Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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川口先生の紹介した論文にかみつく。
 (池田ゼミの授業ネタは、数式だらけでなんともブログ上で書きにくいので今日も不動産金融ネタ)
 

 以前、川口有一郎先生の授業で紹介された、Buttimer&Ottの論文を敷衍した、不動産のプライシングに異議があり、昨日の授業中に発表しました。
 先生からはモデルのアイディアがおかしいと言われました。 ですが、その後、多くの実務家の方からは、私のモデルの方が多少の克服すべき点はありつつも実感として事実に近いという話をお伺いして、少し元気を回復し、エントリーを書いています。 (もちろん実感として事実に近いからと言ってモデルが真実をより正確に反映しているとは言えないのですが)

 僕のモデルは、経済データをとるひまがなかったので、前提条件がめちゃめちゃですが、参考にしてみてください。 (というか、どなたか、経済データご存知の方がいたら、データください・・・^^;) 
 
https://www.webfile.jp/dl.php?i=208389&s=c865f103931d68cb52fe


 
 1.Buttimer&Ottのモデル:家主は賃料についてプライステイカーである
 2.Buttimer&Ottモデルについての疑問点
 3.オルタナティヴのアイディアとモデル
 4.現在のモデルの課題



 1.Buttimer&Ottのモデル:家主は賃料についてプライステイカーである 

 その問題の論文は、
 Buttimer & Ott,
Commercial Real Estate Valuation
Development and occupancy under Leasing Uncertainty, 2007, American Real estate and Urban Economics Association


です。 ここで述べられていることは、ざっくりというとこんな感じです:


 1)オーナーは賃料に関してプライステーカーである
  オーナーは市場の状況によって賃料を決定せざるを得ない。 マーケットの状況に伴い、オーナーたちは賃料を選択しテナントに提示する。

 
 2)テナントは、自らの留保価格とオーナーの提示する賃料を比較し、入退室を決定する
 テナントは、自らが意思決定をする閾値である留保価格というものをもっているとします。 この留保価格は、人々により少しずつ異なるものです。 
 (留保価額と市場価額は、平均回帰性質をもつドリフト項つきブラウン運動をすると仮定しています。)

 テナントは、提示される賃料が留保価格より低い時には入室、もしくはその不動産にとどまる意思決定をし、逆の場合は逆の意思決定をすることになります。


 3)上のテナントとオーナーの間のやり取りに伴い不動産の稼働率が決定され、利益水準が決定し、ビルの価格が決定する

 
 
 2.Buttimer&Ottモデルについての疑問点


 僕がこのモデルを見た時に第一に抱いた疑問は、家主が本当にプライステーカーなのかというものでした。 家主は、別に、市場の在り方に沿って、賃料を決めたりしないと僕は思います。

 家主は、自ら賃料を決定することができます。 そして、賃料の決定には、その賃料に伴う不動産の稼働率についての予測が含まれています。
 今日、REIT運用会社にお勤めの方にお話を聞いたのですが;オーナーたちは、市場で提示される価格が低すぎる場合などには、それに合わせて賃料を低くすることは長期的な観点から得策でないと考え、賃料を高く維持するということを行うわけです。 たとえ、短期的に稼働率が低くあっても。

 それを考えると、オーナーは賃料についてはプライステーカーではないといえるのかもしれません。 むしろ、オーナーは、収入の水準についてプライステーカーなのでしょう。 



 3.オルタナティヴのアイディアとモデル
   
 では、何が収入水準を決定するのでしょうか?

 僕は、不動産の需給のギャップにあると考えます。 供給過多であれば、収入は下がるでしょうし、重要過多であれば、供給は上がることでしょう。 

 さらに、その需給のギャップは、一般的な商品と異なる動きをすると考えられます。 なぜなら、不動産は短期的には供給について硬直性を持つからです。 不動産の供給者(建設会社など)は、需要が増えたからと言って簡単に供給を増やすことはできません。 工事に時間がかかるためです。
 しかも、供給者は将来の需要水準について、完全な予測を立てることはできません。 
 
 このことは、不動産の需給にギャップが生じる原因となります。


 さらに、不動産の需給ギャップは、人々の、不動産収益の成長率に関する期待にも影響を与えます。 この成長期待は、常に需給ギャップに反応するわけではなく、何らかのランダムな要因も左右すると考えられます。 たとえば、バブルという状態はそれが生じていてもすぐにはじけるわけではなく、いきなり何らかの拍子にはじけるように。


 そんなことを考えて作ったのが、僕のエクセルファイルです。


 
 4.モデルの課題

 先生の僕のモデルに対する突っ込みについて、同感したのは以下の2点です:

 1)経済成長について、平均回帰性を取り入れていないこと
 
 これは、確かに組み込まないとまずいですね。。。 やっちゃいました。 平均の値と、それからのかい離をもとに揺り戻すような調性項を入れようと思っています。



 2)オーナーがさまざまな事情を予期しつつも賃料を決定するのであれば、その賃料決定プロセスを描写する必要があること 

 そのためには、アメリカンオプションと同じ要領で、とりうる最適な賃料水準を求め、その賃料をオーナーが決定すると考える必要があります。 
 確かにその通りなのですが、それを計算プログラムとして組み込むのは相当に大変だと思いますし、すべてのオーナーが同様の行動をとると仮定するのであれば、収入の上限を需給ギャップから天下り的に決定してしまうことの問題は、さほどないとも考えています。 


 なんにせよ、授業中に時間を割いてもらって発表させていただけてよかったです^^ そのおかげで、改善すべき点が明確になったので。 

 
Comment
≪この記事へのコメント≫
賃料決定モデルをちょうど考えていたところで、その糸口になる面白そうな論文ですね。明日入手して読んでみます。一度時間があるときに議論できるといいですね。

話は変わりますが、森平先生の授業でWang変換を教えてもらいましていたく感動して森平先生に熱く感想を語ってしまいました。これ以上ないシンプルな測度変換の考え方でしかも汎用性の大きいコンセプトです。Wang変換の議論は10年前からあって保険数理ではメジャーなようです。ファイナンス研究科の学生にも初期の段階で認識させるべきコンセプトだと思います。
2007/07/07(土) 02:22:05 | URL | koujiya #X.Av9vec[ 編集]
こんにちは。 Wang変換、面白いですよね。 リスク中立化の一番直感的にわかりやすい変換だと思います。 ちなみに、保険の授業では、この変換を使って、保険料におけるImplied死力を算出していました。 (レポートのデータを消してしまいましたが・・・)

 
2007/07/07(土) 21:53:50 | URL | Taejun #-[ 編集]
お久しぶりですが、相変わらずがんばっていらっしゃいますね。

不動産のプライシングモデルは良く知りませんが(エクセルファイルはよくわかりませんでした)、経済学でも数理的モデルがより現実的であるかというのは、それほど重要ではないと思います。
現実的でないというのは、現実に起こりうるノイズを無視するように、いくつかの抽象的な仮定を元にモデルを構築するということです。むしろ、それら一連の仮定に矛盾や反例があることの方が問題になるかと思われます。ようは数理的な問題ですね。
たとえば、限界費用と限界価格が等しいところで~という話がありますが、必ずしも現実的ではないです。しかし、数理的な議論を発展させていくためには、この仮定が通常外せなくなります。ただ、その他の仮定との兼ね合いや後の議論で、この仮定が数学的なconflictを生じないようには気をつけてください。

Taejunさんが興味を持っているように、
1)オーナーは賃料に関してプライステーカーである
という仮定を外して、「アメリカンオプションと同じ要領で、とりうる最適な賃料水準を求め、その賃料をオーナーが決定する」というアイディアを加えてモデルを拡張できれば、それは立派な論文になるでしょう。
それでもそのモデルが現実的かどうかというのは、はっきりいってよくわかりません。むしろ、既存モデルの仮定を変更することでどのような知見が得られたか、ということの方が重要だと思います。

ちなみに、そのような理論よりの論文では、上述のやり取りのようにしばしば先生の手厳しいツッコミを受けることがあります。その結果、論文が粉砕されることは珍しくないです。
とえらそうにいいつつ、自分は理論系の論文はあまり読んだことがないので、適当に流してください。
2007/07/13(金) 17:23:26 | URL | チキンワイヤー #SIH3y5y6[ 編集]
 チキンワイヤーさん、お久しぶりです。 お元気ですか?
 おっしゃる通り、問題の抽象化に伴う、モデルの非現実性については理解しているつもりです。 それでも、僕はここで、モデルのアイディアについて根本的な疑問を感じているんですね。 古典派経済学に異を唱えたケインズと同じような意味で。

 アメリカンオプション、、、今実はプログラムを考え中です。 

 
2007/07/14(土) 01:01:51 | URL | Taejun #-[ 編集]
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