Taejunomics

            政治、経済、社会、哲学、芸術、文学、スポーツ、マイクロファイナンス、教育などなど、徒然なるままに書き綴ります。 ※お初の方はカテゴリー欄の「Taejunomicsについて」、をご覧ください。
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新銀行東京の苦境の理由。
 新銀行東京の貸付先の破たんが、なかなかすごいことになっているみたいですね。
 
 新銀行東京、融資先600社が破綻・今期累損1016億円
 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080306AT2C0601606032008.html

 同行にいらっしゃる方を知っているのですが、決して審査システムがずさんなわけではないのだと思います。 むしろ、同行の設立の趣旨である中小企業の支援と、貸出利子率の硬直性の二つがあいまった結果なのだと思います。
  
 個々の企業の破たん可能性は、実は、財務数値を見ると、相当程度に高い確率で当てることができます。 僕程度が大学院の課題で作ったロジットモデルでも、1年前の破たんであれば、200くらいの企業中、80%以上の企業について的中させることができます。 企業として作っている信用リスクモデルをもち、借り手の情報をより知っている立場にある銀行は、さらに高い精度でこの予測ができることでしょう。 

 それなのに、貸付先の破綻が相次ぎそれが経営危機につながるのには、いくつかの理由が考えられます:
 ・異なる企業の共倒れリスクの推定を間違えた
 ・破綻するとわかっていても貸し付けざるを得なかった
 ・リスクの高い企業に対しても、高い金利を要求できなかった

   
 ・異なる企業の共倒れリスクの推定を間違えた

 個々の企業の倒産リスクの推定は比較的楽なのですが、共倒れのリスクの推定はかなり難しいのです。 直感的には、中小企業には独特の共通のリスク要因がかなりありそうなので、この共倒れリスクは比較的高いと予想されるのですが、もしそれを低く見積もってしまった場合、時に甚大な損害を被る可能性があります。

 でも、僕は、これは根本的な問題ではなく、次の二つがより深刻な構造的問題なのだと感じています。 

 
 
 ・破綻するとわかっていても貸し付けざるを得なかった
  
 新銀行東京は、さまざまな経緯を経て、東京都の中小企業支援の目的のもとに設立された銀行だと聞いています。 その設立趣旨から、破綻するとわかっている企業に対しても、貸し付けをせざるをえないような状況にあったのかもしれません。 
 
 しかし、たとえすべての中小企業に貸し付けをしなければいけないとしても、それのみが問題となるわけではないと思います。 リスクに見合った適切なリターンがあればいいわけなのですから。
  
 ですが:


 ・リスクの高い企業に対しても、高い金利を要求できなかった

 これは、日本の金融機関すべてに共通の問題かもしれませんが、貸し付けにおける金利が、あまりにも硬直している感があります。 例えば個人で行う借入の大きな二つには住宅ローンと消費者ローンがあると思いますが、この二つの中間の金利が要求される借り入れはあまりありませんでした。 リスクが高い貸付先に対してはそれに見合った高い金利(リターン)を要求すればよいのに、それができていなかったのかもしれません。 
 
 池田信夫ブログでは、上の貸付の硬直性が失敗の要因だとして、都政の責任を追及すべきだと書いていますが、銀行としては金利の上乗せの行動をとることはできたわけで、都政が金利設定についても介入していなかったのならば、都に責任を帰すことは難しいのかもしれないと感じています。

Comment
≪この記事へのコメント≫
新東京銀行といいサブプライムといい、借りた方の問題も大きいはずなのにこちらはあまり話題にならないことに首をかしげています。(アメリカは救済しないようですね)

日銀新総裁(予定)がインフレターゲットを口にした円高の今、円を売ってルーブルに換えるな俺なら、とか思うこの頃です。民主党には呆れています。
2008/03/07(金) 21:37:31 | URL | 三浦介 #-[ 編集]
 確かにそうですね。 借りた方もちゃんと返す責任があるので問題があると思います。 ただ、そうなるとかなり多数の個人にフォーカスする必要があるので、メディア的には難しいのかもしれませんね。

 
2008/03/09(日) 09:21:31 | URL | Taejun #-[ 編集]
あ、いえ、そうではなく借り倒れた人達(企業・個人)の救済の問題です。失礼しました。
国家基盤の再建といいますか…
2008/03/10(月) 02:51:27 | URL | 三浦介 #-[ 編集]
なるほど、興味深いです。

個人的には、そもそも中小企業に融資として魅力的な案件が非常に少ないので、結果的に成長性のない非効率的な投資になったのでは、という気もします。低金利でも返せなかったのかもしれません。
「破綻するとわかっていても貸し付けざるを得なかった」という説を私は支持します。他の銀行の中小企業融資のパフォーマンスはよくわかりませんが、新銀行東京ほどひどくはないことは確かではないでしょうか。

有望な中小企業が多いのか少ないのか水準感がよくわかりませんが、中長期的に日本には大企業が生まれにくくなっているのかもしれません。

詳しくは次回の勉強会の時にでも。中小企業融資に詳しい同僚に聞いておきます。ここでは喋りにくいこともありますから。
2008/03/13(木) 21:35:56 | URL | チキンワイヤー #-[ 編集]
三浦介さん、ああ、そうだったのですね。
私の方こそ、すみません。

チキンワイヤーさん、楽しみにしています!
なんにせよ、悲劇の基本は市場原理がちゃんと働かない事によって来ている気もします。

2008/03/14(金) 01:45:53 | URL | Taejun #-[ 編集]
今日のJMM [Japan Mail Media] で、この問いに対する評論家の議論が掲載されています。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/
先日もお話した日本にはミドルリスク層がなく、ローリスク(住宅ローン)とハイリスク(消費者金融)ばかりだという意見も、山崎元氏によって「最も競争的だから」というコメントされております。

大前研一氏によっても、新銀行東京は批判されています。http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/122/


マイクロファイナンスのプロジェクトにとっても、新銀行東京のケーススタディは非常に重要ですね。
Modelerとしては、与信の際に、債務者に関する質の高い情報がどれだけ得られるか、を気にしております。
2008/03/17(月) 17:23:16 | URL | チキンワイヤー #-[ 編集]
相変わらず、コメントが遅くてごめんなさい。。
次回の勉強会も楽しみですね! どうぞよろしくお願いします。

2008/03/23(日) 22:03:01 | URL | Taejun #-[ 編集]
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