Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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マッキンゼーのValuationの理論的不整合?
 (基本的なファイナンス知識のある方を対象としたエントリーなので、興味のない方は飛ばしてください)

 (確かマッキンゼーのファイナンス部隊の人々が提唱して以来)一世を風靡している、バリュエーション((企業)価値評価)の手法、理論的に不整合なのかもしれません。 

 今日、少し考える機会があったので、備忘録。 

 ちなみに、これがそのバリュエーションの手法について書いてある本。 この業界においてバイブルともなっている本です。

企業価値評価 第4版 【上】 企業価値評価 第4版 【上】
マッキンゼー・アンド・カンパニー、ティム・コラー 他 (2006/03/10)
ダイヤモンド社

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Valuation: Measuring And Managing The Value Of Companies (Wiley Finance) Valuation: Measuring And Managing The Value Of Companies (Wiley Finance)
McKinsey & Company、Tim Koller 他 (2005/06/28)
John Wiley & Sons Inc

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 もし企業価値評価を最初から勉強してみたいと考える方がいたら、まずは買うことをお勧めします。 (ちなみに最近は便利なのでブログに備え付きのアフィリエイトを使っていますが、これを使うと僕に一切手数料は入りません。。)

 
 で、何が理論的な不整合なのかというと、

  

 フリーキャッシュフローの計算においては、利子払いの節税効果を排除しているのに対し、加重平均資本コストの計算においては、節税効果を取り入れている点。

 順を追ってみていきます。


1.フリーキャッシュフロー計算

 この本の手法による、フリーキャッシュフロー(FCF)の計算は、ざっくり言うと、

 1)利払い前の営業利益(EBITA)を出す
 2)それに基づいたダミーの税額を計算する
 3)投下資本分の調整をする
 
 という手順に従います。
 
 なぜ、実際の税引き前利益でなく、EBITAを使っているのかという点について、教科書は、「これは、資本構成の違いにより、利払いの額が異なり、結果としてFCFの額が異なってくる効果を除外するためのものだ。」と説明します。

 
 しかし、他方で、


2.加重平均資本コスト(WACC)の計算
 
 においては、

 WACC
 =負債の比率×負債のコスト×(1-税率)+株式の比率×株式のコスト

 という方法を採っています。 ここで、負債のウェイトに関する資本コストの計算において×(1-税率)としているのは、「負債のコスト、すなわち利子払いについては税務上損金に算入されるため、その税務上の利益(Interest Tax Shield)を加味している」、と説明します。



 となると、
 キャッシュフローの計算においては、利払いの税務上の利益を捨象するような手法をとる一方で、
 割引率の計算においては、それを想定している、
 というわけです。

 ちょっと理論をかじった程度の僕には、この考え方が一見不整合に見えるわけです。 (ちなみに、僕が普段作る財務モデルにおいては、きっちりと見方を揃えています。)
 
 この問題意識は以前からあったのですが、某先生に質問しても、答えていただけませんでした。 今日ちょっと機会があり、それをまた思い出した次第です。 


 マッキンゼーの人に聞いてみようかなあ。

 「バリュエーションはアートですから!」、なんて答えが返ってきたらどうしよう…
 
 
Comment
≪この記事へのコメント≫
事実不整合らしいですね。
この不整合に対する突っ込みは、だいぶ前からされていたようです。

それにしても、新しいことを見つけるのは難しい・・・orz
2007/09/28(金) 08:21:34 | URL | Taejun #-[ 編集]
はじめまして。いつも楽しく読ませていただいております。
僕は最近バリュエーションの勉強を始めたので理解があまり深く理解できていないのですが、最近「VALUATION」を読みました。本書では上巻のP205に「FCFには節税効果を織り込まず、WACCに織り込む」と書いてあり、僕はそのまま納得しました。
もしTaejunさんの言うようにFCFでも節税効果を認識すると節税効果がダブルカウントになってしまうのではないですか?
2007/10/03(水) 19:23:09 | URL | h #-[ 編集]
 はじめまして。 コメントありがとうございます。
 (特にファイナンス系の記事にはコメントがつかないので・・・)

 私の理解では、キャッシュフローの予測と割引率の関係において考えるべきは、その両者の対応であり、片方に何かを織り込み、もう片方に何かを織り込まないという議論は何かずれていると思うのです。 「二重取りを避ける」というとなんとなく本当っぽいのですが、その合理性というのはあまりないと考えています。

 ご存知のとおり、キャッシュフローの性質により、それに対応する割引率は変わりますよね(たとえば、株主へのキャッシュフローを割り引くのであれば、当然ながら株式のコストのみを用います)。 その議論をこの問題に援用すると、どうも不整合を感じるわけです。

 コメントのお答えになったでしょうか^^;?
 
 
2007/10/03(水) 21:38:00 | URL | Taejun #-[ 編集]
お久しぶりです。大分日が経ってしまいましたが、不整合であるという考え方理解しました。

僕は小さなバイアウトファンドで投資業務を行なっているのですが、うちのファンドでは交渉が仕事のメインになっていてバリュエーションは結構大雑把です。案件を持ってきた投資銀行のバリュエーションに少し手を加える程度だったりします。

以前大手ファンドの人の講演を聞いたのですが、そこでもEBITDAマルチプル以外は使わないと言っていました。

そうは言っても理解しているのとしていないのでは大違いだろうと、DCF等の勉強を始めたところでこのブログに出会い色々勉強させてもらってます。これからもたまに質問させて下さい。
2007/11/01(木) 09:22:52 | URL | h #-[ 編集]
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