Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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ファイナンス理論からの10のメッセージ5:二基金分離定理。
 さて、最近サボリ気味だったのですが、この学校が無い期間に完結させようと思います。 前回の内容をお忘れの方は、申し訳ないのですがこのカテゴリーの記事をさらさらと読んでおいてください^^;

 現代ファイナンス理論においては、一番強烈な部分の一つだと思います。

 
 1.最小分散ポートフォリオ
 2.安全資産と危険資産の組み合わせはどうなる
 3.全ての投資家は同じ組み合わせの危険資産を持つことになる!!!
 4.インプリケーション



 Excerpt:あなたがこの世にいるということは、あなたが必要とされているということだ。

 




 1.最小分散ポートフォリオ


 前回の記事のファイルで試してみればお分かりと思いますが、危険資産(すなわち、リスクがある資産)だけでポートフォリオ(資産の組み合わせ)を作ると、あるリターンに対するもっとも小さな分散の関係を示したグラフは次のような双曲線になります(横軸が標準偏差の場合は双曲線、横軸が標準偏差の二乗である分散の場合には、二次曲線になります。)。
 この、最も小さな分散を達成したポートフォリオを、最小分散ポートフォリオと呼び、このラインの事を、最小分散フロンティア、と呼びます。 最小分散フロンティア、とは、あるリターンにおける実現可能な最小分散を示したものなのですね。
  
 MVF.jpg


 この場合、皆さんは、どこら辺を選びますか? 少なくとも、双曲線の下半分は選びませんよね。 なんてったって、リスクが高いのにリターンがめちゃめちゃ低かったり、時にはマイナスなのですから。 なので、合理的な人は、上のほうにある線のうち、好きな場所を選ぶことになります。 リスクに対して比較的許容する人は、右上のほうを選ぶでしょうし、あまりリスクが好きでない人は、上半分のうち、左側を選ぶことになるでしょう。

 この時点では、最小分散フロンティア上でどの点を選ぶかは、個人の好み(以前紹介した言葉を使うと、その個人の効用関数の形状)によって、変わってきます。 最小分散を実現する組み合わせが色々あり、人々が選ぶ場所は、まちまちになるわけです。

 蓼食う虫も好き好き、というわけですね。



 2.安全資産と危険資産の組み合わせはどうなる

 さて、ここまで、危険資産しか存在しない場合を考えてきました。 危険資産とは、収益率の変動を伴う資産のことで、例えば、株券とか、社債とか、不動産とか、そういうものを指します。

 ここで、安全資産が存在する場合を考えて見ましょう。 安全資産とは、リスクの存在しない資産のことです。 常に、収益率が変動しない資産の代表例としては、国債や銀行預金などがよく挙げられます。 もちろん、国家が破綻したら国債も紙切れになるので国債も危険資産のはずなのですが、まあそんなことはめったに無いだろう、ということで、国債は安全資産と考えられています。

 安全資産と危険資産を二つ保有した場合、さっき示したグラフで言うと、どういう線が描かれるのでしょう?

 答えを見る前に、安全資産と危険資産の相関について考えて見ましょう。 両者の相関は、そう、ゼロですね。 というのも、危険資産がどんな値動きをしても、安全資産のそれは変わらないと考えられるからです。 
 相関がゼロなので、二つの資産の組み合わせは、直線で表されることになります。 この結論だけを理解していただければ良いです。 その理由が気になる方は、二つの資産の分散の計算方法について考えてみてください(分からなかったらコメントをくださればその欄に書きますね)。

 グラフにするとこんな感じです。

MVF2.jpg


 さて、直線になるとすると、人々は、どんな安全資産と危険資産の組み合わせを望むでしょうか? ちょっと考えてみてください。
 



 3.全ての投資家は同じ組み合わせの危険資産を持つことになる!!!

 そうです。 安全資産が存在する場合、人々は、唯一の危険資産の組み合わせを選択することになります。 何でかって? 安全資産と危険資産を組み合わせた場合のリスク・リターンのグラフを考えてみてください。

 人々は、リスクを嫌い、リターンを好みます(そうでないとしても、この一連の記事ではそれを前提としています)。 また、安全資産と危険資産の組み合わせは直線になる。 すると、合理的な人々は、接線になるように構成された危険資産と、安全資産を保有することになるのですね。
 
 そうです、接線になるように構成された危険資産の組み合わせしか、人々は保有しようと思わないのです。
 
  
MVF3.jpg

 
 これがどんなにすごいことか、想像してもらえるでしょうか? 普通、僕たちは、好みに合わせて、リスキーなものに投資したり、そうでないものに投資したりしますよね。 ですが、理論が教えてくれることは、「望ましい危険資産の組み合わせは、一つしかない」と言うことなのです。 理論的に言うと、ある株式の一点買いは馬鹿げたことで、理論が示してくれる「たった一つの組み合わせ」を保有するのがいいわけなのです。

 この「たった一つの組み合わせ(ポートフォリオ)」は、どういうものになるのでしょうか? 考えて見ましょう。
 
 ここでのポイントは、このポートフォリオは、皆が望むポートフォリオだということです。
 みんなが望むポートフォリオの中に、トヨタの株式が入っていないなんて事は、ありうるのでしょうか? 感覚的にみて、ありえませんよね。 もし、みんなが望むポートフォリオの中に入っていない株式だとしたら、それは、「みんなが買いたがらない株式」なわけで、その株式はあっという間に暴落、会社は倒産となるからです。 これは、市場に存在する全ての資産について同じことが言えます。

 そうです、ちょっと逆説的かもしれませんが、「みんなが望むポートフォリオ」とは、市場における全ての資産を含んだポートフォリオと考えることが出来るのですね。

 だから、この「みんなが望むポートフォリオ」の意味を踏まえ、市場ポートフォリオ、と僕たちは読んでいます。 厳密に言うと違うのですが、TOPIXなどが、市場ポートフォリオに似たようなものと考えられています。

 
 ここまでの議論をまとめると、こういう事が言えます。

 安全資産が与えられた場合、
 ・危険資産の組み合わせの決定、と
 ・危険資産と安全資産の組み合わせの決定
 は、それぞれ、別々にされます。 人々は、どのような状況であれ、おなじ危険資産の組み合わせを選択し、その後に、その危険資産の組み合わせと安全資産の組み合わせについて、考える事になるんですね。
 このように意思決定が分離されていることから、上の事を二基金分離定理、と呼びます。 二つの基金は、それぞれ安全資産と危険資産をさしています。

 

 4.インプリケーション 

 ここまでのロジックを考えたときに個人的に最も面白いことは、「人々が望むポートフォリオには必ず市場に存在するすべての資産が含まれている」という点でした。 存在するのなら、必要とされるのだ、と言うことなのですよね。
 この事を、人の例に言い直すと考えさせられます。 「彼・彼女がいるということは、それを人々が望んでいるからだ」と、言い直せるのですね。 これは、一般的には、ものすごく倫理的な謂いと考えられ、理論的な後ろ楯はさほど無いととらえられる主張です。 しかし、ファイナンス理論的には、支持されうる考え方なのですよね。 もちろん、このアナロジーが成立するには、色々な前提が必要そうですが、貴重な示唆を含んでいるのではないでしょうか。
 資産の世界においても、全ての資産が様々な、多くの場合目に見えない役割を果たしているように、人間社会でも、色々な人がいることによって回っている部分があるのかもしれませんね。 

 ちなみに、市場ポートフォリオは、100年間を通じて、常に最高のポートフォリオでした。 常に市場を上回ってきた投資会社は存在していません(少ない例外はいますが)。 そして、巨人は、あんなにもお金をかけて選手を集めているのに、優勝できません(巨人ファンの方、ごめんなさい)。 

 などなど、考えれば考えるほど、面白いものです。 何か思いついたら、コメントでもくださいね。


 次回では(いつになるか分かりませんが)、二基金分離定理が成立する前提で、さらに驚くべきことが明らかになります。 資本資産価格モデル(Capital Asset Pricing Model, CAPM)です。

Comment
≪この記事へのコメント≫
むむむ???
効率的フロンティアが双曲線というのはおかしくないですか? 安全資産の収益率によっては、接線が存在しなくなるような気がします(双曲線の漸近線との位置関係を考えるとわかる)。むしろ放物線なのではないかと思うのですが?
2007/02/20(火) 05:15:31 | URL | Henry #ZBTNIsEw[ 編集]
 Henryさん、コメント有難うございます。

 効率的フロンティアを求める式(具体的には、投資比率・収益率・分散共分散ベクトルの関数を、投資比率ベクトルで微分すると求まります)があるのですが、その結果、横軸を分散でとるのなら、二次式になるので放物線になります。 横軸を標準偏差でとると、双曲線になります。 数式はとっても書きにくいので書けませんが。。 結論には間違いないと思います。 もし謎が残るようであれば仰ってください。

 ちなみに、安全資産の収益率がどの値であっても、接線は存在します。 これは記事にする面白いねたなので、しばしお待ちください^^

2007/02/20(火) 07:35:34 | URL | Taejun #-[ 編集]
横軸は標準偏差で取らないといけないんですね。。。

よく考えてみると、分散を横軸にしてしまうと、安全資産とある株式ポートフォリオの和が、安全資産と株式ポートフォリオを結んだ直線状に来なくなります。←2次の形になるので 

僕の方が間違ってました。スイマセン。

そして、新たなネタを楽しみにしています。
2007/02/22(木) 02:00:17 | URL | Henry #ZBTNIsEw[ 編集]
返信遅れてごめんなさい。。
記事書きました^^コメントくださると幸いです。
2007/02/23(金) 23:47:57 | URL | Taejun #-[ 編集]
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