Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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マイクロ・ファイナンスの本当のところ?
 さて、マイクロファイナンス。

 実は、TiroleのCorporate Finance 
 
The Theory of Corporate Finance The Theory of Corporate Finance
Jean Tirole (2005/12/15)
Princeton Univ Pr

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 にも、MicroFinanceに関するセクションがあり、奇遇にも先生を交えた自主勉強会で発表もしました。 そこで意見交換された内容も含めての、マイクロファイナンスレビューです。

 
 1.マイクロファイナンスの概要 

 このマイクロファイナンス、バングラディッシュのグラミン銀行が最初に始めました。 
 色々な類型があるので一般化はなかなか難しいのかもしれませんが、ざっくりというと、ここら辺がマイクロファイナンスを特徴づけるもののようです。

 ・5人1組のグループに貸し付け、それは連帯保証
 ・5人のグループは、借り手が自分たちで選ぶ
 ・金利は25%~30%
 ・女性に貸し付ける
  
 このマイクロファイナンス、回収率はなんと98%を誇るそうです。 大成功したグラミン銀行は一気に成長を成し遂げました。 そして、ご存じのとおり、総裁のモハマド・ユヌス氏はノーベル平和賞を受賞します。


 
 2.経済学のロジックからみたマイクロファイナンス
  
 さて、このマイクロファイナンスは大成功したのですが、その理由については、主に3つくらいなのでしょうか。

 1)社会的資本の活用
 社会的資本というのは、その社会において共有されている信頼関係などを指します。 これそのものは、その社会の外においては、何ら意味を持たないものです。
 しかし、連帯責任という仕組みを作ることにより、この社会的資本は対外的に価値を有することになります。 社会的なつながりが強い人々の中においては、お互いの信頼を損ねないように、人々ができる限り努力をし、結果としてモラルハザードが減少することになります。

 
 2)仲間内の監視
 5人グループを組むことによる仲間内の監視により、
 ・借入段階
 ・借入後の投資
 ・投資後の行い
 において、モラルハザードが減少する可能性が生じ得ます。 

 
 3)リスク分散
 5人の連座制のため、ひとりがデフォルトしても他者がその分を賄うという建付けになっています。 これはいい方を変えると、ひとりひとりの借り手の個別リスクを分散しているともいえます。
 


 3.もう少し一般化させると

 マイクロファイナンスの成功の理屈、もう少し踏み込んで考えると、以下のようなものに分類できるかもしれません。

 ・インセンティヴシステムの構築
 これは、さっき書いたとおりです。 共同体の信頼関係やお互いの監視により、無駄遣いや無謀な投資をしたり、投資後にサボタージュしたり、持ち逃げしたりするような可能性が低まることになります。

 
 ・リスク要因の排除
 上で述べたように、この連帯責任で借入を行うグループは、自分たちで決めることになります。 そんな状況で人々は、自然と信用力に問題があるような人を連帯責任の仲間に組み込んだりせず、可能な限りお金を返せないリスクの低い人々を集めることでしょう。 結果、自然と、「質の良い」借り手が集まることになり、本来銀行が負っていた審査の労力を大幅に低減させているわけです。 

 なので、このマイクロファイナンスの仕組みでは、本当にお金がない人は融資を受けられない可能性が生じてきます。 実際そうらしいのですが、僕は詳しいところはわかりません。


 ・社会システムの利用
 女性に貸し付けた理由は、バングラディッシュにおいては女性の移動の自由はかなり制限されているため、回収がしやすいことにあったらしいです。 ほかにも、先に述べた社会的資本を利用するというのも、広い意味での社会システムの利用と呼べるのかもしれません。
 
 
 こういうことから、「グラミン銀行はただ単に、人間の性と、撤廃されるべき社会制度(女性差別など)を利用しただけなのではないか」、という批判があるようです。

 もちろんそういう批判は一面において当を得ているとは思います。 それでもなお、マイクロファイナンスは、本来であれば資金調達をすることがかなわなかった人々に対し道を開いたわけです。 それがひいては経済の発展に寄与しているという点を看過することはできないのでしょうね。

 
 特に、これから経済開発のプロジェクトを進めていくにあたって、借り手におけるインセンティヴシステムの構築と、フェアな意味での社会制度の活用やリスク排除の仕組み作りなどは、常に考えていきたいと考えています。

 というか、これはとりもなおさず金融の本質なのだと思ったりもするのですけれどね。
  
 
Comment
≪この記事へのコメント≫
なにか、強い違和感を感じてしまいます。

四人が結託して一人を嵌めたら?とか…
2007/12/06(木) 03:53:41 | URL | 三浦介 #-[ 編集]
三浦介さん、
建付け上、はめるということが起こる可能性は低いと思います。 それよりも、排除する可能性の方が高いのかと思います。
2007/12/07(金) 07:10:03 | URL | Taejun #-[ 編集]
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