Taejunomics

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SPCの資本コストの推定。
 「SPCの資本コストはどうやって推定するのでしょうか?」

 「うーん、ちょっと普通の会社と違うから難しいですね。 授業でやっていないことに対する質問はちょっと。」 (『ええっと、この授業科目名はバリュエーションじゃないですか・・・』、と心の叫び。)
 
 しょうがないので、自分で考えてみます。 (SPCと資本コストについての用語解説は、下に書いてあります)
 
 SPCのバリュエーションをする必要があるのか、というと、別にSPCを買収したりすることもなさそうなので普通は必要ないかもしれません。 ただ、僕が将来投資活動をする時に、自らの保有するSPCの株式の価値がどんなものかを知ることは必要だと思うのですよね。


 さて、資本コスト、もっと正確に言うと、加重平均資本コスト(WACC, Weighted Average Cost of Capital)を出すために知らないといけないものは:

 ①資本構成(資本と負債の比率)
 ②資本のコスト
 ③負債のコスト
 ④限界税率


 です。 市場で株式が取引されていないSPCについて、①と②はなかなかの難問です。 といっても、資本コストの推定は事業会社でやる時でもなかなか難問なことが多いのですけどね。 (ここら辺は鈴木一功さんの「企業価値評価」に書いてあります。)

 
 個人的に、これでいけるのかなぁ、と感じているのは、

 

0)資本構成は時価ベースで行うが、そのとき、資本と負債の価値は収益率の分成長する前提
 1)似たような性質のSPCの収益率について比較対象を探す
 2)それをもとに、当該SPCのWACCを推定する
 3)既知の負債コストと限界税率をもとに、株式コストを推定する



 0)の前提により、未知数は株式コストのみとなるので、計算すれば株式コストを求められますし、同時に資本構成も導かれます。


 これですんなりと行けばいいのですが、ところがどっこい、0)の前提は、一般的な感覚に大きく反するものなのですよね。

 エクイティ100、デット100で資金調達をした場合において、上の計算をして、エクイティのコストが20%、デットのコストが5%となったとしましょう。 一年目の資本構成は、当然ながら

 エクイティ50%、デット50%となります。 エクイティとデットがその総額(100+100)に占める割合なので、こうなりますよね。

 それでは、これから5年が経過したらどうなるのでしょう。 その資本コスト分デットとエクイティの時価が上昇すると前提を置いているので、もし配当が無いのなら、

 エクイティの価値=249(100×1.2の五乗)
 デットの価値  =128(100×1.05の5乗)


 となり、比率は、エクイティ66%、デット34%となっています。 相当な乖離が生じてしまうのですよね。 特に、資本コストが高い場合には、デットのコストが一定とすると、その乖離は結構大きくなります。 多くの場合、エクイティの資本コストが高いため、エクイティの比率が高まり、WACCは上昇、事業価値が下がってしまいます。

 それでも、0)の前提を置かないと、それはそれで問題がありそうです。 ずっと資本構成が一定と考えられるとは思えないのですよね。

 
 うーん、難しい。
 
 どなたか、いいアイディアある方、教えていただけると幸いです。

 

 
(用語解説)--------

 まず、SPCというのは、Special Purpose Company(だったはず)の略で、日本では特定目的会社と訳されることが多いようです。 SPV(Special Purpose Vehicle)もまったく同じ意味で用いられます。 投資や資金調達をする際に器として作る(多くの場合ペーパー)会社だと思ってください。

 資本コスト、というのは、その事業体が資金を調達する時に要求される収益率です。 平たく言うと、お金を出してくれる人に年に何%上乗せして返さないといけないのか、ということに対する答えが資本コストです。
 将来キャッシュフローを資本コストで割り引いて、その事業の価値を求めるので、この推定はバリュエーションにおいて最も大切なことの一つです。


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Comment
≪この記事へのコメント≫
てじゅんさん、お久しぶりです。

この場合、SPCへの資金投入はDebt/Equityとも最初の次点で行われているので、1:1のD/EレシオをベースにDebt PaydownによるD/Eレシオの変化を純粋に負っていけばいいと思います。資本コスト・負債コストはあくまで資金の出し手の期待値でしかないので、実際のD/Eレシオには影響を及ぼしません。すなわち、それぞれの(期待)収益率に応じて成長させる必要はないのです。
(Valuationの本では、資本構成を用いる際、Equityについては時価総額ベースで算出するよう書いていますが、それは上場企業の場合、常に株主が入れ替わり、「毎日のように株主が時価でその会社に対して(再)投資を行っている」ように見なされることをベースにしているからです。ジョイントベンチャーなど、新規事業のValuationをする場合は、(発行価格を変えた追加投資がない限り)Equityの価値は当初の簿価で算出して資本構成を決定します)

その上で各年のWACC(Debt PaydownによりD/Eレシオが毎年変化するので)を求め、それを当該年度の割引率にすればいいと思います。


ちなみに…
この場合はAVP方を用いるのがよいかと思います。
(詳細はValuationの本第8章172ページにあります)

直接の引用は避けますが、
1)まず、レバレッジを掛けていない場合(100%エクイティー)の場合を想定し、資本コストで割り引いて企業価値を算定する
2)次に必要資金を一部借入で調達した場合の各年の節税効果を資本コストで割り引いてその永続的価値を算定する
3)1)の結果-2)の結果=対象企業の企業価値

このような例は、SPCのように各期毎にD/Eレシオが大きく変化する場合に、企業価値を簡便に求める手段として用いられているということです。
(私も実務で使ったことはないのですが、コンセプトとしては分かります。各期のWACCをD/Eレシオに応じて変化させるのと同じですが…)

そうすると後の問題は資本コストになります。
これはSPCレベルではでてこないと思いますが、同種のSPCを多く抱えているファンドの利回り(IRR)の平均でいいのではないでしょうか?対象となるアセットクラスが異ならなければよいと思います(ただし、ファンドのIRRはVintageによって相当異なるので長期に渡って取った方がいいでしょう)
対象が不動産であれば、上場しているREITの価格上昇率と配当額から、平均利回りを出すこともできると思います(このあたりは言わずもがな…ですよね)

ただ、個人的には会計上のキャッシュフロー(すなわち利払い後・税引き後)を単純に資本コストで割り引いていった方がいいのではないかと思います。SPCに限らず、金融業など一般の事業会社以外のケースでは、営業利益の範囲がグレーなので。
2006/11/26(日) 03:20:24 | URL | Hiro #-[ 編集]
 お久しぶりです! ご多忙の中、とても貴重なコメント、ありがとうございました。

 やっぱり、額面ベースで比率を見るのがいいのですかね。。 時価評価で比率を見るのが望ましい、と思っていたので、無理にでも時価を推定した方がいいものだと思っていました。
 
 確かに、考えてみると、加重平均資本コストの根本的な考え方は、「投資する人の要求する収益率の加重平均」なのだから、SPCの場合は、そうした方が良さそうですよね。

 APVをやっても仰るとおり本質的には同じですが視覚(感覚?)としてすっと入ってきそうですね。 本は今オフィスのデスクにあるので、明日読んでみます。

 
 そして、やっぱり、compsが少ないと大変ですよね。。 同じファンドであっても、案件ごとにリスクのばらつきがあるのは事実なので、それをどうやって解消するか、悩ましいところです。 比較可能性が低い場合、プロジェクト立ち上げ時の保守的な目標IRRを株式コストとするのが一番いい感じもするのですが、それはかなり主観が入るし…
 アートの世界ですね^^;

 
 これからもよろしくお願いします!

 P.S.ムギさんと同じ授業をとっています。 人の縁って不思議ですね。
2006/11/26(日) 23:17:44 | URL | Taejun #-[ 編集]
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