Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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オイルマネー、アジアマネー、ヘッジファンド、PEのサマリー。
 マッキンゼーの四半期レポートで、最近台頭してきた産油国、アジア、ヘッジファンド、PEについてまとめたものがありました。 
 http://www.mckinsey.com/mgi/publications/The_New_Power_Brokers/index.asp

 説明を交えてサマリーと雑感を。
 
 わかりにくかったら、コメントください。。
 マッキンゼーで取り上げている新しいプレーヤーは以下の4つ:

 ・産油国の金融機関
 ・アジアの金融機関
 ・ヘッジファンド
 ・プライベートエクイティ

 これらは最近台頭してきた金融機関で、2006年にはその資産額は2006年には8.5兆ドル(約900兆円)にもなっています。 これは、世界の金融資産の5%。


 ・産油国の金融機関
 単体で言っても、最近紙上をにぎわしているアブダビ投資庁(ADIA, Abu Dhabi Investment Authority)の保有資産総額は8750億ドル(約95兆円)ともいわれていて、その資産規模の大きさがわかります。
 近年の原油価格の上昇に助けられ、その資産額は増大しています。 もちろん、原油価格が現在の半分ほどになっても、その資産の増大は変わらないことと予想がされています。
 

 ・アジアの金融機関
 経済成長にバックアップされ、急速に投資資金が増大しています。 現在各国が抱えているリザーブ(外貨による支払などのために持っておくべき準備金の事です)超過資金(だから投資にも使える)は、約1.9兆ドル(約200兆円)。 これらは今のところ安全な投資先(アメリカの国債など)に投資されていますが、投資方針がかわるということも、あるのかもしれません。
 
 

 ・ヘッジファンド
 従来と異なる投資手法をとるファンドの事。といっても、さまざまな投資スタイルがあるので一般化は難しいです。
 起源は1949年にアルフレッド・ジョーンズという人が始めた投資会社にさかのぼると言われています。 
 2007年中ごろには、その保有資産額は1.7兆ドル(約180兆円)。 Mckinseyの推定では、レバレッジによっては6兆ドルまでも可能とのことです。
 

 ・プライベートエクイティ
 略してPE。非上場(プライベート)の企業の株式(エクイティ)に対する投資の事です。 もともと非上場である企業もあれば、買収した後に非上場になる場合もあったりします。 これも最近は色々な事をしているので、一般化は難しいです。
 その資産運用額は2006年で0.7兆ドル(75兆円)くらいです。 規模そのものは、アブダビ投資庁一つよりも小さいのですが、クラブディール(複数の会社による同時ディール参加)により、かなりの大規模企業も買収可能なため、サブプライム前までは、相当に強力なプレーヤーでした。
 
 


 これら金融機関の台頭は、以下のような側面において、市場にポジティヴな影響を及ぼしてきました:

 ・資本コストの低下
 資本コストというのは、外部から資金を融通する時に、その外部の人が要求する金利や配当の事です。 企業が自らの資本を調達する時に、外部者が要求するコストのことなのですね。
 上の4プレーヤーの台頭により、融通可能な資金が増大し(供給の増大)、企業は比較的低いコストで資金調達をできるようになりました。 これは、企業の資本調達&設備投資意欲を増大させる効果を持ちます。
 

 ・ガバナンス
 特にプライベートエクイティらは、購入後に企業のガバナンス(統治)に強烈なインパクトを与える場合が少なくなく、これらは、企業への脅威となります。 脅威があるだけでも、もしかしたら買収されるかもしれない企業は、自らのガバナンスを向上させようとするので、それは、結果的にマーケットを良くするのかもしれません。
 

 ・市場の効率性への貢献
 ここで書いたように本来、市場では企業の価格は適切に価格付けされることになります。 ですが、そうでない場合もある。 投資ファンドはそれをつく場合が少なくないのですが、それは結果として市場の効率性を高めることとなります。
 株式が適切に値付けされていることにより、市場における効率的な資産配分、新たな資金流入による経済の活性化など、好ましい結果がもたらされ得ます。 

 

 
 ただ、一方で、これら4プレーヤーはリスク要因でもあります。 それは:

 ・マーケットの変動の激化
 今までの主な投資主体であった年金基金らは、とても安定した投資家でした。 今も、オイルマネーやアジアマネーは比較的に安定した投資を行っているのですが、それが変わる可能性もある。 となると、その保有資産の大きさから、この投資方針が市場に与えるインパクトは非常に大きなものになると考えられます。

 ・クレジットリスクの増大に拍車
 ヘッジファンドやプライベートエクイティは、かなりのレバレッジ(借入)をかけて投資をしているため、クレジットリスク(経済における、債務不履行リスク)が高まると、大きなダメージを受けることになります。
 事実、サブプライムの問題後、アメリカでこれらファンドによる買収が一気に減少したのは多くの方が知るとおりです。
 この状況でのどこかの投資会社の倒産の影響は、波及的に多くの同業他社に及ぶ可能性も無きにしも非ずです。

 ・不透明性
 これらの4プレーヤーは、その投資の内訳が不透明なことが指摘されています。 例えば、内部でのリスクマネジメントの手法などが公開されていないため、これらプレーヤーの投資手法が本当に安全なのか、いまいちわからないわけです。 最近アメリカではPEやヘッジファンドが上場したりもしていていましたが、それも一部に過ぎません。
 ノルウェイの政府の年金基金などが、情報開示の良いモデルとなるのではないかと、レポートではしてしています。 


 と、おいた上で、レポートでは、これらプレーヤーの台頭によって便益の方が危険を上回ると書いています。

 全般的な論調にはAgreeです。
 ただ、2007年12月のものなら、数字がもう少し新しいといいなあ、と思ったりします。 サブプライム問題の拡大後とその前では、グラフなどがだいぶ違った形で見えるので。
 それと、政府系ファンドとヘッジファンド・PEは違う側面の方が大きいので、もう少し分けて取り扱った方が、全般的な論調が明確になりそうな気もしますね。
 
  
  
 
Comment
≪この記事へのコメント≫
private equityが来年中に支払わなければならない負債の総額が4兆ドルと書かれた記事を読んだので,日本語でその数字の確認をしようと思い,検索した結果こちらのページに来ました。

是非以下のページを読んでみてください。
http://www.vanityfair.com/politics/features/2009/02/wolff200902
private equityが経営を良くするなんて幻影です。
彼らの手法は村上ファンドと全く同じで,経営能力はありません。
2009/01/03(土) 02:02:12 | URL | Bun Bun #-[ 編集]
Bun Bunさん

コメントありがとうございます。数字の総計はちょっと簡単にはわからないと思うのですが、トムソンやディールロジックあたりから推計は可能かもしれませんね。

PEが経営を良くするかどうかについてですが、他の多くの事柄と同じように、事象について断言することは常に容易でないと考えています。


2009/01/10(土) 16:49:48 | URL | Taejun #-[ 編集]
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