Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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変則ゲーム理論と行動心理学によるトレーダー行動説明。
 インターンの子に税について教えているのですが、そのための資料を作ったり、宿題をしたりと、ちょっとあわただしい今日この頃です。
 
 (どなたか、「みなし配当」ってアメリカにあるのか、あったら英語でなんていうのか、教えていただけたら助かります。。 )

 
 というわけで、ちょっと手抜き気味ですが、前回のマーケットメカニズムのレポートの一部を、そのまんま取り上げちゃいます。 アンケートに協力してくださった皆さん、ありがとうございました。

 いつもは定量的な分析が多いのですが、たまにはこういった定性的な分析をしてみるものも面白いですよね。 毎週の如く書かなくてはいけないことに加えて、他の授業でも同様にレポートが課されているので、妥協がかなり含まれていることはご承知ください^^;


 もちろん、ご意見、批評、質問は歓迎します。



--------------------------------

 ―シナリオ過信に対する、行動心理学とゲーム理論を用いた仮説―

 人間の社会的存在としての意識のあり方が、意外とマーケットに大きな影響を与えているのかもしれない。

 今回、最も興味深かった事柄は、なぜ私のチームが、なぜ事前に立てたシナリオ―「合併後、買収側の株価上昇、被買収側の株価下落」―に拘泥し、それゆえに様々な問題行動を採ってしまったのか、という点にある。 私のチームのみならず、他のチームも、類似した戦略を採っていたように見える。 上に掲載した図を見ても、特に序盤において、多くのチームの投資行動には似ているものが多い。

 この理由について、一般的な投資理論から説明するのは難しいと、私は感じている。 ロジカルな問題と言うよりも、サイコロジカルな問題が大きいように思われる。

 以下、多少のアンケート結果も含めて、2点からその理由について考えてみようと思う。
 仮説1:アンカリング(anchoring)のバイアス 
 アンカリングとは、トヴェルスキーやカーネマンらが唱えた概念で、直訳すれば「錨をつけること」である。 すなわち、「人が、事前に特定の情報が与えられた状況下で、不確実な事象について予測する場合、事前に与えた情報を基点と見なして(そこに錨をつけて)、将来を予測する事」というのが、アンカリングの基本内容である。
 
 私達トレーダーは、先々週には、TOBのトレードを経験し、そこで、買収企業の株価が下落し、日買収企業の株価が上昇した事を、体験と共に強く記憶している。 その後、梅野さんの執筆されたペーパーを読みながら、さらに、「被買収企業の株価は上昇し、買収企業の株価は下落する」という考えを頭に定着させていった。 同時に、価格は買収比率さえ決まると大きく収束へと向かうという情報も頭の片隅に残ったように思われる。
 
 そして、そのような経緯を経て、私達は今回のトレード直前に配られた資料を見るようになった。
 今になって考えてみると、トレードの事前資料には、極僅かな情報しか記載されていなかった。
 おそらく、この授業を採っていない他の生徒が資料を見たら、多少はM&Aの可能性を感じつつも、そうでない可能性も十分にありうる事を想定したと思う。 また、M&Aが生じても市場が双方に好意的に反応することも想定してトレードに臨んだと考えられる。 実証分析においても同業種の間のM&Aは相対的にはポジティヴに評価される場合が多いのだから、ファイナンスの知識がある人々であれば、十分にそのような想定を行えるものと私は思う。
 しかし、私達のように、事前情報をたっぷりと与えられた人間達には、当該資料は、あたかもそれが「合併の予想図であり、その後の片方の株価下落と他方の株価上昇を示したもの」に映ったのかもしれない。

 こういったアンカリングのバイアスが、今回の奇異なトレーダー行動の一つの理由にあるのかもしれない。



 仮説2:変則版ゲーム理論による説明

 私は、元来そういう性質ということもあって、他のシナリオを予測して行動を採ってみたいと思っていた。
 事実、パートナーに対し、「他のシナリオについて見当してみないか」と、それとなく、話している。

しかし、しなかった。 なぜなら、私は、以下のように考えていたからだ:

 シナリオ感に沿わない戦略を私が提案するとする。 所有時間が短い中、お互いが納得を完全に出来ないまま、どちらかの戦略を選択し、トレードに臨む。 私の戦略を採ろうが、パートナーの戦略を採ろうが、成功したときはまだしも、失敗したときの精神的なダメージはかなり大きい。
 パートナーはシナリオに沿った戦略を採ろうとしているように見える。 時間が限られているので、意見の不一致は避けないといけない。


 このような考えをしたのは私だけなのだろうか。 それを検証するために、以下のような図を作成し、友人その他の協力を得て、ゲーム理論のメタ版のような図を作成してみた。

 図の基本内容は
 ・戦略は世間一般的な戦略か、うらばりの戦略のどちらかである
 ・意見が分かれても、時間がないので、納得しなくともどちらかの戦略を採ることになる
 ・それぞれの場合において、成功、失敗時の満足度を、10点満点で記す

 である。

 回答の平均をとると結果は以下の通りだった:
 
20060623231034.jpg

 また、共同で戦略を立てず、一人で立てる場合についての結果は、以下の通りとなった。
 20060623231051.jpg




 この結果は、人は個人での行動が許されるのなら、裏張り戦略を採りやすいが、チームを組むと、そういう行動を採ることが難しくなる、という事を示しているように見える。
 このことは、これまでの個人単位でのトレードが、かなりバラエティに富んでいた結果とも整合的であると思う。



※個人的に興味を持っている事柄について
 人間には事後知によりバイアスがかかる傾向がある。 それは、取引などの結果に伴い、過去の自分の行動をそれに沿うような形で説明しようとすることなどに反映される。 
  今回のレポートにおいては、皆が意見交換する事を禁じられていたため、このようなバイアスが修正されないままレポートに反映される可能性がありうる。 そのような視点で、今週のレビューに参加しようと思う。
 


 以上
Comment
≪この記事へのコメント≫
うろ覚えですが
>(どなたか、「みなし配当」ってアメリカにあるのか、あったら英語でなんていうのか、教えていただけたら助かります。。 )

私はこちらで税法をとっていないので、全く信用ならないのですが、アメリカでは日本のように会社法的な呼称で区別をせずに、会社から株主への財産返還全般を、全株主に比例的になされているか否かといったいくつかの基準によって「配当」と「譲渡」に分けていたように記憶しています。
なので、自己株買付でも特定の株主からのものは「譲渡」、全株主平等なら「配当」とか、そんな感じだったような。
もっとも、私の理解は、10年前に勉強した水野先生の「アメリカ法人税法の研究」(名著)に依存していますので、その後変わっているかも知れません。
2006/06/24(土) 01:14:46 | URL | 47th #-[ 編集]
 47thさん、コメント有難うございます!
 
 >いくつかの基準によって「配当」と「譲渡」に分けていたように記憶しています。
 なので、自己株買付でも特定の株主からのものは「譲渡」、全株主平等なら「配当」とか、そんな感じだったような。


 なるほど、勉強になります。
 ロジックの組み方が結構違っているんですね。

 (ちなみに、栄辞郎で「見なし配当」を検索したら、deemed dividendとなっていて、「例えばredeemするときは、deemed dividendがかかることがあるんだよ」と説明したので、多くの混乱を招いてしまいました^^;)
  
2006/06/24(土) 22:03:15 | URL | Taejun #-[ 編集]
ついでですけど
「みなし」という法律用語を英語にする場合には、"deemed"よりも"constructive"=「擬制」を使った方が英語的にはしっくりくる場合が多いですよ。

2006/06/24(土) 22:34:31 | URL | 47th #-[ 編集]
 おお、そうなんですね^^!
 早速明日から直します。 
2006/06/26(月) 01:26:43 | URL | Taejun #-[ 編集]
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