Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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ファイナンス理論からの10のメッセージ1:ファイナンス理論で出来ること、出来ないこと
 ファイナンス理論からの10のメッセージ第一弾です。 
 ファイナンス理論で出来ること、出来ないこと。 今後の連載のまとめ的な位置づけになります。


 1.出来ないこと-打出の小槌なんてない
 2.出来ること-より賢い生き方が出来るようになる
 1.出来ないこと-打出の小槌なんてない
 便宜上、まずは、出来ないことから書いていくことにしましょう。
 よく僕が耳にする「出来ること」についての誤解たちは、究極的に言うと、

 『ファイナンス理論でずっと楽してお金儲けが出来る!』

 ということに集約できると思います。 株価を予測できるとか、何か秘密の投資方法があるかとか、そういったお話ですね。 雑誌やTVでは、毎日のように「勝てる銘柄」についてのニュースが流れています。
 
 さて、上のこと、本当に可能でしょうか?
 ファイナンス理論的とかそういった難しそうなことは考えないでいいのです。 皆さんの一般常識で考えてみてください。

 僕たちは、感覚的に、さらには経験的に、「世の中にそううまい話は無い」ということを知っています。 うまい話があるのなら、それには何か理由があるのだ、ということも知っています。
 そうです。 その一般感覚が正しいのです。 ファイナンス理論だけが例外のはずがありません。
 ファイナンス理論で楽してお金儲けなんて出来ません。 後に第8回の効率的市場仮説のところでもっと詳しく書きますが、もともと予測できるようなものがあるとしたら、それはすでに価格に反映されているのです。 もちろん、あなただけが秘密の情報を持っているとかいう場合、話は変わってきますが。


 人は、これまでにも錬金術や永久機関など、「打出の小槌」的なものを求めて長い間研究をしてきました。 が、その研究の結果は、皆さんが知っている通り。 そんなものは存在しなかったわけです。 
 ですが、その研究過程に得られた知識は果てしなく多いんですね。 錬金術の研究は化学を、永久機関を求めるための研究は工学を飛躍的に発展させました。 (オタクトークで恐縮なのですが、「鋼の錬金術師」という漫画でも「等価交換」という概念のもとに似たような話がされています) 
 錬金術に対する化学の結論、「金以外の物質の組み合わせで金は作れない」という考え方は、ファイナンス理論におけるMM命題と類似していると僕は思います。 これは第九回でもっと詳しく書いていこうと思います。  また、こういった「うまい話はないだろう」という前提から、無裁定価格理論がスタートしています。 そのエッセンスは、第七回で話すことにします。 第十回も、基本はここから始まります。
 

 ファイナンス理論も、「理論で金儲けしよう!」といった類の動機から始まりました。 数学者、統計学者や医学者など、さまざまなバックグラウンドを持った人々が、お金儲けや能力証明のためにこの分野に参入して研究を始めたんですね(もちろん、純粋に面白いから、という人もいたはずです)。 そして、その努力は今も続いています。 錬金術や永久機関と違って、現在進行形なのでとてもエキサイティングです。 これから当分の間、新しい理論が出てはまた消えていきながら、理論体系が全体として発展していくことでしょう。
 
 ただ、結論は、変わりそうにありません。

 理論を学んだからといって、永続的に一人勝ちすることは、出来ません。
 


 ※最近はダイアモンドを作れるようになったそうですね。 まだ天然のものより美しくないのですが、今後すごい脅威になるだろうと、宝石業界の友人が話していました。




 
 2.出来ること-より賢い生き方が出来るようになる

 じゃあ、ファイナンス理論を学ぶことに意味はないのか? そんなことはありません。

 ざっくりと考えても、最低3つは、いいことがあります: 

 ・何が出来ないかを知ることが出来る
 ・リスクについて考えられるようになること
 ・生じうる事態の幅を考えられるようになる


 ・何が出来ないかを知ることが出来る
 僕は、学問の最高の役割の一つというのは、「ものの限りを知ること」にあると思うんですよね。
 限りを知るだけでもすばらしいことなのだと思います。 このおかげで、僕たちは、雑誌に載っている「勝てる銘柄」にだまされずに済むわけです。 高いリターンを約束する投資への勧誘なんかについても、「これ怪しい」と考えられるようになるわけです。 たとえば、ファイナンス理論を本質的に分かっていたら、近未来通信への投資勧誘なんかには相当用心深くなるはずです。

 さらに進めると、世の中における「出来ないこと」について、リスクとリターンというフレームワークを使って、ある種の勘がついてくるようになります。 政治家や組織や団体などが公約を掲げたとしても、それが本当に出来ることかどうか、見当がつくようになります。  



 ・リスクについて考えられるようになること
 ファイナンスの理論の基本概念はリスクとリターンです。
 このうち、リターンについては、一般感覚でわかるでしょう。 「この家を1億円で買ったら、毎年1000万円ずつ収入を得られる」という風に。 この時のリターンは、年率10%ですよね。

 けれど、リスク、というと、そうでもない。 これは第二回でもっと詳しく述べますが、リスクというのは「将来のリターンがぶれる度合い」のことです。 同じ100万円を得られるとしても、①確実に100万円得られる場合と、②50%の確率で0円、50%の確率で200万円得られる場合では、全然違うわけですね。 ②の方が、リスクが大きいのです。

 ファイナンス理論を学んでいると、リスクがどのようなものか、ということについて頭を回せるようになります。 そして、リスクはどのようにして、どれくらいまで抑えられるのか、そのリスクはものの価格にどのように影響するのか、考えられるようになります。 リスクの分散については第四回で、リスクと価格の関係については、特に第6回でクローズアップされます。

 世の中に常にリスクがあるとすれば、「今、自分の手元にあること」の重要性が理解できることでしょう。 健康、恋人、お金、などなど。 多くの場合、現在手元にあるものの方が、将来手に入るであろうものよりは貴重なわけです。 こういったことは、第3回で話されることになります。

 
  
 ・生じうる事態の幅を考えられるようになる
 たとえば、八百屋で大根を買う時、僕たちは、大体の大根の相場を知っています。 季節と大きさや作物の出来具合によって違いますが、大体100円~300円もあれば大根一本を買うことが出来るでしょう。 もし、普通の大根(普通の大根の定義はおいておいて)が、1000円で売っていても、僕たちはそんなものを買わないはずです。 

 このことは何を意味しているか。 それは、僕たちは、大根の値段については、あり得る価格の範囲を分かっているということです。 そして、その範囲に対する理解に基づいて、ありえない行動を取らないで済むわけです。 これがどれくらい重要なことか、物価の感覚が全然違う外国で買い物をしたことがある人なら身をもって分かると思います。 

 リスクとリターンの関係としてのファイナンス理論を知っていると、この価格の幅についても考えられるようになります。 もっというと、「上位1%の良いときにはどうなって、下位1%の悪い時にはどうなるか」といったことを考えられるようになります。 そして、結果として、ありえない投資をしないで済むのですよね。 逆に、やけに安いものを見つけ出して、それを買ってしまう事も、価格帯を知っていればこそ出来ることなのです。 これは、今流行の買収ファンドがやっていることの基本でもあります。
 
 リスクとリターンの関係から、「ありえる幅」を見出すということは、常に選択を迫られている僕たちにとっては、とても貴重なものの考え方なのだと思います。 普段の買い物はもとより、人生設計にいたるまで。


 
 こうやって書いてみると、ファイナンス理論のエッセンスを知っていることは、賢く生きることにつながるのだと思えてきます。 そう感じるからこそ、僕はこの学問に魅力を感じているし、ブログを通じてその楽しさや含蓄の深さをシェアしようとしているのでしょうね。

 以上で、前置きは終了です。 次回からは、それぞれのテーマについてより具体的に書いていこうと思います。
Comment
≪この記事へのコメント≫
非常に面白かったです。

こういう話は、ファイナンス理論では教えてもらえない話なので、新鮮でした。


僕も同じようなテイストで興味を持っているのかもしれません。でもやっぱり、「どのようにして、ファイナンス理論から価値を生み出せるのだろう?」ということは、いつも念頭に置いておきたいと思っています(生意気ですが)。

現在のところ、「平均を知っているからこそ、非凡なものを見つけることができる」という程度の認識でしかありませんが・・・。
2006/12/08(金) 02:20:41 | URL | Henry #ZBTNIsEw[ 編集]
Henryさん、コメントありがとうございます。
価値そのものを生み出すかというとよくわからないのですが、ファイナンス理論を学んでいると、「何が価値なのか」ということについて分かると思います。 たとえば経営者なら、本当の意味の、価値創造経営が出来るようになるのでしょう。 それが結果として、価値を生み出すことにつながるのでしょうね。
2006/12/08(金) 09:14:05 | URL | Taejun #-[ 編集]
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