Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:-- | スポンサー広告 | Trackback(-) | Comment(-)
世界の終りとハードボイルドワンダーランド。
 村上春樹も4作目。 今度は、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」でした。 
 
 今回は、登場人物に「はまる人」がいなかったので、途中までは読むのがきつかったです。  

 物語はパラレル式に進んでいきます。 一つは、物事を便宜的に考えるクールな「私」をめぐるハードボイルドワンダーランド。 もう一つは、唯一心を持っている「僕」のやってきた、世界の終わり。
 
 村上ワールド(というか、この類の現代文学)に関しての僕の見解は、ここに書いてあるので、そこには触れずに、感じたことについて、書くことにします。

 
 作品中では、世界の終わりは二つの要素から構成されているようです。 それは、永遠と、心の不存在。 その世界では、時が限界まで分解されることによって永遠のものとなっています。 そしてそこに住む人たちは、その世界にやってくる時に、自分の心のよりどころである影を捨て、心を失っています。 心が失われているので、絶望や幻滅や哀しみは無く、その変わりに喜びや愛情もない世界。 そのおかげで、その世界の終わりの中で人々は千年を一日のように、一日を千年のようにおだやかに暮らしています。
 これ、風の谷のナウシカが迷い込んだ世界に、とても似ていますね。 とても穏やかで平和な世界(ナウシカのコミックの、確か第七巻)。 ナウシカは、その世界を抜け出しました。 しかし、その世界を自ら作り上げていた事に気付いた「僕」は、その世界を抜け出すのでもなく、その世界において心を失うのでもなく、心を持ち続けたままその世界に生きることに決めます。 その世界を作り出してしまった自分の責任を全うするために。
 
 
 改めて考えさせられたのは、人の心についてです。
 因果なものですよね。 人の心は。 物事を相対的な基準で判断せざるを得ないことが、あまりにも多い。 ほとんどの心の作用は、何らかの対立物を通じてでないと把握できないんですよね。 たとえば、幸せひとつとってしてもそうです。 「自分は絶対的に幸せだ」と感じられる人はすごく少数で、多くの人は、自らが経験した、または想像しうる不幸を鏡として、自分のことを幸せと判断しているのですよね。 人間の機能として、心というものがどうして出来たのか、とても不思議です。 そして、完全な世界の終わりは心の喪失にあるという作品の主題にもとても共感がもてます。
 
 
 小説や漫画の中では、僕たちは世界を変えたり、世界を抜け出したり、心を喪失したりすることが出来ます。 けれど、現実にはそんなことはできっこない。 世界は世界で存在しているし、僕たちは、移ろいやすい心を引きずって、生きていかなければいけないわけです。

 そんな現実に対処するための知恵として、昔の人々が語った、「足ることを知る」ことの大切さが思い出されます。 物事を相対的に判断せざるを得ない状況において、幸せに近づくためには、ある類の心の作用について、判断の分水嶺を変えることしか僕たちには出来ないし、それが多くの場合、最高の手段なのでしょうね。 たとえば、ものに対する欲望について「もっともっと」ということを考えても果てが無いし、それがかなえられないと不幸を感じてしまうのなら、前もって、「これで十分じゃないか」と、満足のハードルを下げたりと。
 といっても、すべてのものについて、足ることを知ってしまうと、それはその人の成長を止めてしまうので、伸ばしたい部分については貪欲を押さえずに、ある類のものについては欲をコントロールするという、そこら辺のバランス感覚がとても重要だと感じます。 すばらしい事業を成し遂げた人々は、この欲のコントロールにおいてとても優れていると僕は思います。
 
 この作品にはブランキージェットシティーが絶対似合うはず、などなど、他にも色々とあるのですが、このあたりで。


 村上作品、残るは、羊をめぐる冒険。 それを読みきったら、次は阿部公房ですね^^ 勉強と仕事は、、、ちゃんと同時進行中(のはず)です。
Comment
≪この記事へのコメント≫
今まで、相対的な幸せを、『絶対的な幸せ』と勘違いしていました..;
あれ?意味通じますか?
2006/12/11(月) 13:27:25 | URL | yuni #-[ 編集]
yuniさん、はじめまして。
もちろん意味は通じますよ。 といっても、幸せは相対的なものだというのも僕の主張で、立証されたものでもないのですけれどね^^;
これからも宜しくお願いします。
2006/12/12(火) 10:47:15 | URL | Taejun #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。