Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:-- | スポンサー広告 | Trackback(-) | Comment(-)
Re:TAXの世界へようこそ。 
 47thさんからコメント(練習問題?)をいただきました。

 「へへえ、そのとおりでございます。m( _ _)m」なんて書いていたら人間発展しないので、知識不足なんてお構いなしに考えをまとめるつもりで書いていきます。 


>租税法の世界は理論面と技術的な実務面の組み合わせがダイナミックに交錯する世界で非常に面白いので頑張ってください。

 そうなんです。 そこに僕はこの分野の面白みを感じているんですよね。
 学ぶ前は、「租税法かあ、、退屈そう。。 まあ習っておかないと将来とんでもないところでこけるかもしれないからがんばろうかなー_ー」程度にしか思っていなかったんです^^;

 先行している実務を、理論が追いつこうとしているところにとても「ワクワク」を感じています。 高度な「イタチごっこ」というか、なんというか。


 さらに、マグナ・カルタから現代人権運動まで、租税は常に権利闘争において主要な地位を占めていたんですね。 こういった、「権力に対する歯止め」ということを考える憲法学的な側面もあり、これも僕のツボにはまっている要因の一つとなっていそうです。

 「一切の楯金、もしくは援助金は、朕の王国の一般評議会によるのでなければ、朕の王国においてはこれを課さない。」 マグナ・カルタより



>①職務対価という面だけでみると「給与所得」は理論的に妥当と思えるかも知れませんが、長期間にわたる労働のゲインが一時期に実現するという意味では退職給与や不動産キャピタルゲインなどと同じく累進緩和措置をとることには一定の合理性もあるんですよね。
解釈論としては、現行の所得類型をベースにどれに一番フィットするかを考える必要があるのですが、そもそも目的や制度設計の観点から見て妥当かどうかという検証も合わせて考えると面白いことが見えてくると思います。



 なるほど、確かに今までの労働の対価が一時期に実現するのなら、そういった利益の累進課税を緩和する事に妥当性がありそうですね。 山林所得(e.g.ヒノキ林は植えてから売れるまで最低60年かかる、などを鑑みて5分5乗課税)とかと同じように。

 理由付けをするためには、47thさんのおっしゃるとおりストックオプション(税制)の目的や制度設計について考える必要があるってことになります。 

 僕が知る限り、ストックオプションは、経営者側(特にベンチャー企業の)には比較的好まれ、投資家には嫌われている制度のようです。
スタートアップ期において資金が不足しているベンチャー企業経営者にとっては、ストックオプションは優秀な人材を留めておくための貴重な手段と考えられています。 ある意味、こういう場合のストックオプションは、結果重視褒賞システムの最たる形かもしれません。

 逆に既存株主は、ストックオプションの発行を嫌います。
 大きな理由の一つは、オプションが行使されると、多くの場合希薄化が生じてしまい、既存株主(→投資家)に不利に作用するからです。 
 もう一つは、ストックオプションはこれまでオフバランス(帳簿に記載されない)項目であったため、投資家の投資判断を難しくする要因となっていたことが、嫌われる理由として考えられます。

 アメリカでのSarbane-OxleyActの流れを受けてか、日本の会計制度においても、現在ストックオプションはオンバランス(帳簿に記載する)項目になっています。(これが生ぜしめうるインパクトについては、いつも紹介しているisologueに詳しいのでご覧ください。)


 「ストックオプションはやってもいいけれど、投資する人のためにちゃんと知らせてね」というのが、規制の大まかなアイディアのように感じられます。
 そう考えてみると、ストックオプションに対する課税を、単に給与所得、とばっさり切ってしまうのは芸のない気もします。 

 「会計帳簿にしっかり記載することを用件として、租税特別措置の対象とするor利益についてはN分N乗課税する」といったあたりがいいのかもしれませんね、というのが素人の思いつきです。




>②付与時課税があれば、当然行使時課税はないという整理をされていますが、理論的には、付与時以後の「行使」も全て証券の「交換」と見て所得(キャピタルゲイン)が実現すると見る方が自然な面があります。現行法がそうなっていないのは、かなりテクニカルな取得価額に対する条文操作に頼っていたはずなので、これも現行法でそうであるということと、理論的にそうあるべきかというのは必ずしも一致しませんよね。


 同感です。 2週間前、これを先生に質問したんですよね。

 付与時課税は、そのオプションの理論値を算出して(税務署の人たち、できるのかなあ)課税することになります。 
 当然、理論的に割り出されたオプション付与に伴う利益と、実際の利益には乖離があるわけで、そういった一時的・臨時的・偶発的な利益は譲渡所得とするのが理論的にはすっきりしそうです。

 なんで、現行法ではそうならないんでしょうね。


 ということを、授業後に質問したのですが、こういう返答でした:
 「オプション価格は株式価格と違って譲渡することを前提にしてプライシングされているから、譲渡所得にも課税してしまうと理論的には二重課税となってしまう。」

 うーん、わかるにはわかるのですが、ちょっと釈然としないんです。 これ。
 株式だって、おんなじブラックショールズ式で算定できる昨今なのですから、それには当然に「投資家の選択権」は加味されているわけですし。

 って事をさらに聞こうとしたのですが、そのときは次の授業まで時間がなかったので(休み時間が10分しかないんです)、引き伸ばしになってしまいました^^;






>③取引における出し手(会社)と受け手(従業員)の課税処理の均衡というのは、必ずしも自明ではなく、理論的には、全てを資本取引として課税しないという選択肢もあり得ると思いませんか?

 そうなのでしょうか?
 経済的利益(e.g.無利息借り入れの利息相当部分や、現物支給)も給与所得とするのですから、ストックオプションは給与として課税するのがすっきりする気もします。
 ストックオプションの行使を、会社と従業員の間の資本取引とみなしても問題ないとは思うのですが、その資本取引をするための資金は労務の対価として会社から受け取ったものなのだから、それには課税をすべきだと感じるのです。


 給与所得は、雇用者の指揮・命令の下に給付される労務の対価だということを鑑みると、貰い手が希望してストックオプションを受け取ったのなら資本取引、そうでない場合(ベンチャー企業とかだと大いにありそう)は給与所得、と分けられそうな気もしますが、これは現実的ではなさそうですね。 そんな制度を採ったら、「いや、これはしょうがなしに受け取ったのだ」と言えば非課税になるというようなことが起こりそうですし。



>実は、こういう場合、税法というのは往々にして、法律上は単一の行為である「エクイティの付与」を「相当額の現金の交付」+「その現金による払込」という複数段階の行為と見なして課税関係を構築していることがあるんですよね。

 おお、なるほど。 みなし配当などがこの類型にあたるのでしょうか(間違っていたらごめんなさい)。
 確かに、こういう説明が多い気がしていて、「なんなんだろう、これ」と考えていたので、とてもすっきりしました。 ありがとうございます。  


>この辺りの税法による法律行為の再構築が、多くの税務訴訟における課税側と私人側の見解の相違の根底にあるということも考えながら読むと面白いかも知れません。

 貴重なコメントありがとうございます。 現在の講義は、「課税側」へのバイアスがかかっている気がしているので、大いに参考になりそうです。



>既に立法的に問題が解決されてしまっているところもあるんですが、平成2年頃の商事法務誌上で行われた商法の竹内先生と税法の金子先生の論争などは、多分Taejunさんなら興味を持たれるんじゃないかと思います。

 情報ありがとうございます。 ファイナンス課税関係でいい本を探しているのですが、何かいいのがあれば教えていただけるとうれしいです^^


>以上、長々とすみません。

 とんでもない。
 今後とも、どうぞよろしくお願いします。


 以上、昼休みのネットカフェよりお送りしました。
Comment
≪この記事へのコメント≫
頑張ってください
資本取引のところは少し誤解させてしまったようです。あそこで書いたのは、法人側の処理を全て資本取引でという趣旨でした。
「金融取引と課税」については、そのものずばりのタイトルの中里先生の名著があります。
また、私の所属事務所が出しているファイナンス法大全の金融取引租税法の部分も役に立つんではないかと思います。
オプションの考え方については、買収防衛策関係などでも極めてホットなトピックとなっているところです。
「二重課税」という説明は、確かに余りしっくりこないですね。オプション行使による価値の実現の本質は現物株式の値上り益と全く同じもので、オプション証券のキャピタルゲインと考えていいはずで(行使価額と時価の差はオプション価値のうち本源的価値を構成する)、問題は純粋にキャピタルゲインに対する課税タイミングの問題のように思われます。
是非、先生とも議論して、また色々と教えてください。
2006/05/24(水) 12:40:52 | URL | 47th #cyygG8p6[ 編集]
 あ、そういう事なのですね^^; 早とちりしてごめんなさい。

 参考書の紹介、有難うございます。
 「金融取引と課税」、、オンデマンドの書籍をはじめて見ました。 今の課題に溺死しそうな状況を抜け出したら是非購入してみようと思います。
 ファイナンス法大全も、ちょっと目をつけていた本です。 ちょっと大部なのでビビッていたのですが、ピックアップして読んでいきますね。

 
 これからも、学生という立場を利用して、今しか書けないネタ(租税回避とか)を書いていこうと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
2006/05/25(木) 00:27:41 | URL | Taejun #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。