Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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エンロンの粉飾決算について。
 ライブドアショックは、第二のエンロンショックとなるのではないか、という話がちらほら出ている。

 結論から言うと、僕はこの見方に懐疑的だ。
 

  
 というわけで、エンロン事件で何が起こったのかを見てみる。 
 僕は、エンロン事件の時には別に興味もなかったので、「ああ、エンロン手会社が不正をしたんだな」くらいにしか知らなかった。

 ですので、簡単さはさておき、根本的な間違いがあったら指摘してくださると幸いです。
 

 エンロンの不法行為は、ざっくり言うと:
・SPEとのデリバティヴ取引を通じて、自社株の値上がり益を自社の損益に取り込んだこと
・本来連結すべきSPEを連結対象外としていたこと。
・SPEへの出資に関して適切な情報開示を行ったこと。

 の3つのようだ。 

(SPE(SPV)とは、Special Purpose Entity(vehicle)で、特別目的事業体とかいう風に訳されるようだ。 資産の流動化・証券化などの目的で作られるもので、ペーパーカンパニーのような実体である場合が多い。)


 とても単純化して図にすると、こんな感じ。
20060128231302.gif




 
 アメリカの規定では、SPEに対して独立の第三者が3%以上出資していれば、そのSPEは連結対象とはならない。 このSPEのリスクは高くて出資者が集まらなかったため、エンロンは実質的に損失補てんをすることによって外部の投資家を募った。 

 また、資産の変動リスクをヘッジ(リスクに対して垣根を作ること、すなわち資産価値などが下がったときなどにその下落を相殺するような仕組みを作ること。一番分かりやすい例は、保険。)するためにSPEを4つ作っていた。 しかし、ヘッジとは名ばかりで、SPEは実質的にはエンロン株を保有するだけの会社であり、SPEが保有しているエンロン株の値上がり益がエンロンに戻ることにより、株式の評価益が利益として取り込まれる。 

 さらに、エンロンは、SPEに対し割り当て増資で株式を発行、SPEは出資金を手形で払い込む。 エンロンはそれを、
受取手形 / 資本金
として貸借対照表へ計上。 しかし、本来、受取手形はアメリカでは資本金から控除されるべきもののため、エンロンは過去にさかのぼって資本の部の合計額を12億ドル減額することになった。 外れていた連結が連鎖的になされていった:

① 非連結のSPEとしての条件を満たすと見なされ連結してこなかったChewcoがその条件を満たしていなかったことが判明。 本来は97年11月から連結すべきだった。 
② Chewcoが連結されたため、同社がlimited partnerとなっていた、JEDIも同年までさかのぼって連結しなければならなくなった。 そうして、ChewcoとJEDIの借入金がエンロンの連結貸借対照表に表示されるようになった&JEDIの保有していたエンロン株の値上がり益のうち、Chewcoの持分が連結消去されたため、エンロンの連結利益も減少した。
③ エンロンがデリバティヴ取引を行っていた対象であるSPEも連結すべきだったことが判明。 そのため、エンロンとSPEの間での先渡しデリバティヴ取引によって計上した利益が消去された。 結果97年までにさかのぼり過去に計上していた純利益の16%に相当する6億ドル弱を減額修正することとなった。

 そして、2001年末の第三期決算において、上の簿外取引(帳簿に記載されていなかった取引)を特別損失として計上することによって、税引後純利益が6億1800万ドルの赤字となる事を発表。

 発表後、ウォールストリート・ジャーナル紙上で取引の不透明性に関する報道が本格化する。
 結果、10月初めに30ドル代前半の株価が年末には10ドル代前半にまで下落。 ムーディーズによる格付も10月末にBaa1からBaa2へ、その2週間後にはBaa3へと引き下げた。

 疑心暗鬼の連鎖は止まらない。
 これらを修正したことにより、「他の3500以上あるSPE(そのほとんどは連結対象外)にも同じような問題があるのではないか」という疑心暗鬼が市場関係者に生まれた。 ディスクロージャーが弱かったため、不信は更に増した。

 その後再び11月にエンロンは次のように発表:「1997年にまでさかのぼり、過去に計上していた純利益のうち6億ドル弱を減額修正する。」 


 エンロンには、自社の債券格付や株価が一定水準に下がった場合に、債務の返済義務が発生する条項があることがこの時に判明する。 それを受けて、ムーディーズはさらに5段階格下げし、エンロンは投資不適格となる。 条項に従い、39億ドルの債務返済義務が発生。


 と、ここまで書いておいて、次回へと。
Comment
≪この記事へのコメント≫
すみません
理解力不足で申し訳ないのですが、
エンロンとSPEとの間で
行われた先渡し取引について
具体的に教えていただけませんか?

エンロンが自社株をある価格で
SPEから買い戻すということなのでしょうか?

見当違いなら申し訳ないです。
2006/02/02(木) 02:36:03 | URL | ナルカワ #-[ 編集]
 僕も当時は事件に全然興味すらなったので良く分からないところもあるのですが、ヘッジ目的で行われていたSPEとの先渡し取引は、

 エンロン株しか保有していないSPEが、エンロンの資産価値が下がったときにその損失分を補填するという、僕には一見「?」な取引だったようです。

 ヘッジ会計には特殊な規定が色々とあるので、それを利用したのかもしれません。 アメリカのヘッジ会計に関する基準はよくわからないので。。

 ただ、そのSPEはエンロン株しか持っていないのですから、エンロンの株の価値が極端に下がると、エンロンの損失分を補填できなくなり、そのようにしてこのスキームは破綻したようです。


 
 
2006/02/02(木) 22:49:06 | URL | Taejun #-[ 編集]
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