Taejunomics

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租税法の基礎③:租税法律主義と租税公平主義。
 さて、第三回は、租税法における、2大基本原則、租税法律主義と、租税公平主義について書いていこうと思います。


1.租税法律主義
1)定義
2)歴史
3)趣旨:二つの安定性の確保
4)租税法律主義の3つの内容
  A.課税要件法定主義
  B.課税要件明確主義
  C.合法性の原則

2.租税公平主義
 1)憲法上の公平
 2)租税法上の公平
 

 
 金子先生の「租税法」では、地方自治との関係からもう一つ原則が書かれているのですが、書かれていない書籍も多く、上の二つを租税法における原則として書いていこうと思います。



1.租税法律主義

1)定義
 憲法84条には、次のように書かれています。

 「新たに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とする。」

 これが、まさに租税法律主義の定義です。 課税は、法律の根拠がないといけない、ということです。


2)歴史

 以前にも述べたように、租税法は侵害規範であり、租税は国家が強制的に市民の財産を侵害する行為です。 
 そういった行為を政府が自らの裁量のみによって出来てしまうと、大変なことになります。 近代以前は、これが、政府や王様の裁量で出来たんですね。
 このような、「国家による恣意的な権力行使を否定する」、というのは、近代民主主義の成立において、常に重要な地位を占めてきました。 マグナカルタしかり、アメリカ独立戦争時しかり、フランスの人権宣言しかり。 たとえば、アメリカ独立戦争時の一つの標語は、"No Taxation without representation."でした。

 租税法律主義は、そのような背景から成り立っているんですね。 


3)趣旨:二つの安定性の確保
 もちろん、租税における正義の実現、というアイディアが根底に流れているのですが、現代の租税法体系において、租税法律主義の趣旨は以下の2点です:
 ・法的安定性の確保:課税要件がそう簡単に変わらないこと。
 ・予測可能性の確保:政府の解釈がそう簡単に変わらないこと。
 
  この2点は制度設計を考える上で結構重要みたいです。 判例100選を見ていても、よく目に入ってくる概念です。

 
 ※事前照会制度  
 予測可能性を確保するために、先進国では事前照会(Advance Ruling)という制度を設けています。 これは、その行為が課税要件に該当するかどうか不安になったときに、納税者が事前に税務署に対して問い合わせをすることが出来る制度です。
 日本ではだいぶ遅れて最近採用された制度なのですが、かなり問題があります。 たとえば:
  ・実際に行ったこと、行うこと以外質問できない。 つまり、問い合わせしたら「課税されるよ。」と答えられたとしても、それを中止できない^^;
  ・回答は公知のものになってしまう。 ということは、ノウハウを隠せない。。

  などです。 これから、もうすこしこの制度を発展させる必要がありそうですね。
  
 
 
 
 4)租税法律主義の3つの内容
  A.課税要件法定主義
   「こうしたら課税されるよ」という要件は、法律によって定められていなければいないというものです。
  
   「法律」についてちょっと説明しておきます。
   拘束力を持つ法規範には優越順で言うと、法律>政令>省令があります。
   租税法において、「○○税法(たとえば、所得税法)」と書かれているのが法律、「○○税法施行令とかかれているのが政令、「○○税法施行規則」と書かれているのが省令です。 「○○通達」というのはこの下に位置しています。 これは省庁内の職員のみが拘束されるもので、法規範に対する解釈の指針などが定められています。 

  
  課税要件の手続きは、すべて法律で定められていなくてはいけなくて、政令、省令への委任は、細目を定めるというときに限って認められることになります。  いわゆる白紙委任は、認められていません。

 
   この内容がなかったら、租税法律主義とは言えませんよね、どう考えても。
   
   

 

  B.課税要件明確主義
   法律に規定される課税要件は、一義的なものでないといけない、というものです。
   解釈が分かれるような課税要件だと、納税者の予測可能性が大きく害されてしまうからですね。 
  



  C.合法性の原則
   解釈や運用が法律に合致していなければいけないという意味です。 たとえば、徴収額は、法律に定めたとおりでないといけません。 それ以上も、それ以下も、許されません。
 同じような趣旨から、立法の効果が遡及することも認められていません。 ただし、納税者に有利な立法であれば、遡及することも許されていると考えられています。


 2.租税公平主義
 税の徴収は公平でないという原理です。
 大きく、二つの意味での公平が言われます。

 1)憲法上の公平
  憲法14条の法の下の平等に規定されている平等概念に基づく公平です。 形式的・水平的概念でなく、実質的・垂直的概念としての公平ですね。
  これに関して有名な訴訟に、大島訴訟があります。
  給与所得者はその所得のほとんどを経費控除できないこと(事業所得者はいろんな支出を経費で落とせます。 所得税のところで詳しく書きますね。)が、憲法14条の定める平等に反するとして京大の教授である大島さんが訴訟を起こしました。  

 最高裁の結論は、ノー。 租税と公平に関しての判旨は以下のとおりでした:
 ・租税法に関しては立法府の政策的、技術的判断にゆだねるほかはない。
 ・だから、区別は、それが著しく不合理でない限り、合法性を否定されない。

 じゃあ、裁判所って何を判断するんでしょうね、、、と、確か、大学生のころに疑問を抱いた記憶があります。 「これはテクニカル・政策的な問題だから判断はちょっと・・・」という類の判旨が、結構多いんですよね。 

 まあ、それはさておき。


 

 
 2)租税法上の公平
 一言で、「担税力に応じた課税」が、租税法上の公平に関する基本アイディアです。
 「国家から享受する利益に応じた課税」は、課税の根拠にはなっても、税金負担の配分基準にはならない、というのが通説的な」見解のようです。

 
 
 第三回は、とりあえず以上です。
 
 
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