Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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負ののれんのメリット?
 授業中に、「負ののれんを計上することは、とりもなおさず買い手の企業にとって望ましい」という意見が出たのですが、僕はいまだにその意味を理解できていません。 税務上で見れば、のれんは正の値に近いほど望ましいと思うんですよね。

 
 1.のれんって何?
 2.税務上ののれんの取り扱い
 



 



 1.のれんって何?

 のれんというのは、営業権とか、goodwillとかいう言葉でも代用されます。 のれんは、「企業の超過収益力の源泉」だとか教科書では説明されているのですが、そんな説明はより一層混乱させるだけですよね。

 ちょっと考えて見ましょう。 たとえば、創業300年の越後屋というお店があるとします。 創業300年ですから、綿々と続くノウハウや信用などがあり、それがそのお店を有利な状況にしてくれていることには疑いがありません。 
 
 そのお店が、よそに移動したとしても、やはり、お店ののれんに「越後屋-創業300年」と書かれていると、人々はそのお店に対しかなりの信用を抱くようになり、お店としてはかなり商売が有利に運ぶわけです。 このような、技術その他に裏付けられた名声や信用力といった、目には見えない、競争優位の源泉、超過収益の源泉のことを、のれんと呼ぶのですね。

 しかし、のれんは、普段の企業の帳簿には登場しません。 バランスシートを見ても、「のれん 1億円」とかいう項目が資産にあったりはしないわけです。

 のれんが現れるのは、買収時です。

 越後屋を2億円(現金)で買ったとしましょう。

 すると、現行の会計ルールにより、購入された越後屋の資産は、いちど時価評価されることになります(パーチェス法)。 

 時価評価した結果、その資産価値が1億5千万円だったとしましょう。

 このとき、会計では以下のように考えて、のれんを計上するんですね。

 「資産価値が1億5千万円の越後屋を、2億円で購入した。 ということは、のこり5千万円は何のために費やされたのだろうか。 そうか、越後屋の超過収益の源泉だったのれんの購入に費やされたんだ。」 

 のれんは、連結調整勘定という名の下に、以下のように連結決算に組み込まれます。 


 越後屋資産    1億5千万円    /  もと越後屋負債(資本やら借入金やら) 2億円    
 連結調整勘定   5千万円

 
 
 これが、のれんです。 企業会計上では、のれんは20年以内の償却が義務付けられています。 
 
 この場合、のれんは、正ののれんです。 負ののれんというのは、購入した企業の時価が購入金額より高い場合に生じます。 
 たとえば、上の例で越後屋の資産の時価が2億5千万円だったとすると、連結処理はこうなります。

 越後屋資産    2億5千万円    /  もと越後屋負債(資本やら借入金やら) 2億円    
                                       連結調整勘定   5千万円


 

 2.のれんの税務上の取扱い

 のれんは、企業会計上のそれとちがい、税務上では5年の定額償却が義務付けられています(だから、多くの場合繰延税金資産(正ののれんの場合)・繰り延べ税金負債(負ののれんの場合)が生じます)。 (法法62条の8) 
 
 ざっくり言うと、正ののれんは、企業の課税所得を下げ、負ののれんは、企業の課税所得を上げます。

 
 ここで、やっと僕の疑問に行き着くわけです。

 すでにある企業を買収したのであれば、企業側としては、課税所得を少なくしたほうが税務上は都合のいいわけです。 (少なくとも、僕のあやふやな会計と税の知識によると)
 だって、手元に実際にあるキャッシュや利益は変わらないのに、買収対象の時価を高く見積もり負ののれんを計上したら課税所得が増えてしまうのに対し、正ののれんを計上するのなら、課税所得が少なくなるのですから。 法人税の実効税率は42%ですから、相当大きな税支出の変化をもたらすのですよね。

 もちろん、時価評価に入り込む裁量には限りがあるわけですが、それでも、企業としては負ののれんなんぞなるべく計上しないように時価評価をするのが望ましいと僕は思うのですよね。 

 だから、「負ののれんがでることは、企業にとって都合がいい」ということに、とても違和感を感じていて。 もちろん、PL上は見栄えが言い訳ですけれど。。
 


 この授業、8人の受講者中、公認会計士が3人もいて、やっぱり資格保有者は違うなぁ、と感じることしきりです。
 いつから受験勉強始めようかなぁ。。 とりあえず、6月のアナリスト二次を無事ストレート合格して、卒業ペーパーが落ち着いてからでしょうかね。
Comment
≪この記事へのコメント≫
はじめまして
47th先生のところから飛んできてたまに拝見させていただき楽しませてもらっております。

私も税法を勉強中で、このあたりの話題を興味深くみさせていただいているのですが、ちょっと気になったので僭越ながら挨拶がてらコメントさせていただきます。

「負ののれんがでることは、企業にとって都合がいい」というがおかしいというのも、「負ののれんを計上することは、とりもなおさず買い手の企業にとって望ましい」というのも、両方その通りなんではないでしょうか。
前者は、時価評価を動かせる範囲では、安く評価をして実現時まで益金の発生を遅らせたほうがよいという話で、後者は、負ののれんを計上せずに評価時に益金がでるよりは繰延負債にして益金参入を繰り延べたほうがよいという話なんではないのかなと思ったのですが。そういう意味では、のれんは負ののれんのほうが好ましいといえると思います。

勉強中のみでありながら、調子に乗って意見して突拍子もないことをいっていた場合には、どうか笑って流してください。
2006/12/15(金) 01:18:07 | URL | 金魚 #-[ 編集]

読んでいると、繰延税金資産・負債の計上と正ののれんが、企業の課税所得を下げ、負ののれんが、企業の課税所得を上げるという話に関係があるようにみえるのですが、もう少し詳しくおしえていただけませんか。

手元に実際にあるキャッシュ、利益ですが、キャッシュは分かりますが、利益はなにをいうのでしょうか。

資産超過の越後屋を購入した場合と債務超過の越後屋を購入した場合の手元キャッシュ、利益は同じなんでしょうか。

高く見積もった資産、低く見積もった資産が課税所得に与える影響はどうでしょうか。

最後の違和感ですが、PL上の見栄えの良さとは何をいうのでしょう。

質問ばかりして申し訳ないですが、
書いてることがざっくり行き過ぎで素人の私には疑問ばかり浮かぶので…教えていただければありがたいです。
2006/12/15(金) 01:39:24 | URL | しつもん #-[ 編集]
 金魚さん、はじめまして^^
 
 >前者は、時価評価を動かせる範囲では、安く評価をして実現時まで益金の発生を遅らせたほうがよいという話で、後者は、負ののれんを計上せずに評価時に益金がでるよりは繰延負債にして益金参入を繰り延べたほうがよいという話なんではないのかなと思ったのですが。
 
 の部分を僕が読み違えている可能性があります。 下の僕の答えが素っ頓狂だったら、仰っていただけると幸いです。
 
 仰るとおり、現在時価評価をどう見積もったとしても、評価額と本当の価値のずれが将来なんらかの損益の形で現れるのなら、問題は少ないかもしれません。 
 ただ、気になる点は以下のようなものです:

①実現の可能性
 ずれはいつか損益の形で現れるのか。 税務上、一度のれんが計上されると、あとは5年定額償却が義務付けられてしまう(=税債務が確定する)ので、出来ることなら、評価は可能な範囲内で高く見積もるのがよいと思うんです。

②貨幣の時間価値
 現れるとして、そのタイミングの遅れは、貨幣の時間価値(time value of money、多くの場合市場利子率)の観点から見て大きな影響を与えないか。 遅く利益が実現したほうが、得なわけですよね。 もちろん他方で利益を早めに出したほうがよいこともあるので、なんともいえない部分もありそうですが。


 僕もまだまだ勉強中の身で、47thさんのブログとは比べ物にならない水準ですが、今後とも宜しくお願いします。
2006/12/15(金) 09:35:35 | URL | Taejun #-[ 編集]
 しつもんさん、はじめまして。

>手元に実際にあるキャッシュ、利益ですが、キャッシュは分かりますが、利益はなにをいうのでしょうか。
資産超過の越後屋を購入した場合と債務超過の越後屋を購入した場合の手元キャッシュ、利益は同じなんでしょうか。
高く見積もった資産、低く見積もった資産が課税所得に与える影響はどうでしょうか。
 
 ごめんなさい。 実際、めちゃくちゃですね^^;・・・ 利益は、ここでは、経済的利益といった意味で使っています。 税務上の利益とも、会計上の利益とも違います。 「そんなの言わなければ分からない」というのは当然のことで、あらかじめ断ることは最低限のマナーですよね。。


 さて、コメントの答えですが:

 たとえば手元に1億円あるとしますよね。
 そして、5千万円で買収をしたとします。

 手元に残るキャッシュは、ご存知の通り、5千万円で確定しています。 おつりとかは、こないはずですから。

 
 課税所得となると、

 もし、その企業の資産を時価評価してみたら3千万円だった場合、

 2千万円が費用として5年に分けて計上されます。
  →400万円×5が損金に入る
   →毎年、400万円×42%=168万円ずつ税負担が減る


 逆に、その企業を時価評価してみたら8千万円だった場合、他の利益がないのなら 
 
 3千万円が(たしか)特別利益として、同じく5年に分けて計上されます
  →600万円×5が益金に入る
   →600万円×42%=252万円ずつ税負担が増える

  
 となると思います。 



 最後の違和感ですが、PL上の見栄えの良さとは何をいうのでしょう。

 企業が買収から享受する経済的便益とは関係なく、のれん代を低く計上すればするほど(-∞に近いほど)、会計上利益が現れますよね。 結果として、PL上の数字(当期利益など)がよく見えることになると思うんです。 たとえば、同じ買収をして「これはもっと高いものを値切って買ったんだ!」といったら、会計上は利益が現れ、「これは本当はもっと安いのに、、買ってしまった・・・」といったら、会計上は費用が計上されるんですね。 
 
 
 答えになっていますか・・・? もしなっていなかったら、再度コメントいただけると幸いです。
 

2006/12/15(金) 09:56:57 | URL | Taejun #-[ 編集]
お返事ありがとうございます。
①、②の点は、全くその通りだと思います。

その上で、「負ののれんを計上することは、とりもなおさず買い手の企業にとって望ましい」というのは、時価の評価が買収対価よりも低い価額で固定されて動かせないとしたときのことを言っているのかなと思ったのです。そのような場合に、負ののれんを計上するのがいいのか、それとも、時価評価時に一括益金参入がよいのかという話かなぁというわけです。

というのも、62条ノ8第3項がちゃんと頭に入っていませんでした。負債調整勘定は強制されていたんですね。そうすると、一括益金参入なんてありえないので、困ってしまいました。

とはいえ、制度論として負ののれんの計上が認められること、すなわち、負債調整勘定による益金参入の繰延は企業にとっては、まさにtime vlue of moneyの観点から好ましい。

という意味かなと思いましたが、墓穴を掘ってますね。

本当に、「負ののれんを計上することは、とりもなおさず買い手の企業にとって望ましい」ってどういう意味なんでしょうね。

答えがでましたらぜひ教えてください。
2006/12/16(土) 00:06:02 | URL | 金魚 #-[ 編集]
 混乱させてしまって、申し訳ございません…^^;
 いろいろとめんどくさい問題がかぶっているので、話が複雑になっているんでしょうねぇ。 といっても、僕の説明がもっとクリアーだったら、混乱を招かずにすんだのだと思います。

 これからもコメントよろしくお願いしますね(コメントが結構ブログ更新の励みになっているので)。 
 
 
 
 


2006/12/16(土) 17:40:25 | URL | Taejun #-[ 編集]
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