Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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15年目のごめんなさい。
 久々の思い出話。 記憶が風化する前に書いておきます。

 夏の匂いが残る、風の強い一日。 江東区で友達とフットサルをした後、僕は買ったばかりの自転車で帰りを急いだ。 10年以上ぶりの同窓会まで、もう残り時間は僅かだった。

 僕のいた小学校は本当に小さなところで、四年生の頃の同級生は、たったの6人。 そして、そのうち、一緒に卒業したのは4人だけだった。 一人は親とともに引っ越しをすることになり、もう一人は、学校をやめた。 一緒に卒業した4人で集まる事は、今も多いのだけれど(今年の正月もオールをした)、6人で集まるのは十数年ぶり。 生まれてからあの頃まで過ごした時間よりも、あの頃から今まで経った時間の方が長い。 

 事前のメールのやり取りでも、みんなこの日を楽しみにしているみたいだった。 

 僕は、どうだったのだろう。
 楽しみ、というよりは、何かの判決を待つ被告人みたいな気分だった、というのが正確なのかもしれない。 

 それにはちゃんと理由がある。 小学校の同級生の6人のうちの一人が一緒に卒業できなかったことは、自分のせいだと僕は思っているからだ。

 学校をやめてしまった彼女は、もともと朝鮮学校にいたわけではなかった。 他の小学校に通っていたのだけど、いじめのために登校をしなくなり、そして、僕のいた朝鮮学校に来ることになったのだった。 家庭の事情はとても複雑みたいで、猫を飼っているからか、独特なにおいがした。 
 
 僕は、彼女に対して、ひどい事をいっぱいした。 彼女は何回か学校を休むことがあったのだけれど、それは、今になって考えると、僕が彼女にひどい事をした次の日に起こっていることが多かった。
 例えば、音楽の時間、授業の進行上の理由で、彼女が僕の椅子に座った事があった。 僕は、その時間が終わるや否や、これ見よがしに、自分の椅子に敷いてあった座布団を取って、それを、壁に向かってはたきまくった。 その次の日から数日間、彼女は学校を休んだ。 彼女がいないホームルームの時間、担任の先生が、「誰かがひどい事をしたせいで、彼女は学校に行きにくいと思っている」と言って僕をじろりとにらんだ時も、単にいたずらを叱られた子供がもつような、ばつの悪さを覚えたにすぎなかった。良心の呵責、というのは、正直なかった。

 そして、彼女は学校を辞めた。 

 今になって、多少分別がついてくると、当時の自分の愚かしさがいやになってくる。 僕が彼女の親だったら、僕を半殺しにするかもしれない。 子供だからと言って、他人の未来を狂わせることが許されるわけがない。
 余談だけれど、僕は中学生になって、サッカー部の先輩からいじめられることになる。 先輩をさしおいて試合に出るだけでヤキをくらう毎日。 当時は試合のメンバー発表時に監督が僕の名を呼ばないことを祈る日々だった。 因果応報の帳尻は、たぶん合っているのだと思う。


 そんな彼女と十数年ぶりの再会。
 彼女が同窓会に参加すると分かった日から、僕は彼女に十数年ぶりのごめんなさいを言う事を決めていた。 赦されるかどうか、それは僕が決めることじゃない。 もうこれを逃したら次にいつ会えるのかもわからない。 死ぬ時に後悔するような事は、少ないほどいい。

 品川駅改札口の時計の下で待ち合わせ。 僕は一番乗りだった。
 
 そして、5分くらいして、彼女が現れた。 
 とても大人っぽくなったけれど、面影は当時のままだった。 今は、派遣社員として働いているのだという。

 世間話をしながら移動して、居酒屋で同窓会が始まる。 友達の一人の誕生日のお祝いイベントもあったりして、楽しく時間が流れる。 
 
 思い出話に花が開き、あっという間に5時間が経ち、再会を約束して、おひらきになった。
 
 皆は、電車に乗るために駅に向かう。 僕は自転車を引いて、途中まで一緒に歩く。
 たまたま、話の輪から外れて、彼女はひとりで歩いていた。
 今だ。 怖い。 だけど、これを逃したら、次はないかもしれない。 


 「ねえ」
 
 「うん?」

 「ごめんなさい。」 

 「何が?」

 「僕は、小学生の頃に、君に本当にひどい事をしたと思っている。 君の人生をぶちこわしにしたかもしれない。」

 「大丈夫だよ。 全然覚えてないし。」
 
 
 
 

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≪この記事へのコメント≫
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2008/02/10(日) 17:40:29 | | #[ 編集]
3000回泣いた!
2009/05/31(日) 03:43:35 | URL | トロ肉 #-[ 編集]
ありがとう。 赦すってすばらしいことなのだと思う。
2009/06/01(月) 19:36:19 | URL | Taejun #-[ 編集]
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2010/02/04(木) 02:23:57 | | #[ 編集]
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