Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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良い医者が探せるようになったら・・・
 全くの門外漢なのですが、感じた事を。

 本当に、良いお医者さんを探すのは難しい。 やぶ医者、という言葉を知らない人間がいない、ということからも、その難しさが見て取れると思います。

 問題の所在の一つとして考えられるのが、情報の非対称性です。 これを生ぜしめうる理由としてぱっと思いつくのが:

 ・医療情報の高度の専門性(患者には医者が何を言っているのかわからないので、良い医者なのかわからない)

 ・医療界の腐敗(「ブラックジャックによろしく」に書かれている内容は基本的に事実だそうです)

 ・情報需要の非日常性(多くの人は、病気になってから医者を探し始める)

 あたりかな、と感じています。


 周りに良い知り合いがいない限り、上質の情報を得られるようになるためには、患者会や市民団体の手助けを受けるくらいしかなさそうなのが現状です。 WEB2.0が取りざたされる昨今、各分野で「大衆の叡智」が叫ばれ、自然と劣悪なプレーヤーは排除されるとされていますが、医療においてはそうもうまく行きそうにありません(まず第一に、例えば「信頼できる医療情報サイト」を作ったりしたら、圧力がものすごそう)。
 
 と、いつもは、ここら辺までで、個人的な空想が終わっていたのですが、もし、医療情報に関して情報の非対称性がなくなったどうなるのかな、と空想してみました。


 



 ・・・引き続き、問題が多く生じていきそうです。 そして、それからえられるインプリケーションは大きそうですね。



 さて、皆さんが、いわゆる「良い医者」に対して、信頼できる情報を手に入れられるようになったとします。 

 あなたは、軽いかぜなら、大して良い医者でなくても、近くの病院へ行き、薬をもらったり注射してもらったりして終わりかもしれません。

 しかし、大きな病気、となると、そうも行きませんよね。。 医療費はほとんど同じなのだから、是が非でも、良いお医者さんのところに行こうとする事でしょう。

 
 そうすると、どうなるか。

 良いお医者さんは、全ての希望患者を受け入れられなくなります。

 それでも、患者とその家族はまず引こうとしませんよね。 命がかかっていたら、どこまでも引き下がると思います。 (ここらへんは、効用関数の議論とからめて考えると、色々と発見がありそうです。) 


 どうなるでしょうか。


 経済のロジックで言うのなら、真っ先に考え付くのは、医療費の自由化と、それにともなう、良い医者の医療費の高騰。 多くの場合、情報の非対称性の解消は、価格メカニズムがより正常に動くように働くものです。

 「医は仁術」といった中国三国時代の名医、華陀の言葉からもわかるように、医療は古来より公共的な性質をもってきました。 全ての患者に等しく医療を受けさせるというのは、先進国においては、重要な社会基盤の一つです。

 けれど、現在、医療における一定程度の安定の理由の一つは、現状のような情報の非対称性にあって、それを取り払い、患者皆が質の良い情報を容易に入手できる社会になると(もちろん、それは望むべき社会だと僕は思いますが)思いもよらないパンドラの箱を開けることになるのではないかな、とふと考えていました。

 うーん、難しいですね。 医療の将来を考える人々は、すでにこのようなことは考えているはずなので、それらについてどのような議論がされているのか、とても気になるところです。



 ちなみに、ブログを通じて知り合ったtakaさんは、ヘルス・コミュニケーションという分野を研究されていて、その記事はとても勉強になります。 (お子さんの写真もめちゃかわいいです。) 是非ご覧ください。

 ヘルス・コミュニケーション日記


Comment
≪この記事へのコメント≫
ご紹介いただき恐縮です。
医療経済や管理は専門というわけでは
ありませんが、理解している範囲で。

>思いもよらないパンドラの箱を開けることに
>なるのではないかな

そうかもしれません。
どんな業界でも、自身の無い人・能力の無い人
にとって「正当に評価される」ことほど
恐ろしいものはないですから。

しかしそもそも、医師や医療職の免許更新制度
が無いこと自体がおかしいわけで、免許更新
によって質を担保するか、上記のような
評価機能を組み込むしかないのだと思います。
(自分がもし医者なら、そういった担保無く
現場に放り出されて、いい加減な技術のまま、
失敗して訴訟に巻き込まれたりするのは
嫌ですが、現役のお医者さんたちは
どうなんでしょうね)。

日本では日米の医療保険制度が比較されて
議論されることが多いですが、
ある程度の低コストで平等性・フリーアクセス
を認めるか(日本)、
ほぼ自由競争にして市場原理が機能することを
期待するか(米国)、
という構図だと思います。

前者はその代わり、「良い医者にだけかかり
たい」という望みを実現するのが難しく
なり、後者は貧乏人と情報を集められない
奴は死ね(もしくは病気になるな)、という
論理に(極論すると)なります。

日本は戦後の動乱期から一定の水準を
目指して皆保険制度が導入され成功しました
が、現状ではニーズの高まりに対応できて
いない気がします。一方で米国の医療制度
は多くの批判と非難を内包しつつ
多様性によってなんとか現状を維持して
いますが、多くの問題を抱えたままです。

米国に住んだ実感からは、日本の医療制度や
医療の質は素晴らしいな、と思うのですが、
医者側のコミュニケーションの問題や
メディアの影響でそれが見えなくなっている
ようにも思います。

まとまりませんが、勉強になるので
自分でもエントリ考えて見ます。
2006/10/06(金) 00:25:26 | URL | taka #-[ 編集]
takaさん、コメントともそうですが、本当にお世話になります。 ありがとうございます。

仰るとおり、市場メカニズムの導入は、経済の論理から言えばただしいのですが、それが医療のような公共性が高くあるべきと思われる分野において惹起させる悪影響は、かなり大きいのですよね。 ちゃんと制度設計全般を考えないと、大変な事になるようです。

takaさんのブログにもお邪魔させていただきますね。
2006/10/06(金) 11:37:47 | URL | Taejun #-[ 編集]
まとまりませんが、ぱっと思いつくままに
書かせて頂こうと思います。

① 国民全体を啓蒙する
これはインターネットを利用して
巨大で分かりやすいデータベースを構築すれば、
そう難しい話では無いと思います。
現実に、ネットで調べ倒してから
来院する患者は驚くほど多いようです。
ただ、一番の問題点は、
本当に最悪の社会環境にいる人々は
こんなことはまずしないということでしょう。
(大阪でいえば西成のあいりん地区など)
そして、taejunさんは『パンドラの箱』と
表現されていますが、
能力の無い医師が淘汰されることに関しては
ごく当然の現象であると思います。
ただ、彼らが地方へ流れていくことで
ますます都会との医療格差が広がってしまうという
恐れもありますが。

② 適正な医師評価システムを構築する
得てして、医療界では
能力と報酬の不一致が起こりうります。
非常にミクロな例でいえば、
良い医者は、風邪で発熱している患者に
解熱剤を処方したりはしないと思いますし、
マクロな観点でいえば
大学病院の一部の優秀な医師たちとなるでしょう。
このシステムが出来上がらない限り、
聖職であると意識している医師以外の
モチベーションを高く保つのは
困難であると思います。
まあ、かといって成果主義を完全に
浸透させてしまうのが正しいのかと言えば
そこには公共性の問題があるわけで。。

③ 診療報酬システムを改良する
これは②にも通じますが、
熟練の有無を問わず、画一的に
ポイントで管理するというのは
明らかに不平等です。
その結果、自由診療を基盤とする美容整形などの
領域だけが儲かる仕組みになっています。

結局のところ、公共性を保ちつつ、
ある程度市場原理を導入するのが
最も望ましい形だと考えられますが、
これら2事象がトレードオフ関係にあることは
否めません。
現場の医師は『聖職』と割り切って
ただ病気を治すためだけに一生懸命仕事をし、
またその一方で
抜本的なより良い制度改革を政治家や官僚が
主導となって行う。
これ以外に解決策は無いと思います。

最後に一つだけ。
日本の医療は本当に素晴らしい。
特定疾患に対する医療補助などを見ても
それだけは確かです。
ただ、もっともっと良くすべきです。
完璧を目指すのが医療の使命であると思います。
(現場への道を放棄しておいてなんですが・・)




2006/10/07(土) 18:17:49 | URL | ナルカワ #-[ 編集]
 ナルカワ君、参考になるコメント、どうも有難う。
 君の言うとおり、市場原理と公共性のバランスをどうとるか、と言うのはとても難しいと思います。 福祉国家が標榜されて以来、ずっと政府が取り組んできた問題でもあるのですが、いまだに解は求められていなくて、それが端的に表されているのが、日本の医療環境なのでしょうね。


 、、、と、僕は医療の世界を抜ける君よりもっと何も知らない身分で書きなぐっていたので、コメントとても参考になりました。 有難うございます。

 
 
 
 
2006/10/09(月) 13:51:58 | URL | Taejun #-[ 編集]
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いつも勉強させてもらっているTaujunomicsさんが良い医者が探せるようになったら・・・、というエントリを組まれていたので、自分も思うまま考えて見ます。今はテレビドラマやビデオゲームなど、物語系のマス
2006/10/06(金) 00:50:30 | ヘルス・コミュニケーション日記
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