Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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人ノート6:チェ・ゲバラ―赤いキリスト。
  人気シリーズ(?)人ノートも、6回目になります。
 
 今回はこの人。 この絵に見覚えがある人は、少なくないはずです。

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 世界中の少なくない人々の間でiconとなっている(ゲバラTシャツを着ている人のうちの何人がこの人のことをある程度知っているかはいまだに謎です)、エルネスト・チェ・ゲバラが、今回の主人公です。 

 
 1.略歴
 2.ゲバラの社会主義思想―弱者愛
 3.清廉潔白
 4.永遠の少年
 5.結びに 

 1.略歴
 
 エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(これが本名です)は、1928年6月14日、アルゼンチンに生まれます。 チェというのは、「ねえ君」という程度の意味の言葉で、後につけられた愛称です。 だから、今の僕たちは、彼のことを、エルネスト・チェ・ゲバラ、とか、チェ・ゲバラと呼んだりするわけです。

 水嫌いの少年で、家族で海に行っても海水につかることは無かったそうです。 同時に、当時から喘息に苦しめられ、これは彼の生涯を通じての困難の一つでもあり、同時に彼の意志を強壮とする養分ともとなりました。
 
 青年ゲバラは、医師になりました。 しかし、医師としての生涯は歩まず、彼は祖国を離れ、キューバで圧制をしいていたバチスタ政権を打倒する闘争に参加します。 

 闘争に勝利した後、彼は、今も存命中の同志のカストロらとともに、政策立案者のひとりとなり、中央銀行の総裁などの職を務めます。 

 しかし、彼は、キューバにとどまりませんでした。 執政を離れ、彼は南米のボリビアでの革命闘争に参加したのです。 この行動の理由に対しては諸説ありますが、僕にはどれが本当なのかわかりません。 ただ言えることは、彼が、世界中の不正に対して強く感じる清い心を持っていたということ。 清い言葉を説く革命家たちは多くありましたが、政権の座についた後、英雄としての名誉と政権の座を自ら離れ、死を覚悟しても、他国で行われている不正と戦うためにゲリラに戻った人を、僕は彼以外に知りません。

 彼は、捕らえられ、そして、処刑されます。 1967年10月9日のことです。 燦然たる光を放ちながら駆け抜けた40年弱の生涯でした。





 2.ゲバラの社会主義思想―弱者愛

 ゲバラのことを、マルクス主義の革命家という人が少なくありませんが、僕は、それには疑問を持っています。 彼は、当時のマルクス主義革命家たちが語っていたような、眩暈のするような文句を全然使っていません。 彼の考える社会主義は、もっとシンプルだったと感じています。
  
20060824115338.jpg



 ゲバラにとっての社会主義は、彼の言葉で言えば、「人間による人間の収奪をなくすこと」でした。 これは、マルクス主義というよりは、同時代の人なら、ガンディーが社会主義について説いていた内容により近い感じがします(ガンディーはしかし、社会主義のための武力革命を断固反対しましたが)。

 ゲバラの生涯には、弱者に対する愛がちりばめられています。 たとえば彼は、「本当の革命家は、大いなる愛情に導かれている。 愛の無い本物の革命家なんて考えられない。」と話しています。  
 その裏返しとして、世界の不正に対する燃えるような憎悪がありました。 そして、そのような人々の連帯を彼は考えていたようです。 「世の中で不正が行われるたび、怒りに打ち震えるという人は、われわれの同志だ。」という言葉に、それがよく現れていると思います。

 
 


 3.清廉潔白

 行いが愛情に裏打ちされていたので、彼は、どんなときでも、不正に手を染めることはありませんでした。 むしろ、周りの同志たちに煙たがられてしまうほど、彼の清廉潔白ぶりは徹底していました。
 
 キューバ革命に参加する以前からも、その萌芽は見て取れました。 医者であった彼は、一時期、医者のアルバイトをしてお金を得ていました。 しかし、彼はすぐにそれをやめてしまいます。 なぜか。 青年ゲバラの言葉を聴いてみましょう。

 「医者は白い上着を着て、白い靴を履いて、病人から金を搾り取っている。だが、そういうことはするべきじゃないんだ。 ぼくは、いくら家庭的な事情でお金をほしいからといって、この日ごろの持論を破るわけにはいかない。 こんなアルバイトはよすよ。」



 政権の座に就き、政務を執る傍ら、人間の精神を鍛えるのに肉体労働は必要(僕も共感します)だと考えていた彼は、自発的な労働に従事していました。 

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 土日も知らず、一日に16~18時間働いていたという彼は、身なりにほとんど金を用いず、民衆と同じくキューバ政府から配給されたものだけを着て食べて生活していたそうです。 中央銀行の総裁となったときには、まず自分の給料を5000から1200に引き下げたゲバラでした。 
 


 他者を常に労わり、愛し、哀れむ人は、他者を自分に先んじさせるのだと思います。 そういう人は、質素な暮らしの中、苦労を人一倍しても(本人はそれを全く苦労とは思っていない)、幸せを覚えこそすれ、不満を抱かない。 政治をする人にとって、一番重要な資質の一つは、こういうところにあるのではないかな、と僕は思います。 







 4.永遠の少年

 革命家としての厳しい側面と、清廉潔白な側面とともに、彼の中では、多くの一見矛盾とも言えるような性質が同居していたように感じます。 まるでそれは、僕の感想でいうと、少年のような。

 日ごろ執務において真剣な議論を重ね、誠実に仕事にあたっていたゲバラは、他方で女と旅と冒険をこよなく愛しました。 文学も好きで、戦闘の日々においても常に手元にはゲーテがあったそうです。 幾度と無く大言壮語を吐くのも彼の癖でした。 

 「もしわれわれが空想家のようだと言われるのならば、救いがたい理想主義者だと言われるのならば、出来もしないことを考えていると言われるのならば、何千回でも答えよう、『その通りだ』と。」

 という彼の言葉を聞くと、「少年の夢は見ることがその義務で、青年の夢は達成することがその義務だ」という言葉が思い出されたりします。

 

 こういった矛盾以上に、僕が彼において感じる最高の矛盾は、あれほどの清い心を持ちながら、革命のために敵を殺すことにいささかの躊躇も示さなかったことです。 彼は、あるとき、平和的な手段による革命を主張した仲間に対しこう反論しました、「ピストルを持たずに革命をするなんて、君は頭がおかしいんじゃないか?」。
 
 もちろん、合理的なものの考え方をするのなら、革命が総論として正しいということが真であれば、そのために途中で敵対する人々を殺害することもありえるのでしょう。 かてて加えて、やらなければやられる状況に革命家たちは置かれているのですから。  しかし、上で示したとおり、ゲバラには、そういった合理精神ではとても説明のできない無私の精神、無上の愛が存在しているのです。 だから、やっぱり、僕には、ゲバラの殺人が、途方も無い矛盾に見えます。

 そして、その矛盾こそが、彼の魅力をよりいっそう引き立てているのではないかな、と僕は感じています。 矛盾を多くはらんだ少年が、時に人々にとって非常に魅力的に映るように。





 5.結びに

 彼は深遠な思想の人であり、大陸の他の場所での闘争にも夢をかきたてられる人であり、さらには、あまりにも愛他的であり、あまりにも無私であり、至難のことをやり遂げるために喜んで命をかける人でした。

 ゲバラの死に際し、同志カストロは、ゲバラの生涯は「意志の力、英雄的な精神、そして人間の偉大さが何をなしうるかの崇高な証」と述べました。

 本来、社会主義の理念そのものは決して悪くないのに、それを実践している人々の精神がついていけていない場合が少なくないと思います。 そして、その少なくない場合には、僕たちがよく知るように、文字通り、破滅的な悲劇が生み出されます。 のみならず、その破滅的な悲劇が人々の意識に与える悪影響も、その主張が「正義」に見えるため、反作用として、ものすごく大きい。

 だからこそ、本当に社会改革を考える人たちは、武力という手段に訴えないとしても、己の精神をまず正すべきで、そうでない限り、その理念は達成されることは無いのだと思います。 そういう人々にとって、ゲバラの生涯は、何にも代えがたい貴重な手本となるのではないでしょうか。

 最後に、ゲバラの言葉の中で、僕が一番好きなものを引用して、人ノート第6回、「チェ・ゲバラ、赤いキリスト」を終えようと思います。 ゲバラが死の前に、わが子に対し送った手紙の一節です。

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 「世界のどこかで何か不正が犯されたならば、いつでも強く感ずるようになりなさい。それが革命家の最上の特質なのです。」



Comment
≪この記事へのコメント≫
おひさしぶりです。
うーん、カッコイイ。生き様がカッコ良すぎる。
革命前の半生を描いた映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」は観ましたか?

バイクで旅するゲバラ。やっぱカッコイイ。
2006/08/27(日) 11:22:39 | URL | ジョナサン #-[ 編集]
うん・・・
ゲバラのような無私で公僕たらんとする
人でなければ、奇麗事は達成できないという
事なのでしょう。
昔の日本人には、無私で公僕たらんとする
教育が行き届いていたものです。

いい日記 有難う御座います
2006/08/28(月) 00:06:41 | URL | I-RIAS #-[ 編集]
 おお、ジョナサン、お久しぶり。
 そうそう、その映画、まだ見てないのです。
 いつも見よう見ようと思いながら。 今度TSUTAYAに行ってみるよ。
 


 I-RIASさん、どうもありがとうございます。
 おっしゃるとおり、昔の日本では今以上に人が自分ひとりだけでなく、他人のためにも何かしようという共同体意識がとても強かったと感じています。 地政学的要因もあるのでしょうね。 これからもよろしくお願いします。
2006/08/28(月) 17:46:22 | URL | Taejun #-[ 編集]
ご無沙汰です。
いつも勉強に在るエントリ感謝です。
彼が医者だったことすら知りませんでした。
(教養な!)
彼の国にあっては医者という枠に収まり
きらない人物であり、また時代だった
ということなのでしょうね。

トラバ打たせていただきます。
2006/09/01(金) 15:19:24 | URL | taka #-[ 編集]
takaさん、お久しぶりです。
コメント有難うございます。 トラックバック、、何か来ていない様な・・・ ^^;

ヤツの成長日記(と写真に対するtakaさんのコメント)いつも楽しみに見ています。 藤本さんとのセミナー、頑張ってくださいね!
2006/09/02(土) 12:57:33 | URL | Taejun #-[ 編集]
魅力ってのは何より力だ。人は魅力あるものに、重力みたいに引き憑けられてしまう。
‘青春の幻想の後には壮年の失望がやって来る’と誰かが言ったが、エルネストみたく青春を生涯終わらせないやり方もあるみたいだ。
稀有な清廉さ、比類なき勇敢さ、異国の司令官殿に僕は泣いてしまう。
2006/10/12(木) 14:34:46 | URL | ことり。 #Si2BarZE[ 編集]
ことりさん、お返事おくれてごめんなさい。
本当に清廉潔白でかっこいい人ですよね。 こんな人間になりたい。。
2006/10/15(日) 23:51:37 | URL | Taejun #-[ 編集]
ジョン=レノンが世界一カッコ良い男と評したのも頷けます。
名優は名優を知ると言ったとこでしょうか。今の日本の自己中の欲ボケ
政治家や財界人そして官僚にゲバラの爪のあかを飲ましてやりたい。
2009/08/24(月) 00:05:01 | URL | 名無し #-[ 編集]
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