Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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リスクマネジメントの歴史と投資銀行業務。
 土曜日の、欧米の金融市場の授業の内容のメモです。

 批評いただけると幸いです^^


 Excerpt:
 リスクマネジメントは、理論的・文化的土台が用意されていた欧米において特に、歴史的に発達してきた。 その遺伝子を色濃く受け継ぐ業務の一つが、投資銀行業務と言える。 (ここでは投資銀行業務について、一般に投資銀行と呼ばれる金融機関の業務全般とします)

 
 1.理論的土台
 2.文化的土台
 3.現場で感じられる遺伝子

1.理論的土台

 リスクが運命の偶然でなく制御の対象となったきっかけは17世紀でした。 リスクを対処するためには、その土台となる確率論と、リスクを数学的に定義するための効用概念が不可欠だったのですね。

 
・確率論の発展は:
 1662年、パスカル、「論理学、思考の芸術」
 が端緒と呼べるでしょう。

 ここで、はじめて統計的推測や期待値について記述がなされました。 ここで、パスカルは以下のように述べています。

 『被害を受けることの恐怖感は、たんに被害の大きさだけでなく、その事象の確率にも比例すべきである。』

  これは、将来のことについて考えるときに、期待値を取ることの重要性をさしています。 この考え方そのものが過去にないものであり、パスカルにおいて、人類の将来に対する考え方は大きな発展をもたらしたのです。



 ・効用の発案は:
 1731年、ダニエル・ベルヌーイ、「リスク測定の新理論の展開」
 がその始まりと呼べるでしょう。 天才ぞろいのベルヌーイ一族のひとり、ダニエルさんいわく、
 
 『あるものの価値は、それについた値段によって決まるのではなく、そのものによってもたらされる効用によって決まる。』

 なのでした。 これは、効用による価格付けについて示唆しています(じじついくつかの金融商品は、効用関数からその販売価格を計算していたりします)


 また、ダニエル・ベルヌーイは、『富の微量な増加から得られる効用は、それ以前にその人が保有していた財の量に反比例する。』とも述べました。 これは、効用逓減の法則ともいえるものです。 人々は、富のばらつきよりも安定を好む、すなわち、リスク回避的消費者なのだということを、彼は主張したのですね。

 このことにより、上でのべた確率論の発展と相まって、リスクの問題が、統計学の用語における標準偏差の問題へと帰着するようになったのです。 もはや、リスクは、神々のいたずらではなく、対処の対象となったわけですね。





2.文化的土台 (相当に主観を含む)
 
 ・狩猟民族
 欧米では、生活において対処すべきリスクは主に個別的リスク(狩りの失敗など)だったと言えるでしょう。 個別的リスクは、言い換えると分散可能なリスクです(皆で別々に狩りに出れば、誰かしら獲物を見つけられる可能性は高い)。  大航海時代のマインドも、狩猟生活のバックグラウンドと深く関連があるのではと僕は考えるのですよね。

 一方、農耕民族において、対処すべきリスクは組織的リスク(天候リスク)でした。 これらは分散不可能なリスクです(町内の違う場所で農業をしても、違う穀物を植えても、気象異常により被る被害を減らすことは難しい)。 分散可能な個別リスクに対する場面が相対的に少なかったと考えられます。 


 ・相次ぐ戦乱
 また、ヨーロッパは特に常に戦乱に見舞われてきた。 大きなリスクと隣り合わせで生活する日々が少なくないため、家族保存の必要からリスクマネジメントの知恵が発達したのではと僕は思います。 激動の時代のヨーロッパにおいて、5カ国に兄弟を分散させて商売をしたロスチャイルド家などが例になるかもしれないですね。 




 3.現場で感じられる遺伝子

 ・リスクとリターンについての洞察
 リスクがあっても、リターンが見合うのなら投資するという文化があると思います。
 例えば、投資銀行による、90年代日本の不良債権業務があげられるでしょう。 当時日系の金融機関が抱えていて、文字通り「紙くず」と考えられていた不良債権をバルクで買い取り、高リターンをあげ、投資として成立させたのです。 


 ・失敗を許容する文化(個別リスクの存在を認識しているからこそ)
 全体としてパフォーマンスが上がればよしとして、10に一つ失敗が出ても大きな問題としない傾向があるように感じます。
 “It is what it is.”、すなわち、「だめなのだからしょうがない(非直訳)」、という考え方がかなり浸透しているように感じます。


 ・徹底した利益追求
 利益が出るディールにおいては、レバレッジなどの増幅材料を最大限に活用し、最後までアグレッシブに利益を出そうとする傾向が強いと感じます。 それを助長するパフォーマンス評価の仕組みもあるのでしょうね。



Comment
≪この記事へのコメント≫
大航海時代と狩猟社会のかかわりですが、
どういうことでしょうか。

他、戦乱についても。
農耕社会でも戦乱の歴史はあると思いますが。
2007/06/17(日) 22:03:11 | URL | パッチョリ #-[ 編集]
 コメントありがとうございます。

 まあ、多分に主観があるわけですが、あえてさらに主観を押し通してみます^^;

 接するリスクの性質において、航海における失敗というものも、狩猟の失敗も、共通しているわけです。 これらは、個別的リスクで、分散可能なリスクです。 
 
  
 それと、この文章では、農耕社会において戦乱の歴史がなかったなどと書いたつもりはありません。 問題としたかったのは、ヨーロッパにおいては、他のどの地域よりも戦乱が多かったということです。 理由として二つ並べてしまったために、つながりを誤解させるような書き方をしてしまっていたら、申し訳ありません。。 
 
2007/06/17(日) 23:18:02 | URL | Taejun #-[ 編集]
課題お疲れさまでした!
今度の講義で上記コメント是非披露してくださいね。
2007/06/17(日) 23:19:14 | URL | 中西です! #-[ 編集]
中西さん、お疲れ様でした!
作った自分も、「かなり主観が入っているなぁ・・・」と後悔しているほどなので、少し考えてみます。。^^;
2007/06/17(日) 23:22:18 | URL | Taejun #-[ 編集]
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