Taejunomics

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伊藤清教授、ガウス賞受賞。
 夜に運動すると決めてしまうと、なかなか時間が不安定になってしまうので、最近は昼休みに近くの区民プールで泳ぐのが多くなっています。 
  
 昼間に1kmくらいかっちりと泳ぐと、2~3時ごろに猛烈な眠気に襲われるのですが、なかなかすっきりしていい感じです。


 さて、閑話休題、伊藤のレンマで(ファイナンスをする人の間では少なくとも)有名な伊藤清教授が、ガウス賞を受賞されましたね。 その伊藤のレンマについて、少しだけ紹介を。
 テーラー展開と言うものを用いると、例えば、z=f(q、y)という関数において、qとyが変化したときにzがどれくらい変化したのかを近似することが出来ます。

 テーラー展開のやり方は簡単で、

 zの変化量=fをqで一階偏微分したもの×qの変化量+1÷2!×fをqで二階偏微分したもの×qの変化量の二乗+・・・
   +fをyで一階偏微分したもの×yの変化量+1÷2!×fをyで二階偏微分したもの×yの変化量の二乗+・・・


 ああ、簡単なはずなのに、ワープロの限界です。。。



 なんにせよ、まあ、上のようにして、近似できるわけです。

 上の例でqとyの変化がとても少ない場合は、qとyの変化量の二乗はとても小さな数になるので無視できるようになります。 だから、普通の微分においては、

 zの変化量=fに対するqの偏微分×qの変化量+fに対するyの偏微分×yの変化量

 で表され、これが全微分と呼ばれるものだったりします。

 
 しかし、ここで問題が生じるのです。
 関数が普通の関数ならいいのですが、この関数が確率変数に対する関数の場合、困ったことが起こってしまうのです。

 確率変数の場合、ランダムな部分が存在していて、そのランダムな部分は、標準偏差やε(例えば―1から+1の間をランダムに取る変数)で表されます。

 この場合、全体の変化量は、

 変化量=傾向×試行回数(もしくは時間)の変化量+ランダムな部分×√試行回数の変化量

 となります。 
 

 すると、ランダムな部分のみの変化は、

 変化量=ランダムな部分×√試行回数の変化量

 なので、試行回数の変化量を二乗すると、ルートがとれただけの形になってしまいます。


 さっきのテーラー展開→全微分のロジックは、「変化量が少ないものは二乗したらめちゃめちゃ小さくなるので無視できる」というものだったので、二乗したら無茶無茶小さくなるのではなく、むしろ大きくなる部分が存在する確率変数の関数においては、ランダムな部分に関しては他の考慮の仕方をしないといけません。


 その場合の、変化量をどう考えるべきか、について考えを示したのが伊藤先生でした。

 そのロジックは本質においては簡単です:

 「変化量は、テーラー展開で近似しなさい。 変化量が微小である場合、その二乗以上の数字は、ランダムな部分に関連した二乗を除いては無視しなさい。」


 このロジックは、不確かなものを扱うファイナンス研究者にとってとても重要なものだったのですね。 伊藤のレンマは、ブラック・ショーずるモデルを初めとして、様々な場面で用いられてきています。
 
 ですから、この受賞は、ファイナンス研究者の間では当然と言われていたりします。 それくらいの発見だったのですよね。


 それにしても、、学問の受賞はなんでこんなに遅いのでしょうね。 何とかならないものでしょうか。



 

ガウス賞に京大名誉教授の伊藤清氏・国際数学連合
 世界の数学者が組織する国際数学連合は22日、数学の応用で画期的な業績を挙げた数学者を表彰する世界最高の賞「ガウス賞」の第一回受賞者に、金融工学の発展に貢献した伊藤清・京都大学名誉教授(90)を選んだと発表した。スペイン・マドリードで開催中の国際数学者会議で決めた。

 同賞の選考は今回が初めて。伊藤名誉教授は1942年に、偶然が左右する不規則な現象を分析する「確率微分方程式」を考案。当初は自然や社会現象を説明する物理学や生物学に応用されたが、80年代以降は金融工学分野で注目された。

 伊藤名誉教授の成果はロバート・マートン米ハーバード大学教授らが金融派生商品(デリバティブ)の理論構築に応用、これにより、マートン教授らは97年にノーベル経済学賞を受賞した。このため、伊藤名誉教授は「米ウォール街で最も有名な日本人」といわれた。

 受賞にあたり、伊藤名誉教授は「仲間はもちろん、私の想像を超えた領域にまで確率解析の成果を応用された方々とも、名誉と喜びを分かち合いたい」とのコメントを発表した。

 伊藤清氏(いとう・きよし)
 1915年三重県生まれ。38年東京帝国大学卒、内閣統計局統計官、名古屋帝国大学助教授を経て、52年から79年まで京都大学教授、79年から85年まで学習院大学教授などを歴任。2003年文化功労者。90歳。 (02:16)




 
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