Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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人ノート11:ナポレオン・ボナパルト。
 今回の人ノートは、ナポレオンです。

 今までは、尊敬する人ばかりを書いてきたのですが、今回はちょっと違います。 もちろん、彼から学ぶべきことはとても多いのですが、彼は、僕の尊敬する人ではありません。 学ぶべきと思ったこと、反面教師とするべきと思ったことなどを中心に書いていこうと思います。

0.略歴
1.すぐれた戦略的思考
2.精神力
3.愛のない合理主義者、権力主義者
4.結びに

Napoleon1.jpg



0.略歴

 1769年、ナポレオン・ボナパルトは、当時独立のための闘争が盛んにおこなわれていたコルシカにて生まれます。 おとなしい読書家だった少年時代を経て、軍人となった彼は、フランスの勢力図を一気に拡大し、国に多くの(略奪による)富をもたらします。
 瞬く間にフランスの英雄となった彼は、その後も戦功をあげ続け、ついには皇帝となります。 このときわずか35歳。
 その後も破竹の勢いでフランスは勢力を拡大し、ナポレオンは絶頂を迎えますが、ロシアにおける大敗を境に、帝国は見る見るうちに弱体化し、ナポレオンもついには皇帝の座から追われます。
 その後、わずかな間復位を遂げるものの、ワーテルローの戦いにて敗北するとともにその座を再び追われ、追放先であるセントヘレナ島にて亡くなります。 1821年のことでした。
 
 最後には失意のうちに亡くなった彼ですが、異国の民がわずか十数年の間に皇帝にまで上り詰めたことは、並大抵のことではありません。 なぜ、かれがこのようなことをできたのか、以下のことを僕は理由として考えます。



1.すぐれた戦略的思考
 
 いくつかの点が、彼の戦略における特色だったと思います:
 

 ・鳥瞰的な視点
 彼は、死が目の当たりにあった戦場においてでさえ、自分を客観視して、物事を大局的に眺めることができました。 だからこそ、彼の戦略・戦術は的確で常に揺るぎませんでした。 ナポレオン自身、次のように、戦場における自身を表現しています。
 「その時私は、将来の自分の姿を想像した。人々が逃げ惑う様子を、まるで下界の出来事でもあるかのように空高くから見下ろしている自分の姿を。」

 
 ・豊富な知識
 読書家であった彼の頭の中には、古今の戦場における出来事がすべて入っていました。 かれはその中から、現在の状況に最も適当な戦略を考えることができたそうです。 


 ・早くて揺るぎない意思決定
 彼は、どんな状況においても瞬間的にとるべき戦略を決定し、それについて変更はしなかったそうです。 この素早い意思決定は、彼の知識と、すぐれた状況把握能力に裏打ちされていたのだと思います。 ナポレオンは、部下から報告を受けるときに、次の二つの質問を常にしていたそうです。
 「それは正しいのか」、「それは役に立つのか」


 ・迅速な行動
 彼の行動は迅速でした。 これは、ひとつには、彼の意思決定能力の高さによるものですが、もう一つには、彼が意図的に、しがらみがない組織づくりをしていたことにもよります。 しがらみが生じないために、人事や軍隊内での宗教の問題にも、細やかに気を使っていたナポレオンでした。


 ・情報戦を意識
 当時から、彼は、イメージの力をよくわかっていました。 「想像力こそが世界を支配する。現代のわれわれの制度上の欠陥は、想像力に訴える何物も持たぬことだ。」といった彼は、自分を偶像化するため、さまざまな手段を用いました。 その一つが、当時の多くの芸術家をして、自分の肖像画を描かせたことです。 ナポレオンの肖像画には、かっこいいものが多いですよね。 それらの多くが、ナポレオンが行った情報戦略の一つの結果だったのでした。


 ・先入観を脱する
 彼は、それが合理的であるのなら、なんでも行いました。 フランス革命において一度衰退した宗教を復活させたナポレオンでしたが、その趣旨は、彼が宗教を信仰するからでは決してなく、ただ、民衆を支配するのに宗教が便利だったためでした。 
 彼の多くの改革には、こういった、先入観を脱した合理精神が生きていました。 ナポレオン法典は、いまだに多くの国の民法の原点として残っていますが、このことは彼の合理精神が現代でも通じることの証左と言えるでしょう。

格式が重要だった当時において、ナポレオンの行っていた方法論というのは、明らかに時代に先んじていたように思えます。

 


2.精神力

 また、彼の精神力には瞠目するものがあったと思います。
 「吾輩の辞書に不可能という文字はない」といったのは有名な逸話ですが、彼は、自らが下した意思決定を、不動の精神力を持って、勇敢に遂行することができた人間でした。

 ゲーテは、ドイツを占領したナポレオンのエネルギーに惜しみない讃辞を送りました。 ヘーゲルは、行進するナポレオンをみて、「絶対精神(ヘーゲルが説く、人間が最終的に至る精神の境地、詳しくは『精神現象学』を読んでみてください)が歩いている。」と評したそうです。
 
 また、彼は、最後の最後まで王者としての自らの誇りを失わなかったといいます。 皇帝の座から追われ、捕虜となっても、彼の振る舞いは、常に威風堂々としていたため、多くの人々が思わず頭を下げたほどだったといわれています。

 
 

3.愛のない合理主義者、権力主義者

 彼は、徳や倫理といったものは特に重視しなったようです。 もしそれらが彼にとって意味をもつとするのなら、それは、それそのものの精神的価値に起因するものではなく、それが彼の戦略戦術において役割を果たすという事実に起因していました。 
 
 彼は、人間を事か物のように看做し、自分と同じような人間とみなすことは決してなかったといわれています。 彼にとっては、自分だけが特別で、自分以外の人々は、常に「その他」でしかありませんでした。 彼の強固な意志の力は、過大な自負心の沈着な計算に存していたといわれています。 
 
 また、彼の価値観において一番重要だったのは、権力だったようです。

 「私の愛人、それは権力だ。 私はその征服に非常に骨折ってきたので、みすみすそれを奪われるのも許せないし、人がみだりにそれをほしがるのさえ耐えられない。」

 占領地における略奪によって権力を手にした彼らしい言葉というか、なんというか。
 
 

 
4.結びに

 これを書いていると、人ノート第一回で紹介したガンジーの言葉を思い出します。
 
 「私は全ての歴史を通じて真理と愛の道が常に勝利を収めてきた事を思いだす。 今までも僭主や殺人者達がいて、彼・彼女らは、一時は無敵に見える。 しかし、最後には、滅び去っている。 それを思いなさい。」

 ガンジーの言ったとおり、彼は滅び去りました。 


 僕は、能力と意志の力と、そして運さえあれば、人間どこまでも上り詰めることができるのだと思っています。 ナポレオンの生涯はその動かぬ証拠ですし、今の日本社会においても同じようなことがいえるかもしれません。 
 
 能力を持っていれば、事業を大きくすることは、可能です。 相当に不運でなければ。

 だからこそ、そういう人たちは、その事業の拡大をどのように行うべきなのかを、歴史と民衆から学ぶべきなのではないのかな、と僕は思うのですよね。 そのためには、歴史を知ることが必要だし、自分自身の人格を磨いて、世の中の声に耳を傾ける心持と努力を持ち続ける必要が出てきます。 僕は、本当に未来にまで残る仕事をするためには、このような心構えと努力をすることは必須だと思っています。 といっても、成功の定義や幸せの物差しも人それぞれなので、他人に僕の価値観を押し付けるつもりはあまりありませんが。

ですが、僕の考えることと同じことを、セントヘレナ島に追放されたナポレオンも生涯の最後において悟っていたのでした。 僕は、次の言葉を、中学生のころからずっと覚えています。 大好きだった歴史の先生が見せてくれた、「知ってるつもり」の最後で紹介された、ナポレオンの辞世の言葉の一つです。 今回の人ノートは、この言葉を紹介して終えようと思います。 目の前にある成功に目がくらみそうになるときには、ナポレオンの生涯を思い自戒するとともに、自分の死後までも視界にとらえ確固とした生き方をしたいと僕は思います。

 「私の人生はなんと数奇な小説だろう。 だが、宇宙の仕組みから考えれば、われわれの行った革命など、吹けば飛ぶようなものなのかもしれない。 
 歴史を読み、歴史について瞑想せんことを祈る。 歴史こそが真の哲学である。 だが、心の底にある聖なる火、あの善に対する愛を持たないのであれば、何を学んでも同じであろう。」
Comment
≪この記事へのコメント≫
おもしろいです!
読むとモチベーションが上がるので時々読ませていただいているのですが、今回のもまた非常に興味深いです。確かに、成功する人、幸せになる人と歴史に残る人というのは違うと思います。そして結論としてナポレオンは歴史に残るのに何が必要かを最後に善に見たのですね。何に価値を置くかですね。でも長く自分の影響力を残したいというのは普遍的な価値観だと思えます。
2007/05/24(木) 18:13:01 | URL | napo #-[ 編集]
書き手冥利に尽きます。
 napoさん、ありがとうございます。 時には読んでくれた人にとって元気となるような記事を書こうというのが、ずっと続いているこのブログの種子の一つなので、すごくうれしいです。

 限りある命しか持たないからこそ、私たちの多くはいろいろな形で永遠に近づこうと望むのかもしれませんね。 
 
 これからもよろしくお願いします。
2007/05/25(金) 01:56:37 | URL | Taejun #-[ 編集]
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