Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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教科書では教えてくれないレバレッジ。
 事業体単体でかけられるレバレッジは、75%くらいが一般的な限界です。 だから、「レバレッジは75%くらいまでしかかけられない」、とよく言われます。 ですが、ストラクチャーを組めば、かなり高いレバレッジをきかせることも可能なのですよね。

 以下、説明も込みでエントリーです。
 わかっている方は、3から読んでしまってください。
 レバレッジについて初めて読む方には、3は難しいかもしれません(説明を省いています)。


1.レバレッジって?
2.レバレッジの効用―資本効率とタックスシールド
3.ストラクチャード・レバレッジ(仮称)
1.レバレッジって?

 レバレッジは、てこ、の英語です。

 ファイナンスでレバレッジというと、自己資本と借入金をあわせて、ものを買ったりする事を意味します。

 例を挙げましょう。

 ある物件Qの価格は100億円。
 一年後、これが120億円になることがわかっています。
 借入の利子率は10%です。

 ここで、買い入れを、自分のおかねだけで買わず、借入をして、購入する事を、「レバレッジをかける」といいます。




2.レバレッジの効用―資本効率とタックスシールド

 さて、ここで、
 1)自己のお金だけで物件を買う場合と、
 2)買い入れ資金の半分を借入でまかなった場合
 を考えて見ましょう。


 1)自己資金のみの場合

 自己のお金だけで物件を買うと、

 100→120億なのですから、

 リターンは、100/120=120%(ネットで20%)

 となります。

 キャピタルゲインに対する税率が40%とすると、利益の20に法人税が8かかるので、税引後手元に残るのは、112億円。

 よって、100/112=112%(ネットで12%)が、実質的なリターンとなります。



 2)50%を借入した場合
  
 50億円を借り入れ、残りを自分のお金で、物件を買ったとします。 すると、一年後は、

 100億円の資産が120億円に
 50億円の利子(10%)である、5億円を支払う
 50億円を返済する

 とすると、リターンは、

 (120-5-50)/50=130%(ネットで30%)

 となり、リターンが増しています。 これは、物件から得られるリターンの%が、借入に対する利子の%よりも高いからです。

 
 また、利払いは、損金に参入される(=費用として落とせて、税金の対象となる金額が小さくなる)ので、税金は、

 (120-100-5)×40%=6

 となり、さっきの8よりも、2だけ下がっています。 これを、interest tax shieldと呼ばれます。 

 すると、税引後の利益リターンは、

 (120-5-50-6)/50=118%(ネットで18%) 

 となり、さっきよりもやはり上がっています。 


 このように、して、借入により、全般的な資本効率があがっている、これはあたかも、テコを用いて、小さな力で大きなものを持ち上げるのに似ているので、レバレッジと呼ぶようになったのです。



3.ストラクチャード・レバレッジ(仮称)

 じゃあ、レバレッジをかけるほどいいのかというと、必ずしもそうではありません。 利子不払いによる倒産のリスクが高くなるためです。
 貸し手側も、その倒産リスクを考慮して、普通75%くらいまでしか資金を貸してくれません。

 だから、75%が限界、と言われているのですが、ところがどっこい。 ストラクチャーを組むと、もっと高いレバレッジをきかせることが出来ます。
 
 例えば、海外にファンドを置いて、そのファンドから日本の子会社であるSPCに資金を送っている場合。 両方が、75%でレバレッジをかけると考えて見ましょう。 すると、


 ファンドレベル

 SPCに送金する100の資金のうち、
 ・25は自己の資金(投資家からの資金)
 ・75は借入


 SPCレベル

 そして、その100がSPCに流れ込みSPCでも、
 ・100はファンドからの資金
 ・300は借入

 
 とすると、そのファンドへの投資家からすると、25の資金に対して375を借入で賄うという、すごいレバレッジをきかせられることになります。 93.75%のレバレッジ。
 このレバレッジをきかせて、現在400億円で、480億円になる物件を購入するとします。 このとき

 ファンドに返る金
 480-30(SPCの払い)-300(元本返済)=150億円

 ファンドの投資家に返る金
 150-7.5-75=67.5億円

 で、自己資金がもともと25億円だったことを考えると、

 リターンは67.5%/25=270%(ネットで170%)
 

 ファンドレベルの支払いの責任とSPCレベルの支払いの責任が分離している、もしくは、ファンドレベルで投資をすれば分散がきくので貸し手としてはリスクは少ないから貸せるといった事情があるのでしょうが、細かいことはよくわかりません。 ただ、そのようなファイナンスの方法があることだけは事実のようです。

 
 
 と、まあ、教科書では教えてくれないレバレッジのお話でした。
Comment
≪この記事へのコメント≫
てじゅんさん
上記の場合だと、SPCがこけた場合の弁済順位としては、
1.SPCのLender
2.ファンドのLender
3.ファンドの出資者
の順になり、実質上ファンドへのLenderはメザニン・ファイナンスをやっているのと同じことになりますね。

昔あるBuyout案件をやっていたときに、SPCを2つ使って同じことをやろうとしたことがありました。すなわち、SPC1がファンドに当たり、SPC2がSPCに当たります。で、ファンドからはSPC1に純粋に25億出すだけ。

実務上はファンドが直接借入を起こすより、上記の形の方が多いでしょう。なぜなら万一SPCがこけた場合、
・ファンドの他のポートフォリオの潜在的リターン(投資資産など)も債権者に持って行かれてしまう
・GP(運用主体)が債務の無限責任を負ってしまう

という2つの理由からです。

頑張ってくださいね!

p.s. 昔PEに居たとき、従業員もCo-investment出来たのですが、その時投資金額の2/3までは会社保証でローンを借りられるというプログラムがありました。考えてみたらLBOの段階でレバレッジを掛け、さらに個人で投資をする際にレバレッジが効く形となるので1:13とかものすごくレバーが効いた投資になっていました。しかも利率は長プラ+α。とてもおいしい話でした。…でも失敗すると一生会社の奴隷ですけどね。
2006/10/21(土) 19:19:16 | URL | Hiro #-[ 編集]
Hiroさん、こっちも見てくれていたんですね!

説明有難うございます。 仰るとおり、SPCを使っている場合が多くて(ファンドレベルのレバレッジはブリッジでしかかけない場合が多い)、なんでだろう?と思っていたのですが、その理由がわかりました。 ありがとうございます。

自己出資、、結構きいたことがありますが、僕には怖くて出来ないっぽいですね・・・

これからもよろしくお願いします!  
2006/10/22(日) 12:24:42 | URL | Taejun #-[ 編集]
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