエトなど共産国からの支援に頼っており。

>>どんな国の圧力にも屈せず、自主を守り続けているあの姿勢

というのは誤った情報ではないでしょうか?
今日でも、北朝鮮は燃料などを中国からの支援に頼っており、それでも困ると核兵器開発などして周辺国から援助を恐喝しております。

チンピラは素晴らしい姿勢でしょうか?歴史が判断を下す必要もなくロクデナシだと思います。
2008/05/30(金) 16:43:56 | URL | 1 #PgXQQ0.I[ 編集]
1さん、
必ず含まれるべき問題ではないとは思うのですが、朝鮮学校、というより、在日コリアンの学校がたどってきた歴史から、含まれる事になったのだと思います。 なんとも言えません。


90年代って、ソビエトがなくなっていた気もするのですが、中国からある程度の援助があったというのは事実かもしれませんが、僕は実情を恥ずかしながらよくわかっていません。

チンピラは確かによくないのですが。。
ちなみに、第三世界の中では、北の態度に対しての評価はあまり悪くないという話を聞きます。 どうなんでしょう。 


2008/06/02(月) 01:27:00 | URL | Taejun #-[ 編集]
すばらしい先生だと思いますが、少し事実誤認があるようですね。「私達の民族は、今も昔も、外国に攻め込んだことがない。」日韓の古代史を見れば一目瞭然ですが、これは間違っています。対馬だけで見れば何回も侵略してますし。元寇の経緯とか歴史の教科書に載ってないのですか?なぜ倭寇が出てきたのとか説明しないのでしょうか。
白衣民族の由来も憶測ですね。
2009/04/06(月) 15:52:45 | URL | natsuki #-[ 編集]
コメント有難うございました。
仰る通りですね。大きな戦争とかのことを意味しているのではないのかな、と思います。

2009/04/07(火) 07:48:45 | URL | Taejun #-[ 編集]
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